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02月23日-03号

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  1. 京都市議会 2018-02-23
    02月23日-03号


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    平成30年  2月 定例会     平成29年     定例会       京都市会会議録 第3号     平成30年2月市会                    平成30年2月23日(金曜日)出席議員(67名)   1番 森 かれん議員   2番 菅谷浩平議員   3番 こうち大輔議員   4番 やまずまい子議員   5番 大西ケンジ議員   6番 豊田貴志議員   8番 山本陽子議員   9番 平井良人議員  10番 やまね智史議員  11番 江村理紗議員  12番 大津裕太議員  13番 宇佐美けんいち議員  14番 森川 央議員  15番 西山信昌議員  16番 かわしま優子議員  17番 国本友利議員  19番 平山たかお議員  20番 寺田一博議員  21番 西村善美議員  22番 ほり信子議員  23番 山田こうじ議員  24番 森田ゆみ子議員  25番 村山祥栄議員  28番 山本ひろふみ議員  29番 青野仁志議員  30番 平山よしかず議員  31番 吉田孝雄議員  32番 湯浅光彦議員  33番 加藤昌洋議員  34番 森田 守議員  35番 田中たかのり議員  36番 みちはた弘之議員  37番 くらた共子議員  38番 河合ようこ議員  39番 樋口英明議員  40番 加藤あい議員  41番 赤阪 仁議員  43番 天方浩之議員  44番 中野洋一議員  45番 隠塚 功議員  46番 山岸たかゆき議員  47番 安井つとむ議員  48番 曽我 修議員  49番 久保勝信議員  50番 しまもと京司議員  51番 椋田隆知議員  52番 下村あきら議員  53番 西村義直議員  54番 吉井あきら議員  55番 田中明秀議員  56番 山本恵一議員  57番 山中 渡議員  58番 井坂博文議員  59番 北山ただお議員  60番 玉本なるみ議員  61番 西野さち子議員  62番 井上けんじ議員  63番 鈴木マサホ議員  64番 大道義知議員  65番 ひおき文章議員  66番 津田大三議員  67番 中村三之助議員  68番 橋村芳和議員  69番 小林正明議員  70番 繁 隆夫議員  71番 富 きくお議員  72番 井上与一郎議員欠席議員(なし)   議事日程   開議日時 平成30年2月23日(金)午前10時第1 議第1号ないし議第27号,議第30号ないし議第32号,議第34号ないし議第41号,議第43号ないし議第46号,議第48号,議第49号,議第51号ないし議第54号,議第149号,議第154号ないし議第160号,議第171号及び議第172号 平成30年度京都市一般会計予算 ほか57件第2 議第28号 京都市地方独立行政法人京都産業技術研究所評価委員会条例の一部を改正する条例の制定について第3 議第29号 京都市産業関係手数料条例の一部を改正する条例の制定について第4 議第33号 京都市地方独立行政法人京都市立病院機構評価委員会条例の一部を改正する条例の制定について第5 議第42号 京都市こころの健康増進センター条例の一部を改正する条例の制定について第6 議第47号 京都市生産緑地地区の区域の規模に関する条例の制定について第7 議第50号 京都市市営住宅条例の一部を改正する条例の制定について第8 議第55号 公立大学法人京都市立芸術大学定款の変更について第9 議第56号 地方独立行政法人京都産業技術研究所定款の変更について第10 議第57号 地方独立行政法人京都市立病院機構定款の変更について第11 議第150号 京都市執行機関の附属機関の設置等に関する条例の一部を改正する条例の制定について第12 議第151号 京都市国際親善交流基金条例の一部を改正する条例の制定について第13 議第152号 京都市個人市民税の控除対象となる特定非営利活動法人に対する寄附金を定める条例の一部を改正する条例の制定について第14 議第153号 京都市土地改良事業に係る賦課金及び特別徴収金に関する条例の一部を改正する条例の制定について第15 議第161号 京都市緑化・公園管理基金条例の一部を改正する条例の制定について第16 議第162号 京都市梅小路公園条例の一部を改正する条例の制定について第17 議第163号 市道路線の認定について第18 議第167号 損害賠償の額の決定について第19 議第168号 損害賠償の額の決定について第20 議第141号ないし議第148号,議第164号ないし議第166号,議第169号,議第170号,議第173号及び議第174号 平成29年度京都市一般会計補正予算 ほか14件(予算特別委員長報告)~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 〔午前10時1分開議〕 ○議長(寺田一博) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は,席上に配付いたしておきました。 本日の会議録署名者を指名いたします。平山たかお議員と山田こうじ議員とにお願いいたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) この場合,議長から御報告申し上げます。 今回受理いたしました請願6件及び陳情8件は,お手元に配付してあります文書表のとおり,所管の常任委員会に付託又は回付いたします。 以上,御報告申し上げます。御了承願います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) 日程に入ります。 日程第1,議第1号ないし議第27号,議第30号ないし議第32号,議第34号ないし議第41号,議第43号ないし議第46号,議第48号,議第49号,議第51号ないし議第54号,議第149号,議第154号ないし議第160号,議第171号及び議第172号,平成30年度京都市一般会計予算,ほか57件,以上58件を一括議題といたします。 昨日の議事を継続し,質疑を続行いたします。 湯浅光彦議員に発言を許します。湯浅議員。 〔湯浅光彦議員登壇(拍手)〕 ◆(湯浅光彦議員) 皆さん,おはようございます。右京区選出の湯浅光彦です。公明党京都市会議員団を代表し,かわしま優子議員,西山信昌議員と共に平成30年度京都市予算案について質疑を行います。市長におかれましては,誠実に,また明快なる答弁をお願いします。 平成30年度は明治維新150年,京都市制自治権獲得120周年,世界文化自由都市宣言40周年と,例年にも増して幾重にも意義ある節目を迎える年であります。とりわけ明治維新においては,人口の3分の1が東京へと移転するなど,京都が営々と築いてきた歴史が大きく転換する一大事でもありました。京都の先駆を開いたのは,後に語り継がれる有名人だけでなく,力強く生きた無名の市民の力があり,都市の魅力は大地に根を張った民衆によってつくり出されてまいりました。改めて今日の京都市の礎を築いてくださった先人に感謝申し上げるものです。今後100年の大計を見据えた第一歩となる予算となることを望むものです。昨年の28年度決算審議では,法人市民税や府税交付金など見込みを大きく下回り,財政調整基金を全額取り崩すなど平成21年度決算以来の厳しい状況でありました。 〔寺田議長退席,久保副議長着席〕 ◆(湯浅光彦議員) (続)今回の予算案では,安定した自公政権の経済運営が進展し,個人市民税や固定資産税の堅調な動きと,28年度は大きく落ち込んだ法人市民税も20.2パーセント増の281億円を見込めるなど,回復の兆しは着実に見えております。また地下鉄健全化出資金についても,関係者の努力により経営健全化団体から1年前倒しで達成し,64億円が不要となるなど,財政運営の一助を担っております。社会福祉関連経費の増や未来への投資として必要な南部クリーンセンター建替えなど,大型事業の進捗に伴って投資的経費が198億円増となり,結果,財源不足127億円を補填するための公債償還基金の取崩し71億円,行政改革推進債56億円が充てられており,厳しい財政状況は変わりません。昨年,公明党京都市会議員団は,平成30年度予算編成に当たり192項目の提案させていただきました。今回の予算案においても189項目が予算措置,残り3項目についても前向きに検討するとの回答を頂いており,高く評価するものです。多くの予算要望は公明党として,一人を大切に寄添う政治と誰一人置き去りにしないとの強い姿勢を表明したものであります。今後とも市長にはその政治姿勢を貫いていただくことを望みます。 さて,今年度予算案では,美術館整備や芸大移転,第一市場整備など未来の京都にとって重要な案件がめじろ押しとなっております。一方,市庁舎の整備が当初の見込み違いから1年遅れるとともに,3億円の追加費用も発生するとの報告も受けております。短絡的に公共事業が悪であるとの風潮は薄れてきたようにも思いますが,これらの投資的経費が,市民にとって,未来の京都にとって,どういう意味を持つのか丁寧に説明責任を果たしていかなくてはならないと思います。市長のお考えをお聞かせください。あわせて,今期で山田知事が勇退されることとなりました。今まで府市協調で多くの実績を上げてこられた功績に感謝を申し上げます。文化庁の全面的移転などを控え,今後とも京都府との関係はより重要になってまいります。山田府政,門川市政に反対一辺倒では到底,京都府民,京都市民への責任も果たすことなどできようはずもありません。府市が協調し,京都の発展を更につくり上げていかなくてはなりません。市長のお考えをお聞かせください。 次に,ごみ減量政策,とりわけ食品ロスへの取組について質問いたします。京都市では,全国的にも先進的な取組により,ごみ減量を進めてまいりました。もちろん市民の皆様の献身的な御協力と御理解のうえであることは論を待ちません。ピーク時の82万トンから目標値である39万トンまであともう一歩のところまで来ております。しかし,景気の回復も影響していると思われますが,今年度における減量率は1パーセントを切る見込みと,ここにきて減量速度の低下が見受けられます。これらの点も踏まえ,再度減量に向けての取組を充実させていかねばなりません。 また,京都市では,食品ロスにおいて平成32年度に5万トンと目標を掲げて取組を進めており,全国的にも注目されております。私も再三訴えてまいりました宴会などでの初めの30分間と終わりの10分間は出された食事を食べて,できるだけ食べ残しをなくそうとの30・10運動も幹事さんへの啓発活動を通し,声掛けをした場合,一人当たりの平均食べ残し量は声掛けしない場合の31グラムから7.1グラムと4分の1に減少したなどの効果が出ていると伺っております。また,我が会派のかわしま議員が取り組んでおります子供の貧困対策の一つとしてのフードバンクの活用も支援の輪が広がりつつあります。今後とも30・10運動やフードバンクの取組を進めていただきたいと思います。 さて,京都市では,これらの取組の基本にごみ半減を目指すしまつのこころ条例を制定し,取組を進めてきました。具体的には食材の使い切りや食べ切りなどに取り組む事業者の顕彰などを行い,食品ロスの機運醸成に取り組んでおります。そのような中で,私はこれまでからコンビニエンスストアなどの小売事業者にも是非取組の一翼を担っていただくことができないかと指摘してまいりました。ここで,地球環境を考えるNPOとして活動されているコンビニエンスストアのオーナーの有志の方々の活動の一端を御紹介します。スーパーなどでは見慣れた光景ですが,自発的に御自分の店舗での消費期限に近い商品の見切り販売を行った場合とそうでない場合の食品廃棄量について1週間分の廃棄量を測定されたところ,3割引の見切り販売を行った場合の平均廃棄量は1日当たり平均5.3キログラム,年間にして1,935キログラム,5割引だと1日1.1キログラム,年間402キログラム,全く行わなかった場合は1日当たり平均16キログラム,年間換算すると5,876キログラムと14.6倍もの大きな差が生まれたとのことです。この結果から,オーナーの方々は京都市が独自に調査しているごみの組成調査の分析結果よりも多くの食品が廃棄されているのではないかという考えを持っておられます。改めて市民に身近なコンビニエンスストアや食品スーパー等の小売業界における食品廃棄の実態調査を行うとともに,食品ロス削減への展開に当たっては,是非とも小売業界の方々にもお力を頂き,消費者である市民の皆様の理解と協力を得て,食品ロス削減の輪を広げていく取組を進めていただきたいと考えますがいかがでしょうか。 次に,中小企業支援について質問します。御存じのとおり,京都市の中小企業の占める割合は事業所数にして99.7パーセント,従業員数にして70パーセントと,正に中小企業の方々が京都市民の経済と生活を支えてくださっております。市内中小企業を支援することは,言うまでもなく京都の雇用と生活を守ることになります。 そこで,まず事業承継についてお尋ねします。今後10年間に平均引退年齢である70歳を迎える中小企業経営者は全国で約245万人,うち約半数の127万人が後継者が決まっていないと言われております。また廃業を思うがままに任せておけば,今後10年間で約650万人の雇用と約22兆円のGDPが喪失されるとの試算もあります。今や中小企業にとって事業承継は喫緊の課題であり,公明党としてもこの事業承継については強い危機感を持ち,今国会での2017年度補正予算,18年度予算及び税制改正案において,より事業承継が円滑に行われるよう政府に働き掛けてまいりました。その結果,相続税については53パーセントの猶予から100パーセントの猶予へ,さらに,5年間で8割の雇用を維持しなければならなかった条件が未達成でも猶予を継続,また納税猶予の対象者を一人から家族など3人までに拡大,また残念ながら譲渡,解散に至っても承継時の株価を基にした税額計算により,差額を減免できるとしております。京都市においても,平成28年4月に京都府事業引継ぎ支援センターが京都商工会議所内に設立され,連携して事業承継の支援活動を展開してきたところです。約2年間,支援活動の結果,相談に来られる方の年齢が相当高く,65歳は若い方で,70歳,75歳,80歳の方もおられ,ふと気が付くと,後継者が決まっておらず,課題として,息子さんが事業を受け継ぐ意思がない,従業員に引継ぎを考えているが,いざ経営者となると資金面も含めて不安が募る,親族も従業員も厳しく,第三者に引き継ぎたいなどであります。どれをとってもすぐには解決できないケースが多く,やはり経営者が早い段階から自ら積極的に後継者選びを考えた行動を取る必要があると指摘されております。 中小企業庁では,平成29年7月に事業承継5箇年計画を策定し,今後5年間を事業承継支援の集中実施期間とし,主な施策として,事業承継プレ支援地域プラットフォームの構築,早期承継へのインセンティブの強化,小規模M&Aマーケットの形成,サプライチェーン・地域における事業統合・共同化の支援,経営スキルの高い人材を事業承継支援へ活用の五つを上げ,目指すべき姿として,地域の事業を次世代にしっかりと引き継ぐとともに,事業承継を契機に後継者がベンチャー型事業承継などの経営革新等に積極的にチャレンジしやすい環境を整備するとしております。国の予算において支援策の充実を図られるわけですが,使われなければ宝の持ち腐れとなってしまいます。手遅れにならないうちに,まだ事業承継に着手していない経営者が事業承継の準備の必要性に気付き,早期に着手していただくことが重要だと考えますがいかがでしょうか。 あわせて,既に親族が事業を行い,後継ぎとして決まっている若い後継者への支援です。一から事業を起こすベンチャーではなく既にある人的,物的資産を有効に活用し,継いだ家業をベンチャーにする新しい事業承継の取組です。関西ではファミリービジネスの割合が高く,家業が長年蓄積してきた技術,人脈などの経営資源を活用することで,新たな事業を生み出すことができると考え,近畿経産局が主体となり,昨年関西大学梅田キャンパスで,実家が事業をしている若者を対象にした連続講座が全3回にわたって開催されました。男女10数人が参加し,ワークショップで家業の強みの分析や新たに起こしたいビジネスプランの発表などを行い,家業と改めて向き合う中,有意義な講座となったとのことです。京都市としても関係機関がより一層連携を強化し,事業承継や世代交代を機に,経営革新やベンチャービジネスの創出を図っていくべきではないかと思いますがいかがでしょうか,お答えください。 次に,歯科医療についてお尋ねします。京都市では,これまでからライフステージに合わせて小児から高齢者まで京都府歯科医師会の皆様の協力を仰ぎながら,21年3月に策定した京都市口腔保健推進行動指針歯ッピー・スマイル京都を基に市民の歯科保健の充実に努めてきたところであります。一方,指針策定から8年が経過し,歯科口腔保健を取り巻く状況や考え方が大きく変化,発展してきております。29年6月に示された厚生労働省の歯科疾患実態調査によると,歯が多く残っている高齢者は増加しており,これに伴い,高齢者における歯周病のら患率が増加している,また成人において過去1年間に歯科検診を受けた者の割合は増加し,高齢化の進展に伴い,歯科診療所を受診する高齢者は増加している等と報告されています。昨年11月,定例会本会議で我が会派の青野仁志議員が指摘,要望したように,歯の健康は健康長寿のための一丁目一番地であり,オーラルフレイル(口腔機能の虚弱)を防ぐことは喫緊の課題であると再度認識を新たにしたところです。 これらの流れも踏まえ,2月9日まで,歯と口の健康に関する取組を重点的に推進するため,新たに指針から,より具体的に施策を推進するための京都市口腔保健推進実施計画歯ッピー・スマイル京都(仮称)骨子案の市民意見募集が行われたところであります。それらの意見も踏まえ,より実効性の高い計画を策定推進されることを強く望むものであります。特に,これからの歯科保健は先にも述べたとおり,自らの歯を残す8020運動をベースとしつつ,より口腔機能の維持強化が高齢社会には求められます。この点についていかように取り組んでいかれるのかお聞かせください。 あわせて平成26年度より,後期高齢者医療制度事業費補助金の健康診査事業に歯科健康診査が新たに追加され,平成27年度からは,京都府後期高齢者医療広域連合が後期高齢者に対する歯科検診事業に取り組まれているところであります。高齢者の口腔内の状態を把握して,口腔機能の維持・向上を図ることは,肺炎や認知症の予防,全身の機能低下,すなわちフレイルの予防につながると京都府歯科医師会の先生方より提言がなされております。現在京都府下においては7市町村が実施されています。京都市においては今後健診事業がスタートすると伺っておりますが,単なる検診に終わらせることなく,その先のケアまで含めた体制を構築することが重要であると考えますがいかがでしょうか,お答えください。 最後に,子供に係る医療費助成について質問します。京都市では子ども医療費の助成について,これまで平成5年の制度創設以来7回にわたって拡充をしてきたところであります。特に平成24年3月の市会決議以降は,平成25年9月に1箇月の通院医療費の自己負担額3,000円を超えた場合の現物給付化を導入し,さらに平成27年9月には,入院及び通院医療費の支給対象年齢を小学校6年生から中学校3年生へ拡大するなど,市会決議でも言及したように,限られた財源の中,現実的かつ計画的な拡充が,門川市政と山田知事との府市協調の下図られてきました。府市協調に反対ばかりの方々では決して実現などされなかったと断言しておきたいと思います。 今後とも,子育て・教育環境日本一の実現のためには,子ども医療費制度について国の制度充実を待つまでもなく,本市自らが拡充に努める必要があり,公明党京都市会議員団としても,門川市長へ予算要望を重ね,市長御自身も市長マニフェストをはじめ,「京プラン」実施計画第2ステージ,貧困家庭の子ども・青少年対策に関する実施計画にも記載されているところです。本市の厳しい財政状況については,昨年度の決算及び2018年度の予算案にも示されてはおりますが,これらの財政状況を踏まえつつも,現実的,計画的に拡充が図られるべきものであり,何より京都府との府市協調による制度拡充の実現が必要であると考えますが,まず具体的な道筋についてどのようにお考えかお聞かせください。 また,この子ども医療費助成制度については国からの助成はなく,自治体の独自事業によって医療費が増大するとして国民健康保険の国庫負担金の減額調整,つまりペナルティーが科せられてきました。公明党としてペナルティーは見直すべきであるとの我々地方議員の声を受け,2015年2月の参院本会議において,山口那津男代表が,減額調整は見直すべきであると訴え,党内においても子ども医療費検討会議を設置し,政府に対し強く働き掛けを行ってまいりました。これらの主張を受け,2018年度政府予算案において自治体が独自に行う子ども医療費の助成に対し,未就学児分の減額調整が廃止されることになり,56億円が確保されることになります。子ども医療費の安定的な継続と少子化対策の新たな財源確保がなされたことは,確実な前進であると評価するところであります。 また,ペナルティー廃止に伴う見直し内容の具体化に向けた議論でも,公明党は,生じた財源を子育てに無関係な事業ではなく,あくまで少子化対策に充てるよう自治体に求めるよう訴えてまいりました。少子化が進行していく中,少子化対策は待ったなしの状況であり,医療費助成の拡充と共に,待機児童解消,働き方改革,保育士の待遇改善など取り組むべき課題はあり,今後とも一層の強化充実が必要であります。待機児童については,京都市は29年度当初では4年連続かつ国の新基準でも待機児童ゼロを達成するなど,保育園の御協力もあり,達成できたことは大いに評価に値するものであり,関係者の皆様には敬意を表するものであります。これらの点も踏まえ,京都市においての考え方,具体的な充当先についてどのようにお考えかお聞かせください。 以上で私の質問を終わります。御清聴誠にありがとうございました。(拍手) ○副議長(久保勝信) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 湯浅光彦議員の御質問にお答えいたします。 まず,平成30年度予算編成についてでございます。来年度予算は,厳しい財政状況の中にあっても,行財政改革を断行し,京都の未来のために先行投資を積極的に推進する。こうした基本姿勢の下に,一つ一つの投資事業の意義,効果を徹底的に吟味したうえで予算化いたしました。80年以上にわたり芸術文化の一大拠点である美術館は,民間から50億円の資金を得て,世界に冠たる美術館として再整備いたします。中央卸売市場は,将来にわたって市民の食生活や生産者を支えるとともに,京の食文化の発展に貢献するために重要なものであり,しっかりと精査し,再整備を行います。未来の京都を担う子供たちのために学校施設の整備も極めて重要であります。また,南部クリーンセンターにつきましては,ごみ減量により焼却施設を5工場から3工場に減らし,建替え経費総額800億円,年間運営経費20億円を削減しております。そのうえで南部クリーンセンターの建替えは必要であり,実施しております。そして,築90年の市役所の庁舎は,耐震化も喫緊の課題であり,市民の皆さんの最も重要な防災拠点等の体制を整えるなど必要なものであり,さらには年間6億円の近隣における民間ビルの借上げ料の削減にもつながります。このように,公共事業はいずれも京都の今と未来にとって必要不可欠なものばかりでございます。今後とも,事業の必要性等につきまして市民の皆様に丁寧に説明し,共感と御理解を頂きながら,安心安全のまちづくり,都市の魅力・都市格の向上や市民の皆様の豊かさの実感につながるよう取り組んでまいります。 次に,府市協調についてでございます。今期で御勇退される山田知事とは,府市懇談会をはじめ,あらゆる機会を通じて忌たんなく本音で意見交換をし,徹底した市民・府民目線,未来志向の議論により,全国にも例のない府市協調の成果を挙げてまいりました。動物愛護センターや衛生研究所,消防学校,計量検査所の共同化,総合観光案内所の共同での設置や,全国初の中小企業への府市協調融資制度の創設・拡充など市民サービスの向上と,より一層効率的・効果的な行政運営を目指し,聖域を設けず限界に挑戦してきたところであります。こうして築いた府市の揺るぎないパートナーシップが,民間も含めましてオール京都の取組を強固にし,文化庁の京都への全面的な移転決定にもつながったと考えております。今後とも,確固たる府市協調により,市民・府民の暮らしを守り,京都の発展を支えていく必要があります。そのためにも,真に京都の今と未来に責任を持つ実行力のある市政・府政を引き続き進めることが極めて重要であると考えております。こうした考えの下,新たな知事とも率直に意見を交わし,これまで山田知事と確認してきました基礎自治体重視で,企画構想段階から徹底して議論し,政策の融合や二重行政を打破していく,そうした京都方式を共有するとともに,市会の先生方と車の両輪となって,府市協調による更なる市民サービスの向上と全国一効率的・効果的な行政運営を追求してまいります。 次に,食べ残しや手付かず食品といった食品ロス削減の取組についてでございます。京都市のごみ量は,ピーク時から49パーセント削減できましたが,今年度のごみ量は,1月末現在,対前年度比0.7パーセント減と減量のペースが大幅にダウンしており,強い危機感を持っております。こうした中,生ごみの4割が食品ロスで,年間4万6,000トン(後刻訂正)もの食べ物がごみとして捨てられている現状に,私も,環境面はもとより,食に対する文化的意識からも心を痛めているところであります。このため,食べ物が賞味期限前であるにもかかわらず,賞味期限が残り3分の1を切ったものは,ごみとして捨てられているという食品小売業界の商慣習の見直しに向け,商品の販売期限を延長した際の市民の購入意識や廃棄される量の変化等を検証し,食品ロス削減に向けた取組,仕組みづくりを進めております。さらに,湯浅議員御指摘の市内のコンビニエンスストアや食品スーパーから排出される食品ごみは,平成28年度は,25年度の1.6倍,約8,000トンと増加しており,その削減を強力に進めていく必要がございます。このため,新たにコンビニ等における食品廃棄物の実態調査を行い,効果的な削減手法を検討するほか,食品ロス削減を推進されている販売店を優良店舗として認定する制度を創設し展開するなど,市民・小売事業者の皆様と共に食品ロス削減の実践の輪を大きく広げてまいります。 次に,子ども医療費の助成についてでございます。本市は,子育て環境日本一の実現に向けて,子供の成長段階に応じた切れ目のない,きめ細かな取組を進めてまいりました。特に,子育て世帯の医療費負担の軽減は,国の制度がない中,オール京都の喫緊の課題として,府市協調の下にこれまで7回にわたって制度の拡充を行い,来年度は19億円の予算を確保しているところであります。市民の皆様とのお約束として掲げました子ども医療費支給制度による負担軽減の拡充につきましては,巨額の財源捻出を必要としますが,平成24年3月の市会決議も踏まえまして,恒久的な制度の創設を国に要望しつつ,子育て世帯に喜ばれ,かつ効果的な制度となるよう,平成31年度末までの実現を目指し,府市協調で取り組んでまいります。また,湯浅議員御指摘の国民健康保険の減額調整措置の一部廃止に伴い確保できました3,000万円の財源の充当先につきましては,全ての子供が最大限の可能性を発揮できるように,来年度新たに実施する就学や就職等により児童養護施設を退所する子供への支援や,保育所における医療的ケア児支援などの事業に活用することとしております。今後とも,全ての子供,若者が無限の可能性を発揮できるまち・京都の実現に向けて全力で取り組んでまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 失礼いたしました。発言の訂正をさせていただきます。生ごみの年間のごみ量につきまして「4万6,000トン」と申し上げましたが「6万4,000トン」の誤りでございました。謹んで訂正させていただきます。 ○副議長(久保勝信) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 中小企業の事業承継支援についてでございます。現在,中小企業では,経営者の高齢化や後継者不在等の問題に直面しており,これがそのまま放置され,廃業が進みますと,本市経済の基盤が失われるだけではなく,京都の伝統や文化に根付き長年営まれてきた企業やお店も減少し,京都が持つ魅力や強みまで失われかねないという強い危機感を持っております。そこで本市では,中小企業未来力会議の意見を踏まえまして,今年度から,経営者の皆様に早期の事業承継に着手する重要性に気付いていただく掘り起こし専任の経営支援員を商工会議所が運営する事業引継ぎ支援センターに配置し,支援体制の強化を図ってまいりました。その結果,事業承継に関する相談件数が増加するなど,業界全体に事業承継への関心,問題意識が高まりつつあります。今後は,関係機関としっかり連携し,後継者のマッチングなどの支援を一層充実し,早期,そして少しでも多くの中小企業が事業承継できるよう全力で取り組んでまいります。 また,湯浅議員御指摘のとおり,事業承継による世代交代は,これまでの経営を革新し,後継者が新たな事業に挑戦する好機でもあります。本市では,これまでからオスカー認定制度や経営支援員による経営革新支援など中小企業の新事業創出を支援してまいりましたが,国におきましても,来年度,事業承継を促進するための税制改正や支援策の拡充が予定されております。今後も,本市施策と共に国等の施策を最大限に活用しながら,事業承継の加速化とそれを契機とした経営革新,第二創業の創出に積極的に取り組んでまいります。以上でございます。 ○副議長(久保勝信) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 歯科口腔保健についてでございます。近年では,8020運動が目指す歯を残すことを基本としつつ,さらに口の機能を維持することで,全身の健康増進へとつなげていく取組が必要とされております。このため,今年度中に策定する口腔保健推進実施計画におきましては,口腔機能が弱っていくオーラルフレイル対策に重点を置き,京都府歯科医師会との連携の下,強力に推進することとしております。具体的には,誰でも気軽に取り組める京都市版お口の体操プログラムを,保健福祉センターが地域で行う健康づくり事業等において普及啓発するとともに,75歳の市民の方を対象に,後期高齢者歯科健康診査を無料で実施する予算を提案しております。この健康診査では,湯浅議員御指摘のとおり,健診にとどまらずケアにつなげることが重要であり,本市独自の取組として,歯科医療機関での健診に併せて,口の筋肉トレーニング等の保健指導を行うとともに,健診結果を活用し,地域介護予防推進センターでの口腔機能向上教室の利用等へ結び付けてまいります。こうした取組を通じ,より多くの高齢者の方にオーラルフレイル対策に取り組んでいただき,健康長寿のまち・京都の実現を目指してまいります。以上でございます。 ○副議長(久保勝信) 次に,かわしま優子議員に発言を許します。かわしま議員。 〔かわしま優子議員登壇(拍手)〕 ◆(かわしま優子議員) 伏見区選出のかわしま優子でございます。湯浅光彦議員に続いて,この後の西山信昌議員と共に公明党京都市会議員団を代表し,平成30年度京都市予算案について質疑を行います。門川市長並びに理事者におかれましては,誠意ある御答弁をよろしくお願いいたします。 初めに,ひきこもりへの支援について質問いたします。これまでひきこもりは,39歳頃までの青少年がその対象とされてきましたが,近年,ひきこもりの長期化・高齢化が深刻な問題となり,80代の親と50代の子を意味する8050問題と言われるようになりました。2015年の内閣府の調査によると,15歳から39歳のひきこもりの人が全国で推計54万人。そのうえで,ある識者によると,40歳以上を合わせると100万人から200万人とも言われています。ひきこもりが長期化すると親も高齢になり,親の年金などで支えていた生活が,病気や介護などにより困窮したり,親が亡くなった後の生活などの問題が生じています。このような実情から,内閣府は2018年度,40歳から59歳を対象としたひきこもり状態の人がどのくらいいるかということと併せて,家庭の状況や課題の実態調査を行うこととしました。 私のもとにも,何年もの間,子供さんがひきこもり,悩んでおられる親御さんから,なかなか相談に踏み出せない,また,どこに相談すればいいか分からないといった声が寄せられています。ひきこもり当事者や家族が相談に踏み出せない理由に,ひきこもりは当人の甘えや甘やかしなどの偏見や,既存の環境に適応すべきといった圧力が挙げられます。このような偏った価値観を解消し,当事者や家族が暮らしやすい地域社会にしていかなくてはなりません。そのためには,折々にひきこもりへの理解を深める機会をつくり,市民理解の醸成に取り組んでいく必要があるのではないでしょうか。昨年12月,本市において「ひきこもる若者にできること」と題して開催されたひきこもり支援に関する講演会に参加させていただきました。会場は満席で,申込みに漏れた方が朝から並ばれたとお聞きし,関心の高さと,その切実さを実感いたしました。神戸松蔭女子学院大学の坂本真佐哉先生の講演では,ひきこもる側の心理を理解し,プレッシャーを掛けずにコミュニケーションを回復していくための具体的なお話があり,終了後には支援団体を紹介し,その場でつながるブースも設けておられました。このようなセミナーの開催は,家族の不安や孤立を軽減する大変いい機会となると思われます。 京都市においては,子ども・若者支援室,こころの健康増進センター等において相談支援をしています。青少年活動センターや区役所の子どもはぐくみ室でも相談に応じておられますが,こころの健康増進センター以外は,青少年を掲げた相談窓口となっており,高齢化した親も本人も,なかなかここに行き着いていないのが現状です。高齢の方にも相談窓口の周知を広めるために,例えば,地域包括センターや民生委員からの情報提供や,相談してみようと思える情報の発信が有効ではないでしょうか。また,ひきこもりが青少年の問題だけでなく,長期化・高齢化が進む中で,経済的困窮,医療,介護といった問題が絡むため,各機関が連携し,地域に開かれた支援体制の構築をしていく必要があると考えます。そこで,ひきこもりの長期化・高齢化などの実情を踏まえ,支援体制の連携や強化と共に,ひきこもりに悩む当事者や高齢化した家族が安心して生きていくことができるよう,市民理解の醸成,相談窓口の周知など,ひきこもりへの支援の更なる充実に取り組むべきと考えますが,いかがですか。 次に,障害者スポーツ振興について質問いたします。現在,韓国・平昌では冬季オリンピックが開催され,毎日熱い戦いが繰り広げられています。2020年,東京で開催されるオリンピック・パラリンピックの開催もあと2年となり,障害者スポーツもメディアで取り上げられる等,機運も高まってきています。前回のブラジル・リオでのパラリンピックには,世界159の国と地域,約4,300人もの選手が参加され,世界中に多くの感動と生きる喜びを与えてくれました。このように,障害者スポーツが広く認知される現状の下,スポーツ基本法においては,スポーツは障害者が自主的かつ積極的にスポーツを行うことができるよう,障害者の種類及び程度に応じ必要な配慮をしつつ推進されなければならないとされていますが,2017年スポーツ庁が実施したアンケートによりますと,成人で障害のない方がスポーツをされる機会が42.5パーセントに対し,障害のある方がスポーツをされる機会は19.2パーセントと,その割合は半分以下となっています。京都市では,これまでから,障害者スポーツセンターや,障害者教養文化・体育会館において,障害者スポーツの体験会等様々な取組を実施し,障害者スポーツの振興を進めてこられました。京都市障害者スポーツセンターで水泳に取り組まれた京都市出身の一ノ瀬メイ選手が,一昨年,リオデジャネイロパラリンピックに出場されました。一ノ瀬選手をはじめとする多くの選手が京都から東京パラリンピックを目指し,歩みを進めておられます。今,パラリンピックに向けた機運の高まりを契機に,これまでスポーツに触れる機会の少なかった障害のある方にも,スポーツや体を動かすことの楽しさを知っていただき,障害者スポーツの振興,障害のある方の社会参加の促進につなげる取組を積極的に進めていくべきではないでしょうか。 また,3月11日には,京都で全国車いす駅伝が開催されます。今回で29回を数える歴史ある大会です。都大路を車椅子の選手たちが猛スピードで走り抜ける姿は圧巻です。このような競技を観戦することは,障害のある方がスポーツを始める動機付けになり,現在スポーツをしている方の励みにもなります。また,障害への理解を深める啓発にもつながります。さらに,東京パラリンピックの正式競技である車いすフェンシングでは,元山王小学校がナショナルトレーニングセンター強化拠点施設として文部科学省・スポーツ庁より指定を受けました。地域住民への練習の公開や昨年10月には国際親善大会が開催されるなど,パラリンピックを目指すトップアスリートのプレイを間近に触れる機会にもなっています。障害のある人もない人も,共にスポーツに親しみ,体験できるような機会をつくり,市民に幅広く周知を広げていくべきと考えます。障害のある方に対し,より積極的に機会を設け,スポーツに親しむ取組が重要と考えますが,御所見をお聞かせください。 続いて,障害者の生活支援について質問いたします。誰もが住み慣れた地域で,自分らしく暮らし続けられるよう,日常生活や社会生活の総合的な支援を目的に施行された障害者総合支援法。施行から3年がたち,来年度は,障害のある方が自らの望む地域生活を営むことができるよう,サービスの新設,生活と就労に対する支援の一層の充実を目的に改正が予定されています。先日お話を聞かせていただいた障害者の家族会の方は,「自分たちの亡き後の子供の生き方は,どこまでも本人の個性に合わせて本人にとって一番いい生き方ができることが大切。そのためにも,今から地域社会で暮らす環境を整える努力をしておかなくては」と言われ,日頃から子供さんと一緒に御家族で地域活動に生き生きと参加されていました。私は,御一家の姿に胸が熱くなりました。地域で誰もが自分らしく生きられる社会をつくり上げていきたいと改めて思いました。本市においては,障害者総合支援法の改正に先立ち,昨年度,障害者の24時間相談体制構築モデル事業を実施されました。独り暮らし,あるいは重度の障害のある方が事前に登録をし,休日,夜間などの緊急時に相談できる支援体制ですが,平成30年度からは事前登録なしに相談ができる事業として全区へ拡大されることとなりました。私が決算委員会において提案したことが反映されたものと,高く評価しています。 また,障害者の方の中にはグループホームでの生活を望んでおられる方もいらっしゃいます。グループホームは,毎年少しずつ増えてはいますが,まだまだ充足しているとは言えない状態です。グループホームの拡充については,空き家の利用などが言われていますが,スプリンクラーの設置や耐震基準を満たしていなくてはいけないといったことが進まない理由の一つになっています。何より入所者の安全が第一ですので,安全基準を満たした施設でなければなりませんが,今後拡充するために,相続した家をグループホームに転用した場合の相続税の減免制度や市営住宅の活用なども含め,グループホームの拡充を進めていっていただきたい。さらに,地域で生活する障害のある方が,適切なサービスを利用し,より社会参加をする機会を増やしていただくことを要望いたします。そこでお伺いいたします。障害のある方たちが地域で自分らしく安心して生活を送っていけるよう,一人一人に合った支援を受けられる施策と民間活力などを使ったグループホームの運営の更なる拡充を要望しますが,いかがでしょうか。 次に,子供のいじめ対策についてお伺いいたします。いじめ防止対策推進法が施行され5年目を迎えましたが,いじめや子供の自殺は減少するどころか,増加傾向にあります。件数の増加は,いじめを積極的に認知し,これまで見逃されていたものが浮き彫りになったという面がありますが,実際にこれだけの子供たちが苦しい思いを抱えていることを思うと,どんないじめも絶対に許さない,いじめは,いじめた方が100パーセント悪いとの大前提に立ち,子供たちの悩み,心の叫びを酌み取っていく体制をつくっていかなくてはなりません。文部科学省が公表している問題行動・不登校等生徒指導上の諸問題に関する調査によりますと,平成28年度における小・中・高・特別支援学校全てを合わせた全国のいじめ認知件数は,過去最多の32万3,808件であり,平成27年度の22万5,132件から9万8,676件もの増加となっております。京都市においても,平成28年度のいじめ認知件数は2,247件であり,平成27年度の547件からおよそ4倍の増加を示しております。これまで京都市では,京都はぐくみ憲章を制定し,いじめから子供の命を守ることを第一義に,未然防止,早期発見に重点を置き,市民ぐるみでいじめをなくす取組を展開してこられました。公明党が導入を推進してきたスクールカウンセラー,スクールソーシャルワーカーの配置活用についても他都市をリードしており,次年度予算では更に配置を拡大されます。 このような中,長野県では9月にLINEを利用した自殺・いじめ相談を全国に先駆けて試行がなされました。県はLINEアカウント「ひとりで悩まないで@長野」を開設し,中学・高校生に登録を促すQRコードを学校より配布。LINEでの相談は午後5時から9時で2週間にわたって実施された結果,県の28年度における電話相談での1日の件数に比べ,実に約55倍の相談があったそうです。試行によるLINEでの相談は1日当たり4時間であり,電話相談のように24時間であったとしたなら,単純計算で約330倍の相談があったという結果が出ています。一方,課題点としては,LINEのようなSNSでの相談においては,相談員から共感,寄り添いを伝えることが難しいといった声もありますが,メリットとして,SNS上での中傷や嫌がらせを,画面保存機能を使ってやりとりをそのまま送信して相談できることが挙げられます。何よりSNSでの相談は,子供にとって気軽であることが一番の利点で,悩みが深刻化する前に早期解消につなげることも期待できます。子供たちにとって身近になりつつあるSNSを活用した相談窓口の開設は,京都市の目指すいじめの早期発見・早期対応にとっても大変有効かと考えます。国においても30年2月補正予算や30年度予算において,SNSを活用した相談窓口の設置に関する自治体への研究事業費の計上をしているところであり,京都市としてもSNSを活用した相談窓口の構築を検討するべきと考えますがいかがでしょうか。 次に,留学生との交流促進と京都情報の発信についてお伺いいたします。「雨の中を二度嵐山に遊ぶ。両岸の青き松にいく株かの桜まじる」で始まる「雨中嵐山」の詩は,京都を愛した中国の周恩来総理が,日本留学時に嵐山の春の景色を詠んだ詩です。この詩を刻んだ石碑が,嵐山の亀山公園内にあり,日中友好のシンボルとして関西を訪れる多くの中国の方が訪問されています。周恩来氏は,帰国後も親日家として日中の友好に尽くされたことは広く知られるところです。京都の街は,古くから多くの留学生を受け入れてきました。青春の一時期を京都の街で過ごした経験は,留学生にとって大切な思い出になるだけでなく,京都への親しみや友情が芽生え,京都ファンになってくださる方も多いと確信します。現在も,世界各国から日本文化の中心地で勉強したいという約1万人の留学生が京都で学んでおられます。 国においては,留学生政策は,主に途上国の人材育成への貢献と国際友好関係の強化を目的とした留学生30万人計画に基づき,2017年の大学,大学院への留学生は約23万9,000人に達しています。国の計画では,2020年をめどに達成することを目標としており,京都市においては1万5,000人に増やす目標を掲げています。留学生は京都での数年間の学生生活の後,母国に帰って重責を担う方や,その後,世界にはばたく人材として活躍することが期待されます。しかし,この留学生のその後の活躍は把握されておらず,大学の同窓会や国別の会などの集まりが僅かな手掛かりとなるだけです。世界のこれからを担う留学生との友好関係を持続し,京都とつながりを続けていただくことは,互いにとって掛け替えのない財産になります。そこで,留学生の方々にインスタグラムやフェイスブック等SNSを活用し,京都市から定期的にタイムリーな京都情報や映像を届けてはどうでしょうか。留学生にも京都の都市情報を情報発信してくだされば,京都の魅力をより多くの方に知っていただくことができます。また,京都での留学経験について発信していただき,現在京都に暮らす留学生へのアドバイスなどもしていただければ有意義な情報媒体になるはずです。留学生に留学終了後もフレンドシップを維持し,京都の文化・観光等都市情報を発信してもらえる施策やシステムの方策の検討をしてはいかがでしょうか。 最後に,今回,本市独自の民泊の適正な運営等を確保するための条例等が議論されています。これまでも国へも要望を行い,京都らしい良質な宿泊サービスとなるよう具体的な取組の検討を進めてこられました。地域の方々からは,何をどうすればいいか分からない,高齢化で動いてくれる人がいないといった御相談をお聞きしますが,地域からの相談に丁寧に対応し,寄り添った支援に努めていただくようお願いいたします。また,地域の方が一番不安に感じておられる火災につきましては,消防検査済表示制度の導入など防災対策を講じておられますが,家屋が密集する地域については防火対策に,より一層努めていただきたい。さらに,何らかの理由により連絡先や事業者が変更になる場合も,地元への周知を行い,持ち主が変わったり,廃業の際には速やかに届出を行い,持ち主不在の新たな空き家を生まないよう先を見据えた手立てを打っていただきますよう併せてお願いいたします。京都市の民泊が京都の都市格の更なる向上につながる良質なものとなり,市民にとっても旅行者にとっても,安心安全な宿となるよう要望しておきます。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(久保勝信) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) かわしま優子議員の御質問にお答えいたします。 まず,ひきこもり支援についてでございます。本市におけるひきこもり支援に当たっては,中京青少年活動センター内に設置する子ども・若者支援室と様々な心の問題に対応するこころの健康増進センターが共同し,ひきこもり地域支援センターを設けているところであります。とりわけ,ひきこもりの長期化や高齢化等の実情を踏まえた対応については,こころの健康増進センターにおいて,個別相談,家族教室やミーティングなどにより家族や本人の孤立を防止し,社会との関わりが持てるよう支援を行ってきております。しかしながら,かわしま議員御指摘のとおり,ひきこもりで悩みながらもうまく相談につながらない事例も多く,これに対応していくことが大きな課題となっております。このため,今年度初めて主に40歳以上のひきこもりの方に焦点を当てた実践研修会を開催し,支援の技術向上を図る取組を行っております。さらに,民生児童委員を対象とした講習会等に講師を派遣する取組も行い,地域における理解と支援の輪を広げてまいります。支援を必要としながら,いまだ相談につながっていない方については,社会福祉協議会や地域包括支援センター等との連携の下,支援ニーズを把握していくことが極めて重要であり,保健福祉センターの分野を超えた総合的な支援はもとより,地域に出向いていくアウトリーチ活動を積極的に実施し,民間の支援団体と協働して必要な施策につなげるよう努めてまいります。今後も,お一人お一人に寄り添ったきめ細やかな支援を行い,ひきこもりに悩まれる御本人や御家族が安心して地域で暮らしていける社会を構築してまいります。 次に,障害のある方の生活支援でございます。障害のある方に,地域で自分らしく暮らしていただくためには,日常生活や社会生活を送るうえで必要となる支援を適切に受けていただくことが必要であり,また生活の基盤となる安心安全な住まいの確保が重要でございます。地域における生活支援に当たりましては,きめ細やかな支援が大切であります。そのため,現在4行政区を対象にモデル実施しております24時間相談体制を来年度から全市域に拡大し,休日や夜間・早朝の時間帯も含めまして,切れ目のない相談と共に適切な支援につなげてまいります。あわせまして,独り暮らしを始めた方を定期的に訪問し,生活の安定を支援するため創設された自立生活援助という新たな福祉サービスを活用し,障害のある方の地域での自立した生活を支援してまいります。また,安心安全な住まいの場として重要な役割を果たすグループホームにつきましては,国庫補助金を活用して整備支援を行ってきております。この5年間で380人分から594人分と214人分の増加を図り,そのうちの約8割は民間による独自の整備となっております。現在策定中のはぐくみ支え合うまち・京都ほほえみプランにおいては,グループホームの必要量を今後3年間で更に150人分増加するものと見込んでおります。今後,民間活力をいかした整備を基本に,相続する家の転用や空き家の活用をしやすくするため国の動きに応じまして必要な要望も行っていくとともに,市営住宅の活用の必要性も見極めながら確実な整備に努めてまいります。 私からは以上でございます。以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○副議長(久保勝信) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 留学生との交流促進と京都情報の発信についてでございます。都市の理想像である世界文化自由都市宣言の下,京都に多くの留学生が集い,市民との異文化交流が進むことは,大学の活性化のみならず,まちの活性化にも大きく寄与いたします。また,留学生に京都ファンとなって帰国していただくことは,海外における京都の魅力発信にもつながるものと考え,これまでから留学生施策の推進に取り組んでまいりました。こうした結果,今年度におきましては,136の国・地域から8,317人,日本語学校などを加えますと1万991人の留学生が学んでおられます。かわしま議員御指摘の情報発信につきましては,これまでは,オール京都で取り組みます留学生スタディ京都ネットワークにおいて,留学生の誘致を目的として,京都への留学を検討している海外の若者を対象に,フェイスブックやインスタグラムなどのSNSを活用し,多言語により情報発信を行ってまいりました。しかしながら,帰国後の留学生とのつながりを大切にし,京都とそれぞれの国との掛け橋になっていただくことも必要であります。今後は留学経験者や現役留学生にも対象を拡大し,SNSでつながり,最新の文化・観光情報や身近な生活情報はもとより,大学や企業のトピックスなど,京都の今とつながっていると実感していただける情報発信を積極的に行っていくことにより,いつまでも京都に愛着を感じていただくとともに,留学経験者や現役留学生が情報発信源となって,世界中の多くの方々に京都の魅力を伝え,京都に留学したい,訪れたい,暮らしたいと思っていただける取組を強力に進めてまいります。以上でございます。 ○副議長(久保勝信) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 障害者スポーツの振興についてでございます。スポーツは,障害の有無を問わず,自分の限界を乗り越えようと果敢に挑戦する姿が人々に感動を与える大きな力がございます。かわしま優子議員御紹介のとおり,本市では,全国身体障害者スポーツ大会の京都開催を契機に回を重ねている全国車いす駅伝大会,あるいは,平成29年2月に元京都市立山王小学校が車いすフェンシングの強化拠点に指定されるなど,これまで取組を進めてまいりました。また,京都マラソンでは,毎年車椅子競技を実施し,今年は両足義足のランナーが応援大使として,視覚障害のランナーはペア駅伝に参加され,それぞれ活躍していただきました。2020年の東京パラリンピックの開催を控えた機運の高まりは,障害者スポーツのすばらしさを知っていただく絶好の機会であり,効果的な取組を展開してまいります。具体的には,京都の障害者スポーツの拠点である京都市障害者スポーツセンターにおいて,障害のない方も対象にした東京パラリンピックの正式競技の紹介や体験会を開催し,広く市民の皆様に知っていただく取組をはじめ,パラリンピック正式競技の中でも人気の高い水泳や卓球などの教室や競技会を開催し,目標を持って練習を積み重ね,達成する喜びを感じることで,スポーツを継続していただく取組を進め,アスリートの発掘につなげてまいります。今後とも,障害者スポーツの振興を通じ,障害のある方の社会参加を促進していくことで共生社会の構築に向け一層取組を進めてまいります。以上でございます。
    ○副議長(久保勝信) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕 ◎教育長(在田正秀) SNSを活用したいじめ相談窓口についてでございます。本市では,いじめは,子供の心と体に深刻な傷を残す重大な人権侵害であり,人間として絶対許されないとの認識の下,日頃から子供たちに他人を思いやる心,正義感等を育む教育活動を進めております。また,全ての学校でいじめの防止等基本方針を定め,全教職員が情報を共有し,組織的な対応を進めるとともに,全校に配置しておりますスクールカウンセラーによる校内相談体制の構築やいじめアンケートの実施など,子供の声なき声を拾おうと,積極的な把握を徹底した結果,いじめの認知件数が増加しております。こうした中,こども相談センターでのカウンセリングや24時間体制の電話相談窓口の開設,電子メールによるいじめ相談の実施など多様な相談体制も構築しております。かわしま優子議員御提案のSNSを活用した相談窓口は,短い文字や図柄等で情報が提供されるため,相談者の意図を十分に酌み取ったうえで即時の適切な助言が困難等の課題もございますが,子供の悩みを受け止め,早期発見,早期対応につなげる新たな方策として注目すべきものであり,国のモデル事業に応募し,設置について検討してまいります。今後とも,いじめはどの学校でも起こり得るとの認識の下,全ての学校で見逃しのない観察,手遅れのない対応,心の通った指導を徹底し,全ての児童生徒の生き生きとした学校生活の実現に取り組んでまいります。以上でございます。 ○副議長(久保勝信) 次に,西山信昌議員に発言を許します。西山議員。 〔西山信昌議員登壇(拍手)〕 ◆(西山信昌議員) 下京区選出の西山信昌です。湯浅光彦議員,かわしま優子議員に引き続き,平成30年度京都市予算案及び市政の重要課題について質疑いたします。市長並びに関係理事者におかれましては,誠意ある御答弁をお願いいたします。 ネイティブアメリカンの教えに「この地球は,先祖から受け継いだものではなく,未来の子供たちからの借り物である」との言葉があると言います。私の本日の質疑は,このすばらしい京都,そして地球を未来の世代のために永遠にとの決意を込めて,SDGsをテーマに行います。 まず初めに,SDGsの推進についてお尋ねします。最近,時折目にするようになったこの言葉は,Sustainable Development Goalsの略称で持続可能な開発目標と訳されます。世界で終わりの見えない紛争やテロ,国境を超える感染症,気候変動,国内に目を向けても,頻発する災害,人口減少,超高齢社会など,私たちの世界は今,世界を持続不能とする多くの課題に直面しています。そういった状況を統合的に解決していくため,2015年9月の国連総会において,全国連加盟国193箇国が全会一致で採択し,2030年を目指して17の目標と169の具体的なターゲットを盛り込んだのがSDGsです。17の目標の中には,貧困をなくそう,全ての人に健康と福祉を,気候変動に具体的な対策をなどがあり,発展途上国だけではなく先進国も取り組むものです。 (パネルを示す)こちらがその17の目標を並べたものです。国のSDGs推進本部が2016年12月に策定した実施指針によれば,SDGsの推進は政府のみならずNPO,民間企業,消費者をはじめ広範な関係者による取組が必要となり,全国的にSDGsを実施するためには,広く全国の地方自治体及びその地域で活動する個人・団体による積極的な取組を推進することが不可欠とされています。公明党は,党を挙げてSDGsの推進に全力を挙げています。なぜならば,SDGsの前文に掲げられる「誰一人取り残さない」との理念は,正に公明党が長年掲げてきた生命・生活・生存を最大に尊重する人間主義の理念と合致するからです。こういったことから,公明党京都市会議員団は,この間,議論を重ね,京都市における持続可能な開発目標SDGsの推進に向けた提言を取りまとめ,2月16日に門川市長に提出しました。 (実物を示す)こちらがその提言書です。この提言においては,1,京都市におけるSDGs推進方針の策定,2,市民への行動様式としてのSDGsの浸透,3,SDGsの包摂性とシナジー効果を踏まえた施策の展開,4,企業・大学・団体等の主体的なSDGs推進の支援,5,世界共通言語であるSDGs推進を通じた京都ブランドの向上の五つの視点に立ち,多くの提案をしています。京都市においては,昨年,12月10日,京都議定書誕生20周年を記念し,持続可能な都市文明の構築を目指す京都宣言を行うなど,世界をリードする取組をしています。今,世界が同じ目標に向かって動き出したこのとき,持続可能な世界の構築に向けて大きな役割が期待されています。そこで,京都市において,市政運営の基本にSDGsを位置付け,全庁的にSDGsの推進に取り組むべきと考えますがいかがでしょうか。また,まだまだSDGsという言葉自体が浸透していない中,積極的な普及・啓発に取り組むとともに,企業,大学をはじめ多様な団体と連携した取組を推進すべきと考えますがいかがでしょうか。 次に,分かりやすい情報提供の充実についてお伺いします。 (パネルを示す)これは,SDGsの10,人や国の不平等をなくそうなどに関連します。「なかなか政治家の声が届かないんです」。ある障害者団体の全国集会に参加したときの知的障害を抱える方についての発言が,今でも私の心から離れません。政治家の声はともかく,生活に必要な行政情報も十分に届いていないということに改めて気付かされたのです。知的障害など,活字情報の理解に困難を抱える方々にとっては,家族等からの間接的な情報提供が中心で,直接,本人に分かりやすく情報が届けられることは極めてまれであるというのが現状です。平成28年4月,障害者差別解消法が施行されましたが,障害を抱えた方が自らの意思決定をきちんと行うためには,必要な情報を分かりやすく得られる環境を整備し,その権利を十分に保障しなければなりません。この課題について,教育福祉委員会などでも質問を重ねました。また,今後,社会のあらゆる場面で,誰にも分かりやすい情報提供が広がっていけばとの思いに立ち,私が発行する市政報告紙下京まっすぐジャーナル第6号の表面の漢字にルビを振り,平易な表現に心掛けた分かりやすい版として発行しました。そして,折しも,議員団のSDGsの政策研究に取り組む中,分かりやすい情報提供の充実に向けた取組は,私が取り組むSDGs,いわばマイSDGsとなり,今後も取組を続けていきたいと考えています。 そんな中,現在,京都市では,(仮称)はぐくみ支え合うまち・京都ほほえみプランのパブリックコメントが実施されており,ここで分かりやすい版が作成されており,大いに評価するところです。こういった分かりやすい情報提供の取組は,知的障害のある方のみならず,外国人に対する災害時の情報伝達手段として広がってきたやさしい日本語にも重なり合う部分が多く,高齢者や子供などに情報を伝えるにも効果的なものと考えられます。全国に目を向けると,市のホームページの言語選択にやさしい日本語を設けたり,市政の幅広い分野についてやさしい日本語を用いた情報発信をしている自治体もあります。京都市においても,分かりやすい情報提供を市政の様々な場面にまで広げて充実させていただきたいと思いますがいかがでしょうか。 次に,世界人権宣言70周年の取組についてお伺いします。 (パネルを示す)これもSDGsの目標10,人や国の不平等をなくそうなどに関連します。「すべての人間は,生まれながらにして自由であり,かつ,尊厳と権利とについて平等である」。この有名な文言から始まる世界人権宣言が国連で採択されたのは1948年12月10日。本年は,宣言から70周年を迎えます。2011年には人権教育及び研修に関する国連宣言が採択されました。この宣言は人権教育の国際基準を初めて定めた宣言であり,人権に関する知識の習得や理解の深化にとどまらず,態度と行動を育むことを明確に射程に入れています。平成27年に策定された京都市人権文化推進計画においては,10年後の目指す姿として市民や企業・団体等が,人権文化の息づくまちを目指して,家庭,地域,職場等において,自らが行動する社会が掲げられており,国連の取組と軌を一にしたものと言えます。しかしながら,自らが行動する社会をつくるためには,より一層の取組が必要ではないでしょうか。 近年において障害者差別解消法や部落差別解消推進法などの施行により,今一層様々な分野において人権尊重,差別解消の取組が求められていますが,私が市民を対象に実施したアンケートにおいては,障害者差別解消法の趣旨を知る人は3割余りにすぎないとの結果となりました。昨年の5月市会の我が会派の大道議員の人権政策の質問に対し,門川市長は,「京都市は,大正11年に日本初の人権宣言と言われる全国水平社宣言が行われ,また,昭和53年には世界文化自由都市宣言を行い,人権を尊重してきた都市である」と述べられました。折しも,本年は,世界文化自由都市宣言40周年の節目の年でもあります。大正,昭和と宣言を高らかに掲げながら人権文化を育んできた京都市として,平成が終わりを迎えようとする30年度は,次代を見据え,人権尊重のため行動する多くの市民を生み出すため,京都市の人権文化推進における新たな歴史を開く取組がなされることを強く望むものであります。そこで,京都市における世界人権宣言70周年の取組の考えをお聞かせください。 次に,長期入院中の児童生徒への学習支援についてお伺いします。 (パネルを示す)これは,SDGsの目標4,質の高い教育をみんなにに関連します。2015年に発表された文部科学省の長期入院児童生徒に対する教育支援に関する実態調査の結果によれば,30日以上の長期入院をした高校生の68パーセントが全く学習支援を受けていないことが明らかになりました。これは小学生・中学生の42パーセントと比較しても高い数字です。義務教育である小中学校においては,病院内に特別支援学校の院内教室が設置されるなど,入院中の児童生徒への学習支援が徐々に充実してきています。高等学校段階への進学率が98パーセントを超えていることからも,特に,入院中の高校生においても,学習指導や学習支援等の教育の充実が必要ではないでしょうか。入院した高校生たちは,病気への不安,学習の遅れや進路への不安,家族,先生,友達から離れることによる孤独感など,身体的にも精神的にも様々な困難に陥りやすい状況にあり,長期入院中の高校生への学習支援は単に学習を保障するだけでなく,高校生たちの精神的な安定と成長をもたらす大きな役割を果たします。逆に支援が十分でないと将来への希望をも失いかねません。長期入院中の高校生に対しては,現在,設置義務のある府県を中心に極僅かな自治体ではありますが,特別支援学校の病院内学級への高等部の設置,在籍校からの講師派遣や遠隔授業の実施,訪問授業の実施が進むとともに,国においても,この間ICT技術の発展により療養中の生徒が通信機器を活用して単位取得できるよう制度化が図られるなど,徐々に取組が広がりつつあります。この影には,当事者である入院中の高校生が,自分のことはさておき,同じ悩みを持つ人のためにとペンを執り,現状の改善を求める手紙を知事などに出し実現された例もあると言います。京都市においても,病院内教育を実施する総合支援学校に高等部はありませんが,高校生への学習支援については,入院生徒の在籍校と連携した支援が徐々に進んでいます。今後,闘病される高校生や御家族の希望の光となるような教育環境の充実を望むばかりです。総合支援学校でできること,在籍校への支援など様々な支援の方法が考えられます。市だけではなく,在籍校の協力や京都府との連携も必要でしょうし,国の制度の充実を求めなければならない課題かもしれません。そこで,高等学校を含め,今後の京都市における長期入院中の児童生徒への学習支援についてお聞かせください。 次に,父親への子育て支援の充実についてお伺いします。 (パネルを示す)これは,SDGsの目標5,ジェンダー平等を実現しように関連します。厚生労働省の今後の仕事と家庭の両立支援に関する調査によると,半数以上の男性が,男性も家事・育児を行うことは当然であると回答しています。しかし,2016年の社会生活基本調査によれば,6歳未満の子供がいる共働き夫婦の家事・育児時間は,夫婦共に正社員である場合でも,夫の分担率は2割を切っていると言います。共働き世帯が増える中,従来に増して家事・育児の負担の大きさに苦しむ女性が増えていることは容易に想像できるところです。このようなことが背景にあるのか,昨年の流行語大賞の30のノミネート語に「ワンオペ育児」が入りました。 このような中,識者は,父親がより育児に積極的に参加できるようにと,父親への子育て支援の充実の必要性を指摘しています。男性の育児参加は,妻の育児負担を軽減するだけではなく,少子高齢社会が抱える様々な課題解決にもつながる可能性を秘めています。ファザーリングジャパンの安藤哲也氏は,イクメンの五段活用を提案されています。すなわち,イクメンは,子供が幼児期・学童期になると,次は地域で活躍する男性・イキメンになる。イキメンは仕事と育児を両立できる職場づくりを支援する管理職イクボスになる。イクボスは定年後は孫育てや地域で子育て支援の活動をする中高年男性・イクジイになる。そして万一家族が要介護になったとき,介護する男性・ケアメンになるといいます。これは正に,仕事と子育てや介護を両立させ,地域でも活動することによって人間としても成長するという真のワーク・ライフ・バランスの考え方と一致するものであります。平成30年度予算においては,真のワーク・ライフ・バランスのための働き方改革の推進が掲げられていますが,是非,男性の育児参加を大きく促進するような内容としていただきたいと思います。 また,男性の育児参加には,育児に関する知識の学びや父親同士の交流等の父親へのサポートも必要と考えます。全国に目を向けると,父親の育児を支援するホームページやリーフレットを作成したり,父親向けの育児講座を充実させるなど,取組を強化している自治体もあります。 (実物を示す)この市民しんぶんの2月1日号でも子育てに悩む父親が描かれており,父親への子育て支援の充実の必要性が伺われます。本市においても,父親の子育てを支援する取組がありますが,父親が利用しやすいものとなっているか,より父親の育児を支援するものとなっているかなどを検証するとともに,真のワーク・ライフ・バランスを推進する観点からも,今後より多くの父親が積極的に育児に参加できるよう父親への子育て支援を充実すべきと考えますがいかがでしょうか。 最後に,防災意識の向上に向けた取組について要望します。 (パネルを示す)これは,SDGsの目標11,住み続けられるまちづくりをに関連します。昨年10月に発生した台風21号は全国で甚大な被害をもたらし,京都市においても人的被害や建物被害などに見舞われました。まずもって,被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。この台風の際,私の地元下京区では,七条学区,七条第三学区,西大路学区で避難準備・高齢者等避難開始が発令され,緊急避難場所が開設されました。下京区では初めての避難勧告等の発令となりました。深夜に携帯電話の警報音がけたたましく鳴り響き,目を覚まし,避難した方がいいのか,家にいる方が安全なのか,どうしたらよいものかと悩まれた方も多数あったと言います。そのような中,避難勧告等が出たときにどうしたらよいか教えてほしいとのお声を頂き,私が防災セミナーの講師としてお話をさせていただくということもありました。そのセミナーで防災マップなどを用いて説明する中,感じたことは,避難勧告等が発令される経験が余りない地域においては,自分の住んでいる地域にも川の水が氾濫して押し寄せてくる危険性があることすら意識されにくい状況があるということでした。 私が,下京区民を対象に台風前に実施した防災に関するアンケートにおいても,避難勧告等の名称の一部が,避難準備情報から避難準備・高齢者等避難開始に,避難指示が避難指示(緊急)に変わったことを知る人は3割を切り,4割を超える人が,防災訓練にほとんど参加したことがないと答えるなど,万が一の事態を考えると不安な結果となりました。学区防災訓練の際,区役所からは,必ず挨拶の中で,参加されていない方への訓練参加の呼掛けや日頃の備えへの声掛けと共に,地域で顔の見える関係づくりを依頼されていますが,これが重要なことと思います。また,現在,地域の皆様のお力もお借りしながら,我が家の防災行動シールの配布も進んでいます。台風による被害はどこで発生するか分かりません。 今後,様々な観点からの市民の防災意識向上に向けた取組の更なる推進を要望して私の質疑を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(久保勝信) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 西山信昌議員の御質問にお答えいたします。 まず,持続可能な開発目標SDGsの推進についてでございます。平成27年9月に国連において掲げられたSDGsは,人権,格差の是正,教育,環境,平和など先進国と開発途上国が共に取り組むべき国際社会全体の普遍的な17の目標であり,その実現に向けては,各国政府だけでなく,地方公共団体をはじめ,民間企業等が主体的に取り組むべき大事な課題であります。先般,公明党京都市会議員団の先生方から,京都市におけるSDGsの推進方針の策定など,五つの視点に立った具体的かつ貴重な御提言を頂きました。ありがとうございます。本市では,例えば「京プラン」に掲げられている一人一人が尊重される社会を目指すという基本方針が,SDGsでは不平等の是正とされているように,「京プラン」とSDGsとは目指す方向性が同じであります。さらに,京都市の様々な個別の施策の方針等とも目標や取組指針等が共有されているものと認識いたしております。したがいまして,「京プラン」などの施策の深掘りを行い,確実に実行していくことが,SDGsの推進強化にもつながっていくものと考えております。あわせまして,SDGsの普及啓発も重要であると認識いたしております。例えば昨年秋に開催された京都国際映画祭においては,吉本興業をはじめ民間企業,団体など様々な主体と京都市も連携いたしまして,人権啓発とSDGsの普及啓発を行いました。また,JICAが主導する関西SDGsプラットフォームにも設立賛同団体として当初から参画し,積極的に協力しているところであります。今後,まち・ひと・しごと・こころ京都創生本部をSDGs推進機能を加えた全庁組織に改組することにより,政策の更なる融合,進化を図り,レジリエンス戦略や次期基本計画,分野別計画にも,SDGsの趣旨を反映させてまいります。 また,SDGsは,人々のライフスタイルや企業の経営スタイル等に深く関わることから,その実現には,市民,地域団体,NPO,企業,大学等の多様な主体と行政が一丸となって取り組んでいくことが必要であります。このため,引き続き,SDGsの積極的な普及啓発や認知度向上を図り,あらゆる国々に共通する普遍的な目標を共有することで,多様な取組主体との連携を一層強化し,自分ごと,自分たちごと,みんなごととして知恵と力を結集して,SDGsの推進にしっかりと取り組んでまいります。 次に,世界人権宣言70周年の取組についてでございます。「すべての人間は,生まれながらにして自由であり,かつ,尊厳と権利とについて平等である」とうたった世界人権宣言が国連で採択されてから,今年で70年を迎えます。この理念は,本市の世界文化自由都市宣言にも相通じるものであり,また日本初の人権宣言と言われる「人の世に熱あれ,人間に光あれ」と高らかにうたった全国水平社創立宣言が行われた京都で培われてきた人権尊重の理念と共に,京都市基本構想及び「はばたけ未来へ!京プラン」の中にも脈々と流れております。本市では,人権を守る市民啓発や相談窓口の設置のほか,文化芸術やスポーツ活動に,教育に,障害のある方もない方も共に取り組むなど,人権尊重の理念をあらゆる行政分野の基調とし,幅広い施策と融合しながら取組を進めてまいっております。一人一人が互いに認め合う共生社会の実現が世界共通の喫緊の課題である中,来年度には,人権に関する市民意識調査を実施し,市民の意識関心や,人権を取り巻く状況の変化を的確に把握し,京都市人権文化推進計画の中間見直しにしっかりと反映させてまいります。世界人権宣言70周年の節目の年を契機としまして,人権尊重に通じる理念を持ったSDGsに基づく取組を積極的に行っている民間の企業や団体,また,国や京都府とも連携し,世界人権宣言の理念が次の世代にもしっかりと受け継がれるよう,人権尊重の機運を将来の京都を担う若者の世代にも広げてまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○副議長(久保勝信) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 私からは2点お答え申し上げます。 まず,分かりやすい情報提供の充実についてでございます。人が生まれながらにして持つ基本的人権の保障に当たっては,障害の有無や言語の違いなどにかかわらず,誰もが等しく必要な情報が得られる環境を整備していくことは極めて重要であります。本市におきましては,音声読上げ対応のホームページを作り,聞こえを支援するヒアリングループを全区役所・支所に配備するほか,議員提案により成立いただきました手話言語条例を受け,手話普及に向けたテレビ番組の制作など,様々な取組を着実に進めております。こうした中,西山議員御自身が既に取り組まれている分かりやすい表現を用いた情報提供につきましては,従来の表現や内容の理解が困難な知的障害のある方をはじめ,外国の方,高齢者の方などにも情報を理解していただきやすい取組として極めて有意義なものでございます。本市では,現在策定中のはぐくみ支え合うまち・京都ほほえみプランにおいて,ルビを振ることに加え,分かりやすい表現で内容を短く,簡潔にまとめた分かりやすい版を,通常版に併せて新たに作成することとしております。また,知的障害のある方や外国の方にも参画をいただきながらやさしい日本語に留意した,分かりやすく伝えるための手引を作成し,ユニバーサルデザインの推進を担う全庁会議などでしっかりと意識を共有し,まずは庁内における浸透と取組の拡大を図ってまいります。障害のある人もない人も,違いを認め合い支え合う共生社会が構築できるよう今後とも取組を進めてまいります。 次に,父親への子育て支援についてでございます。地域の子供を自らの子供と同じように温かく見守り,時には厳しく注意する中で醸成されてきた本市ならではのはぐくみ文化。この更なる醸成のためには,父親の積極的な子育てへの関わりが不可欠であり,本市では,父親への子育て支援と真のワーク・ライフ・バランスの推進の両面から取組を進めてまいりました。父親への子育て支援については,乳幼児と親が気軽に集い交流するこどもみらい館での子育て井戸端会議や,各地域におけるつどいの広場において父親の参加を促す取組を実施するとともに,父親を中心とするネットワークである京都おやじの会と連携したイベントを実施するなど,関係団体と共に取組を進めております。 また,こうした情報について広く行き渡るよう情報誌や京都はぐくみアプリなど,様々な媒体を通じて発信した結果,父親の参加は徐々に増加してきておりますが,まだ全体の参加者の3.1パーセントと,まだまだ緒に就いたところと考えております。また,今年度新たに設置いたしました働き方改革推進プロジェクトチームにおいて,父親の積極的な子育てへの関わりを含む真のワーク・ライフ・バランスの実現を目指し,長時間労働の解消をはじめとする,市民ぐるみの働き方改革について議論しております。さらに平成31年度に策定する子ども・若者に係る総合計画に向けた議論の中で,これまでの取組の検証等を行い,父親の子育てへの積極的な関わりをより効果的に促進する取組を推進してまいります。今後とも,地域の子供を温かく見守り,支えるはぐくみ文化の下,引き続き取組を推進してまいりたいと考えております。以上でございます。 ○副議長(久保勝信) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕 ◎教育長(在田正秀) 長期入院中の児童生徒への学習支援についてでございます。西山信昌議員御指摘のとおり,病気等で入院している児童生徒への学習支援は,単に学習を保障するだけではなく,入院による不安や孤独感の解消,また,将来への希望を持ち続けるためにも重要であると考えております。本市では,これまでから,病気等で入院している児童生徒を対象とする総合支援学校を2校,市内医療機関に六つの分教室を設置するとともに,その他の病院等への訪問教育を実施するなど,その充実拡大に努めてまいりました。入院中の高校生につきましても,在籍校からの支援が原則ではあるものの,本人・保護者からのニーズに応え,桃陽総合支援学校と医療機関が連携し,週一,二回程度の学習会を開催するなどの学習支援を実施してまいりました。また昨年度から,文部科学省の委託事業も活用し,桃陽総合支援学校を中心に,治療や学習への意欲の維持及び学校への円滑な復帰に向けて,ICT機器等を活用した同級生や教員との交流,授業配信等を実施するとともに,新たに学生ボランティアも活用した高校生対象の学習会の拡充や,単位認定を見据えた通信機器による遠隔教育についても試行しております。こうした取組には,在籍校や医療機関の理解と協力はもとより,国による財政支援や単位認定の要件緩和等の制度充実が不可欠であり,今後とも,関係機関等への連携・協力に向けた働き掛けや,国への要望も行いながら,入院中の児童生徒が必要とする学習支援を受けることができるよう,引き続き取組の充実に努めてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(久保勝信) 暫時休憩いたします。 〔午前11時45分休憩〕 〔午後1時再開〕 ○議長(寺田一博) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) 休憩前の議事を継続し,質疑を続行いたします。 山岸たかゆき議員に発言を許します。山岸議員。 〔山岸たかゆき議員登壇(拍手)〕 ◆(山岸たかゆき議員) こんにちは。伏見区選出の山岸たかゆきです。民進党京都市会議員団を代表し,先輩の鈴木マサホ議員と共に質問させていただきます。どうぞよろしくお願いします。 初めに,平成30年度予算案について質問します。私たち議員団は,昨年末に平成30年度予算要望書を門川市長へ提出しました。113項目の要望のほとんどが予算措置もしくは前向きに検討との回答であり,大変心強く思います。この度は「はばたけ未来へ!京プラン」実施計画第2ステージに掲げる307施策全てを着実に前進させ,未来を展望し挑戦する予算として編成されました。主な重点施策の第一に,世界の文化首都・京都の実現が掲げられていることから,平成30年度についても,前年度に引き続き文化を基軸としたことが予算編成のポイントの一つとなっています。そこで,前年度の取組を踏まえ,平成30年度は文化を基軸に市民の暮らしやまちづくりを更にどのように充実させていこうとしているのかお伺いします。 また,予算編成のポイントの二つ目は,今秋導入予定の宿泊税を財源として充実・強化する取組です。事業経費37億円に19億円の宿泊税収入全額を充当し,混雑対策や民泊対策をはじめ5分野の,市民,観光客,観光関係事業者全てが宿泊税の導入効果を実感し,満足度を高めることができる施策を展開することにより,住んでよし,訪れてよしのまちづくりを加速するとしています。また,今市会では,国の住宅宿泊事業法,いわゆる民泊新法の施行に伴い,民泊の適正な運用を確保するため,住居専用地域における営業期間の制限や施設の安心安全の義務付け等を内容とする,いわゆる民泊条例が議案提出されています。いずれも今後の本市の観光施策やまちづくりに大きな影響を与えることは間違いありません。そこで,この二つの取組の導入効果を市民の皆様にも分かるようにお答えください。 ところで,本市はこれまでも常に厳しい財政状況に直面してきましたが,昨年11月8日公表の収支見通しでは,財源不足額は350億円に達し,前年度に匹敵して大変厳しいものとなりました。そのため財政構造改革により,前年度より約30億円多い121億円の財源捻出が行われました。内訳は,人件費の削減で前年度並みの23億円の一方で,事業見直しや財源の確保では,前年度より12億円多い60億円とかつてない大きな削減額となっています。また,資産の有効活用でも前年度のほぼ倍の38億円となっています。さらに,市税等一般財源収入の増で48億円,その他の歳出の減で54億円となり,合計223億円の収支不足額の改善が図られるとしています。それでもなお不足する127億円を特別の財源対策に頼らざるを得ない状況です。前年度に比べ20億円縮減となったものの,当初策定の平成28年度から5年間の中期財政収支見通しと比べると,20億円以上負担が増加している状況です。また,投資的経費も前年度に比べ198億円,中期財政収支見通しに比べ150億円と大幅に増加しています。さらに,社会福祉関連経費も前年度に比べ51億円増加しています。我が議員団としては,予算要望書の中で聖域なく全ての事業をゼロベースで見直す,税収増につなげるとした事業の効果検証,投資的経費の再度の見直しを指摘し,将来負担をこれ以上増やすことのない財政運営を強く求めました。そこで,社会福祉関連経費や投資的経費などが大幅に増加する中,将来負担をこれ以上増やすことのない財政運営に今後どのように取り組むのか,中期財政収支見通しの目標である,平成32年度に特別の財源対策からの脱却が見通せているのかをお伺いします。 次に,小中一貫教育の取組について質問します。実は,このテーマでの質問は今回で2度目です。1度目は,私が今から15年前の平成15年4月に市会議員に初当選し,11月市会で初めて代表質問したときでした。当時,本市の西京高校,京都府の洛北高校への中高一貫教育導入が大変話題となりましたが,私は,本市も含め一部地域での学習や生活面で9年間継続して子供を育成する小中連携の動きも重要ではと質問したものです。その後,本市では平成16年3月,小中一貫教育特区の認定を受け,全国に先駆けて小中一貫教育を開始,平成20年度に小中一貫教育の五つの視点を策定,平成23年度以降,全ての中学校区で小中一貫教育を展開しています。さらに平成28年3月には,小中一貫教育の五つの実践を策定し,今年度は中学校区ごとに作成した小中一貫教育構想図に基づいた実践など着実に取組が推進されています。 先月25,26日の2日間にわたり,今年で12回目となる小中一貫教育全国サミットが本市で開催されました。私も2日間参加しました。1日目は公開授業で,小中一貫教育の三つの実施形態である小・中学校がそれぞれ独立した連携型,柔軟に相互の校舎を活用した施設併用型,同一施設・同一敷地内の施設一体型の学校それぞれで実施されました。実施形態の違いはあれ,どの学校も児童・生徒の授業に臨む前向きな態度,小中の9年間のつながりを意識した分かりやすい授業を見て,教職員の方々の御尽力に敬意を表するとともに,小中一貫教育のすばらしさを改めて認識することができました。また,連携型では,小・中学校の交流として,中学生による小学生への読み聞かせ活動や中学校教員による小学生への授業が印象的でした。2日目は五つのテーマでの分科会発表,パネルディスカションの全体会です。参加者は全国から延べ3,650名で過去最高とのことでした。私はこの小中一貫教育は戦後最大の義務教育改革ではないかと思います。改革に相当な負担が伴うものの,小学校,中学校の教職員の意識改革が進み,お互い交流しながら,中学校区としての目指す子供像を実現するため,教育や生活指導の工夫,改善を図ることが子供の学びや育ちに大変良い影響を及ぼしていると思います。 そこで,まず本市として小中一貫教育をどう位置付けているのかお伺いします。小中一貫教育を通して様々な成果が表れています。例えば,子供については,中学校への進学に不安を覚える児童が減少した,いわゆる中1ギャップが緩和された,上級生が下級生の手本となろうとする意識が高まった,下級生の上級生に対する憧れの気持ちが強まったが挙げられます。また,教職員については,負担感,多忙感が課題とはいえ,指導方法の改善意欲が高まった小・中学校の教職員間でお互いの良さを採り入れる意識が高まったといった成果が認められています。一方,地域,保護者はどうでしょうか。特に連携型の中学校区では,小・中学校がそれぞれ独立しているため,小中一貫教育の意識が地域,保護者にどれだけ浸透しているのかが課題ではないかと思います。そのことは,今後中学校単位で学校運営協議会を設置し,学校と地域,保護者がしっかりと連携して子供の育ちを支えていくうえで大切なことです。 先日,我が議員団で小中一貫教育を市の重要施策と位置付けている新潟県三条市を視察しました。そこでは,児童生徒,保護者,教職員対象の全市一斉アンケート調査を毎年実施したり,各中学校区の学園呼称を募集・決定するなど,関係者に小中一貫教育に対する意識を醸成する取組を模索しておられる様子が大変印象的でした。そこで,地域・保護者に小中一貫教育に対する意識を醸成し,積極的に協力していただくために,特に連携型の中学校区においてどのように取り組むのかお伺いします。 続いて,小中一貫教育に関して要望します。平成31年4月より,伏見区向島地域に施設一体型の小中一貫の義務教育学校,向島秀蓮小中学校が開校します。過日起工式に出席の際,地元の皆様の学校に寄せる期待の大きさをひしひしと感じました。是非地元の期待に応える学校となるよう取り組まれることを求めます。一方,同じ向島地域にある向島東中学校区の連携型小中一貫校においても,向島秀蓮小中学校に通うのと同等の成果が出るような学校運営を求めます。 次に,若者の悩み相談の充実について質問します。警察庁発表の平成29年の全国の自殺者数速報値は,前年より757人少ない2万1,140人で,8年連続の減少です。しかし,厚生労働省の昨年1月から11月の年代別自殺者の分析では,20歳以上は全年代で減少したのに対し,10代の若者はかえって増加しているとのことです。そのことは京都府,本市でも例外ではなく,なかなか減少に転じない若者の自殺者数が課題です。また,昨年10月に神奈川県座間市で自殺願望を投稿した若者とSNSを通じて知り合い,次々と誘い出しては合計9人も殺害するという事件が発生しました。この事件では,大量殺人の異常性もさることながら,SNSを通じて悩みを打ち明ける多くの若者の存在が大いに注目されました。ちなみにSNSとは,人同士のつながりをインターネット上でつくるサービスで,ツイッター,フェイスブック,LINEなどがあります。総務省情報通信政策研究所の平成28年調査では,年代別のコミュニケーション系メディアの1日当たりの平均利用時間を見ると,10代・20代の若者の携帯電話利用は僅か数分なのに対し,SNSをはじめとするソーシャルメディア利用はおおむね60分と他の年代より圧倒的に長く,利用時間も増加傾向となっており,若者の主なコミュニケーション手段がSNSになっていると言えるのではないでしょうか。国においては,平成29年7月,自殺総合対策大綱を見直し,その一つに若者の自殺対策の更なる推進が掲げられ,地方自治体による若者へのSNSを活用した相談事業の支援が明記されています。 こうした状況を踏まえ,長野県では,いじめ対策や自殺防止に向け悩みを抱える若者が気軽に相談できるよう,平成29年9月に県内の全中高生約12万人に対しLINEによる相談事業を試行実施しました。その結果,僅か2週間で相談アクセス数は1,579人,相談対応実績は547件となり,平成28年度1年間の電話相談件数259件に比べ大幅に増加しました。相談内容では,電話相談と比べいじめ,不登校といった深刻な相談は少なく,学業・恋愛の悩みなど相談内容の多様化が特徴となっています。以上から,若者に身近な相談ツールとして認識されたと受け止め,今後はLINEによる相談業務の本格導入を検討するとのことです。お隣の大津市でも,平成29年11月より平成30年3月まで順次対象中学校を拡大しながらLINEによる相談を試行実施しており,全国の自治体で徐々に広がりを見せています。一方,本市においては,公設民設を問わず様々な相談窓口が設置され,子供,若者に特化したものもあります。しかし,それらの相談の通信手段は,一部でメール相談があるものの,大半は電話相談となっています。そこで,この間の国や一部地方自治体の動き,若者のコミュニケーション手段の変化を踏まえ,本市においてSNSによる若者の悩み相談に取り組んではどうかと考えますがいかがですか。 続いて,健康長寿の取組の充実について質問します。近年の健康寿命に対する関心の高まりを受け,本市においても平成27年度よりスタートしました。平成27年6月,全庁挙げての推進組織として健康長寿のまち・京都庁内推進本部を立ち上げ,平成28年5月には90の幅広い市民団体,関係機関等が参加し,市民ぐるみで健康づくりを推進する運動組織,健康長寿のまち・京都市民会議が設立されました。また,市民の皆様に楽しみながら健康づくりに励んでいただくため,いきいきポイント制も実施されています。このような健康長寿の取組を,平成25年3月策定の京都市民健康づくりプラン(第2次)に代わり,平成30年度より健康長寿笑顔のまち・京都推進プランという新たなプランに基づいて推進しようとしています。中身を見ると,地域行事に参加する,スポーツをする,食生活などの生活習慣を改善する,体力を維持向上するなど体の健康に関することが前面に打ち出されています。ところが,人は体の健康のみならず,心の健康も維持できて初めて真に健康でいられるのはないでしょうか。先日,心に悩みや過度なストレスを抱えていると,健康を損ない,人の寿命に悪影響を及ぼす研究報告がマスコミ報道されました。また,NHKの「スーパープレゼンテーション」という番組で,アメリカの心理学者が,世間では心よりも体に価値を置き,心の健康管理を重視していない,心の健康と体の健康を平等に扱うべきだとプレゼンしたところ,全世界で540万回も視聴されるほどその動画が人気を博しています。そこで,是非とも体の健康と共に,心の健康の取組,例えば,心の健康を積極的に保つ方法を普及させることなどにも十分ウエイトを置き,今後の健康長寿の取組をバランス良く推進すべきと考えますがいかがですか。 最後に,国民により身近な桃山御陵について質問します。平成30年の今年は,明治150年という大きな節目の年に当たっています。明治以降,近代国民国家への第一歩を踏み出した日本は,明治期に近代化への取組を行い,国の基本的な形を築き上げました。そこで,明治150年の今年,改めて明治期を振り返り,将来につなげていくため,国が音頭を取りながら,地方自治体や民間企業とも一緒になって様々な取組が行われています。一方,本市にとって明治時代は,都が東京へ移り,人口の3分の1が減少するなど都市衰退の危機に直面する中にあって,国に先駆け全国初の64の小学校の創設,琵琶湖疏水や水力発電所の建設,市電の開業など現在の京都の礎を築いた大変重要な時代でした。そうした先人たちの足跡を市民の皆様と共有し,今後にいかすため,1月7日のキックオフイベントを皮切りに,年間を通じて様々な記念事業が行われる予定です。私は明治期の先人たちの足跡を振り返り,そこから学び,未来の糧にすることは大変意義深いことと考えます。ただ,それが一過性に終わることなく,今後の貴重な財産とならなければなりません。その意味から,明治150年を機に注目すべきは伏見区の桃山御陵です。桃山御陵が整備されたのは,明治天皇が崩御された後ですので,大正時代ですが,明治時代の一番の象徴と言えば明治天皇ではないでしょうか。よって,明治150年に関する事業というのなら,明治天皇にゆかりのある桃山御陵が最もふさわしいのではないかと考えるからです。 桃山御陵は,敷地面積80万平米,甲子園球場21個分に相当する広大な陵墓です。桃山に広がる森林の中に明治天皇と昭憲皇太后の陵墓のほか,大手筋通から陵墓まで続く砂利道の参道や桓武天皇陵に接続する散策路があります。また,明治天皇陵の前には230段の立派な石段があります。私の事務所のすぐ近くですので,私は時々ここを訪れますが,参拝のほか,ウォーキングやハイキングなど人数は決して多くありませんが,様々な目的で桃山御陵を訪れる方々と出会います。そして木々が林立する森の中の参道や散策路を歩いていると,実にすがすがしい気分が味わえます。訪れたことがない方は是非一度お越しください。このように魅力的な桃山御陵ですが,残念に思うのは,陵墓の周りや沿道は常に手入れが行き届いているにもかかわらず,敷地の大半を占める森林エリアは,部分的に手入れされた所もありますが,エリアが広大なため,手入れが行き届いていない所も見受けられることです。さらに,参道や散策路以外は立入禁止となっています。 また,桃山御陵は,戦国時代,豊臣秀吉により初めて築かれた指月伏見城が慶長の大地震で倒壊後,豊臣秀吉が築き,徳川家康が再建した木幡山伏見城があった場所でもあります。平成24年に宮内庁の協力の下,京都府と本市で桃山御陵内の木幡山伏見城跡調査が行われました。それによると,陵墓造営時以外の大規模な改変がなく,廃城時の状況を良好にとどめているとのことです。また,当時の石垣が何箇所も残っているほか,城の土塁や土橋も確認されています。桃山御陵は安土桃山時代の頂点を極め,一時期日本の中心であった伏見城の遺跡が眠る日本の歴史上大変重要な場所であるにもかかわらず,桃山御陵に伏見城の遺跡が当時のまま残されていることは世間一般には余り知られていません。森林エリアが整備され,散策路が設置されて遺跡の近くまで行けるとなれば,それらを人々が間近で見ることができるわけです。そこで明治150年という絶好のタイミングを捉え,桃山御陵の魅力を更に体感できるよう,また,ここに伏見城の遺跡が眠っており,それらを人々が間近で見られるよう陵墓及びその周辺は当然ながら除外したうえで,森林エリアの整備や散策路の設置で国民により身近な桃山御陵となるよう国に働き掛けてはどうか思いますが,いかがですか。また,整備の際は桃山の名にちなみ,桃の植樹もお考えいただければと思います。来年は天皇陛下が退位され,本日,お誕生日を迎えられる皇太子殿下が新たに天皇に即位される年に当たっています。桃山御陵の整備が進めば,関西において皇室の存在がより身近に感じられると考えますがいかがですか。 これで私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 山岸たかゆき議員の御質問にお答えいたします。 平成30年度の予算編成についてでございます。今年は,新・文化庁の本格移転に向けた準備を加速させていく重要な年であります。そして,明治維新から150年,自治120年,世界文化自由都市宣言40周年という大きな節目の年でもあります。この機を捉え,先人達の志と偉業に学び,その意義を見詰め直し,改めて文化を基軸とする都市経営を推進してまいります。文化財や芸術のみならず,衣食住などの暮らしの文化,地域社会の中で相手を思いやり,支え合う文化,自然との共生を大切にする文化,これら全てが京都の誇る文化力であります。この強みを最大限にいかし,産業・観光の振興,地域社会の活性化,福祉・教育の子育て支援の充実につなげてまいります。とりわけ,次代を担う子供たちがほんまものの伝統文化,生活文化に触れる機会を充実し,未来の京都の文化を支える人づくりについてもしっかりと進めてまいります。 次に,宿泊税についてでございます。来年度はこの貴重な財源を活用し,観光地や市バス等の混雑対策,違法民泊の根絶,民泊の適正化への指導強化,観光地周辺のトイレの充実など,観光と市民生活の調和を図る課題をはじめ担い手の育成など重点的に対処してまいります。また,民泊関連条例につきましても,観光と市民生活の調和が図られる制度を徹底的に追求した内容としており,市民や観光客の皆様の安心安全を守りながら,更に質の高い持続可能な観光の振興を図り都市格の向上を目指してまいります。 最後に,今後の財政運営についてでございます。本市ではこれまでから財政運営の目標を設定し,財政構造改革を強力に推進しており,この10年間で市が返済に責任を負う市債残高を全会計で3,005億円,一般会計で市債残高を975億円縮減いたしました。しかし,依然として非常に厳しい財政状況の中で,本市財政の展望を持って改革に取り組んでいくため,一定の仮定の下で中期財政収支見通しを設定し,毎年の予算編成に合わせて更新し,財政規律の確保等に努めてまいっております。この間,人件費の削減,あらゆる政策分野における事業見直しなど行財政改革は着実に進めておりますが,市税や地方交付税など一般財源収入がピーク時から300億円以上も減少した厳しい状態が続く中,市民の安心・安全を守り,福祉や教育,子育て支援を充実させ,更に京都の未来への展望を開くための事業は,機を逃さずに実行することが必要があります。このような状況の下で,特別の財源対策から脱却することは容易なことではありませんが,国に対して地方交付税の必要額の確保,臨時財政対策債の廃止など,地方財政制度の抜本的改革を強く求めるとともに,更なる歳入・歳出両面からの行財政改革の徹底,都市の成長戦略と将来の担税力の向上など,今,必要とされることを着実に進めながら,特別の財源対策からの脱却を目指してまいります。 次に,若者の悩み相談についてでございます。ひきこもりなど様々な課題を抱える子供,若者については,市民ぐるみ,地域ぐるみで子供,若者を見守り,支える本市ならではのはぐくみ文化の中で,全力で支援していく必要があると考えております。このため,本市では,教育,福祉,保健,医療,雇用をつなぐ子ども・若者支援地域協議会を政令市の中でも早期に設置し,支援を実施してまいりました。とりわけ,年間500件以上の相談がある子ども・若者総合相談窓口では,顔が見える関係の下,相談員が課題の背景や家庭環境等を丁寧にお聴きしながら,支援コーディネーターによる支援や課題に応じた関係機関との連携により,お一人お一人にきめ細やかな相談支援を実施しております。山岸議員御指摘のSNSの活用につきましては,若者にとって身近で重要なコミュニケーションツールであり,今後様々な場面での活用を検討する必要が出てきていると考えております。 現在,子ども・若者総合相談窓口は,広く多様な相談に対応しており,SNSの活用により,つながりを容易に持てる一方で,SNSの匿名性から,的確な状況把握や緊急性が高い相談への対応をどのように実施するかという課題もございます。このため,まずはSNSを活用したいじめ相談窓口の設置を教育委員会において検討するとともに,若者の様々な悩み相談へのSNSの活用につきましても,先行して実施している他都市の相談窓口や国の状況を踏まえつつ,子ども・若者支援地域協議会において研究してまいります。今後とも,様々な課題を抱える子供,若者を適切に支援していけるよう,地域,関係機関等との連携を強め,市民・地域ぐるみの支援の輪を広げてまいります。 次に,健康長寿の取組についてでございます。体も心も健康であることは,日々生きがいをもって豊かな生活を営んでいくための活力の源である,私はそのように考えております。人は一人では生きていけず,心身の健康を保つためには,人との関わりや,社会との関わりを持つことが極めて大切であります。京都の強みである生活文化や地域力をいかし,家族や友人,そして地域住民の方々とつながって,自治会やボランティア活動に参加する,豊かな歴史,ほんまもんの文化に触れ,スポーツを楽しむ,それが京都ならではの真のワーク・ライフ・バランス,さらには働き方改革につながるものであります。このような考え方に基づき,これまで,こころの健康増進センターでは,市民お一人お一人が大切な人や身近な人の悩みに気付き,声を掛け,耳を傾け,必要な支援機関につなぎ,そして温かく見守るゲートキーパーとなっていただくため,延べ1万人以上の方々に養成講座を受講していただきました。また,御自身のストレス度合いを知っていただくため,本市のホームページで配信しているストレスマウンテン京都市版で気軽にチェックできる取組も行っております。来年度から,健康長寿笑顔のまち・京都推進プランにおいても,心の健康をより重視し,こうした取組を一層進化させてまいります。今後とも,心身共に健康で,笑顔で,喜びや楽しさを感じながら生活を送ることができる世界一健康長寿のまち・京都の実現に全力で取り組んでまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(寺田一博) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 桃山御陵についてでございます。京都は,千年を超えて天皇がお住まいになり,我が国の都としての歴史を刻んできた皇室とゆかりの深い地であります。この京都において,明治天皇,昭憲皇太后,桓武天皇の陵墓がある桃山御陵は,皇室の弥栄を願う京都市民をはじめとして,国民にとって遺徳をしのび,尊敬崇拝の心を寄せる大切な場所であり,山岸議員御提案のとおり,明治150年を一つの契機として,改めてその大切さを広く多くの方々と共有することは,大変意義深いことと考えております。こうした考え方の下で,御陵の現状や管理の考え方などについて宮内庁の桃山陵墓監区事務所ともお話をしてきておりますが,宮内庁は,多くの方に陵墓に関心を持って参詣していただくことを歓迎されつつも,周辺の森林エリアも含めて管理区域全体が陵墓地であり,墓地としての静安と尊厳が重要であること,また現状でも参詣路や広場への立入りは自由であることから,現状に手を加えることには慎重な姿勢を示されております。本市といたしましては,こうした宮内庁の見解も尊重しつつ,地域の方々とも連携しながら,より多くの方々が桃山御陵を訪れ,御霊の遺徳と我が国の悠久の歴史に思いを馳せていただくための取組について,引き続き陵墓監区事務所などへの相談,協議を行ってまいります。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕 ◎教育長(在田正秀) 小中一貫教育についてでございます。子供たちに確かな学力,豊かな心,健やかな体を育んでいくには,義務教育である小・中学校の連続性の下で,9年間の明確な教育目標,系統的なカリキュラム,継続性・一貫性のある指導体制を教職員はもとより,保護者,地域とも共有し,小中一貫教育の取組を推進することが重要であると考えております。このため本市では,平成23年度から全ての中学校区で校区の状況に応じた小中一貫教育を実践しております。各中学校区では,義務教育9年間で育む目指す子供像を小・中学校の全教職員で共有し,合同の研修会や授業研究,家庭・地域とも連携した健全育成活動などに取り組んでおり,いわゆる中1ギャップの解消など成果を挙げてきております。山岸たかゆき議員御指摘のとおり,小中一貫教育の成果をより高めていくためには,学校と家庭,地域とのより一層の連携が大変重要であり,とりわけ,施設等が独立した小・中学校で小中一貫教育に取り組む連携型の中学校区におきましては,保護者や地域の皆様に小中一貫教育に対する意識を醸成し,積極的に御協力いただく必要があります。このため,本市の小中一貫教育を分かりやすく紹介したリーフレットを今年度中に全保護者に配布するとともに,保護者や地域と協働した取組等をホームページや学校だよりで紹介するなど,保護者や地域への一層の働き掛けを進めてまいります。そのうえで,小中学校合同の学校運営協議会の設置拡大を推進するなど,学校,家庭,地域の一層の協働による小中一貫教育の更なる充実に努めてまいります。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 次に,鈴木マサホ議員に発言を許します。鈴木議員。 〔鈴木マサホ議員登壇(拍手)〕 ◆(鈴木マサホ議員) こんにちは。民進党議員団を代表して,団長の山岸たかゆき議員に続いて質問いたします。左京区選出の鈴木マサホです。 昨年の7月特別市会では,伝統ある京都市会において皆さんの議決を経て永年在職30年表彰を頂きました。誠に光栄であり,改めて御礼申し上げます。ありがとうございました。これからも京都市政の発展に力を尽くしたいと決意を新たにしています。来年には元号が変わりますが,今年は平成30年。京都にとっては,何度も言われていますが,明治維新150年,世界文化自由都市宣言40周年,門川市政10年の節目の年です。また昨年はCOP3から20年,これらを念頭に置いて質問いたします。 まずは,世界文化自由都市宣言です。「都市は,理想を必要とする」で始まるこの宣言の要旨は,「世界文化自由都市とは,全世界のひとびとが,人種,宗教,社会体制の相違を超えて,平和のうちに,ここに自由につどい,自由な文化交流を行う都市をいう」。「広く世界と文化的に交わることによって,優れた文化を創造し続ける永久に新しい文化都市でなければならない」。「京都を世界文化交流の中心にすえるべきである」。「ここに高い理想に向かって進み出ることを静かに決意」する。梅原猛先生らによる起草だと聞いています。平成元年,1989年ですが,この宣言のシンボルの拠点として京都市国際交流会館が蹴上にオープンいたしました。当時色々と議論したことを今も思い出します。 国際交流会館は来年30周年を迎えます。数年前にはkokokaとして愛称を募集して市民や留学生,また観光客に親しまれています。留学生のサポート,相談,また市民ボランティアの育成や姉妹都市や歴史都市の紹介,時には万国屋台村のイベントもあり,楽しく皆さんが集っておられます。年間30万人弱の来館者があり,昨年秋にはこの地を出発した朝鮮通信使,江戸時代にあったわけでございますが,この再現行列も行われ,門川市長も先頭を歩かれました。そしてまた,日韓の友好善隣外交の進展を願う国書交換式もまた行われたところでございます。このような市民の交流が大切であることを改めて認識した次第です。今,平昌で冬季オリンピックが行われていますが,正にそういうことを改めて思うわけであります。国際交流会館は,世界文化自由都市宣言の発信拠点としての役割を果たしてきたと思います。今後も多文化共生社会に向けて様々な取組をすることが重要であると思っていますが,この間の成果と今後の在り方について答弁を求めます。世界文化自由都市宣言40周年の今こそ,この宣言の理念を世界に発信すべきと思いますが,そのことを踏まえてお答えください。 次に,明治150年関連事業として明治の京都策を体感して,次の世代に継承する事業としての琵琶湖疏水通船事業についてお尋ねします。琵琶湖疏水が完成したのは1890年。正に先人たちが京都の未来のために築いた疏水であります。京都市民の命の水の水路であり,京都の近代化をつくった遺産であります。戦後,昭和26年までインクラインも動いていて荷物輸送で通船していたそうです。実に64年ぶりに,3年前に幾つかの課題を克服しながら琵琶湖疏水通船試行事業が始まりました。昨年秋には新船が2隻建造され,この春から大津・山科・蹴上間の往復の運航が復活します。昨年秋,蹴上から大津まで試乗いたしました。50分ほどのロマンの船旅でした。そのすばらしい風景に感動もしましたし,またガイドさんの丁寧な説明で先人の苦労を思う歴史的な学習の場でもあったと思ったところであります。ふるさと納税を活用して民間の知恵と資金を出してもらい,春と秋に運航するということで,既に予約も始まっていると聞いています。地下鉄も太秦天神川から浜大津までの直通が増便されますが,嵐山から大津に行き,帰りは疏水を下るコースなど新たな観光ルートにもなり,平安京と大津京を結ぶ観光資源でもあります。多くの市民や観光客に乗船してほしいと願っています。本格実施に当たり,市長の思いをお聞かせください。 さて,一昨年11月,私は,省エネルギーや再生可能エネルギーによる持続可能な地域社会の実現をテーマとした海外行政視察団の一員としてデンマークを訪問しました。有意義な視察でありました。調査団として環境教育を進めること,住民参加による地域活性化・地域再生の視点を持った制度を構築すること,京都府や近隣自治体,企業と連携して持続可能な社会を構築することの3点を提言したのは御承知のとおりであります。あれから1年,このときの提言を踏まえて質問します。 まずは,科学地球儀のことについてお尋ねします。デンマークはロラン島で見学した科学地球儀は特にすばらしいものでした。その後,東松島への見学や京都大学で開発されたダジック・アースも見て,このダジック・アースが本市にとっても安価で制作できて維持費も掛からないことを知り,有用と判断して青少年科学センターへの設置の検討を提言したところであります。過日,教育福祉委員会の視察で青少年科学センターを訪れました。改良を加えられた試作品を見せていただきましたが,スタッフの熱意とその技術力に感銘を受けました。この科学地球儀の設置は,地球規模での気候変動や環境汚染を学べる環境教育と共に,子供も大人にとっても地球や宇宙科学のおもしろさを学ぶのに大きく寄与するものだと確信した次第です。本格設置に向けて子供たちに親しめる学習コンテンツの作成などもあるかと思いますが,課題とその活用についてお聞かせください。 次に,地球温暖化対策と再生可能エネルギーについて質問します。1997年のCOP3は,京都議定書が誕生した歴史的な会議でありました。つい先日も地球環境の殿堂表彰式も開催され,昨年末には「気候変動への更なる挑戦~京都議定書からパリ協定へ~」をテーマに20周年を記念して地球環境京都会議2017(KYOTO+20)も開催され,門川市長から京都市の取組の報告もあり,私は,低炭素型都市のデザインの分科会に参加して,再エネ・省エネの推進に向け,低炭素型まちづくりの実践をしているドイツは環境首都で有名ですが,フライブルク市や台湾は新北市などの自治体の報告を聞き,堀川,日吉,西京高校の生徒が,地球環境に対する思いを英語でプレゼンしたことに感銘を受けました。この会議では持続可能な都市文明の構築を目指す京都宣言が採択されました。この宣言の趣旨は,2050年,世界のあるべき姿として,自然との共生が実現している,循環型社会が構築されている,都市によるエネルギー自治が実現している,社会問題の平和的解決に貢献しているとその理想をうたい,この目標に向かって環境と調和した持続可能な都市文明の構築をするために,都市のリーダーシップの発揮や都市間連携の強化を決意したものであります。地球温暖化対策において京都議定書誕生の地として京都市の役割は大きいと考えます。いかに理想の姿に近づけるのか,この京都宣言を世界に発信することに加え,その理念を市民と共有し,市民ぐるみの取組を進めることが重要であり,またその延長として,気候変動に関する政府間パネル(IPCC)総会の京都開催の実現につなげていくことが必要であると考えます。COP24へ参加して発信することも大事でありますが,今後どのように取り組まれるのかお考えをお聞きしたいと思います。 ところで,京都市会の決議として,原発に依存しないエネルギー政策への転換と再生可能エネルギーの普及拡大を決議したのは2012年のことで,その後,京都市エネルギー政策推進のための戦略が策定され,取組が進んでいるのは御承知のとおりであります。デンマークのサムソ島での住民の風力など再生可能エネルギーで島の未来を切り開こうとしている島民の活動に感銘を受けた一人です。私は,友人と3年前に,未来の京都公共政策社会問題研究会を立ち上げて,今期は3期目ですが「地域に根づく再生可能エネルギー」をテーマに研究会を開いています。京都市のエネルギー政策の現状と課題,新電力と再生可能エネルギーとして市民協働発電の取組や,関西広域小水力利用推進協議会の取組,また,再生可能エネルギーによる地域の活性化として京都大学の諸富徹教授から長野県飯田市や以前議員団でも視察しましたが,福岡県みやま市,またフライブルグ市などエネルギー自治に取り組む自治体の紹介と課題などを話していただきました。過日は右京区京北にも行き,エネルギーの地産地消と森の力京都の取組としてペレット工場と京北第二小学校で水車を見学しました。そして,明日の研究会ではエコ学区の取組について話を伺います。 デンマークは,政府が地球温暖化対策としても再生可能エネルギーの普及に努めていますが,残念ながら我が国の政府は,原発の再稼働を推進しています。日本では2016年から電力自由化になり,電力会社を自由に選べることができるようになりました。また義務付けではありませんが,電源構成の開示もすることにより,環境負荷に注目した電力会社を選ぶこともできます。つまり,火力発電,太陽光発電,水力発電,原子力発電が何パーセントかの割合を知ることができます。環境に優しい再生可能エネルギーを選択することができるのであります。私は,地球温暖化対策には太陽光発電など設備の普及拡大だけでなく,再生可能エネルギーを市民や事業者が活用していくことが重要であると考えます。そのためにも大きな事業所である京都市役所自らが再生可能エネルギーに由来する電力を積極的に活用すべきと思いますがいかがでしょうか,御答弁ください。 デンマークでは木質バイオマス,ペレットで地域暖房をしている所も視察しました。我が議員団も国内のペレットを活用している地域を過去に視察したことがありますが,京北地域では平成22年からペレット工場が稼働しています。間伐材の有効利用と二酸化炭素の吸収源機能の増進として,豊かな森林を活用して地産地消の努力を重ねていますが,ペレットボイラーやペレットストーブの導入が思うように進んでいないのが現状のようであります。京北未来かがやきビジョンも策定されていますが,ペレットの普及など地産地消の再生可能エネルギーの活用に向けて今後の取組を進めていただきたいと思います。答弁を求めます。なお私は,京北地域や左京区では大原地域などが再生可能エネルギーを活用したモデル地域となるように夢を見ていることも付け加えておきたいと思います。以上で第一質問を終わります。市長の方の御答弁,よろしくお願いいたします。 ○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 鈴木マサホ議員の御質問にお答えいたします。 まず,国際交流会館についてでございます。国際交流会館は,世界文化自由都市宣言の理念の実現に向け,世界との交流と多文化共生を使命として,その推進を図る中核的施設であります。この間,鈴木議員御指摘のとおり,幅広い多彩な国際交流事業に取り組むとともに,様々な国籍や文化的背景を持った人々にとっても暮らしやすく,活躍できる社会の構築を目指し,500名近いボランティアの方々や関係団体の皆様と共に,多言語での情報提供や各種の相談事業,地域の皆様との協働による防災訓練,留学生に対する健康保険料の一部補助や就職支援,茶道などの文化交流の機会の提供など幅広い取組を推進してまいりました。今,世界各地では紛争が絶えず,我が国周辺でも国際的な緊張が高まり,格差や環境破壊の問題も深刻化しております。こうした情勢の中,国際交流会館による地域に根差した国際交流と多文化共生の取組は,国籍や文化を超えた市民レベルの草の根の相互理解と共生の実績であり,国際的な諸課題の解決にもつながる価値の実践を積み重ねているものと確信しております。本年の世界文化自由都市宣言40周年を機に,国際交流会館の機能や活動を一層充実することで,多文化共生社会の実現に向けた更なる取組を進め,文化による世界との交流や平和の実現という宣言の理念を市民や外国籍の皆様と具体化してまいります。 次に,琵琶湖疏水通船事業についてでございます。琵琶湖疏水は,明治の先人の方々が輝く未来を信じて築き上げ,100年を超えて市民の生活,産業,文化を支え続けてきた貴重な産業遺産でございます。鈴木議員御指摘のとおり,昭和26年に途絶えた琵琶湖疏水通船を復活させることは,多くの方々の悲願でありながら,安全性の確保や採算性等の課題が壁となり,これまで実現に至ることはございませんでした。この間,上下水道局をはじめ民間事業者等の関係者が必ず実現しようとの覚悟を決め,共に知恵を絞り,近畿運輸局等の御意見を頂きながら,5度に及ぶ試行事業を重ねるとともに,ふるさと納税による寄付や民間の支援,国の交付金等を活用して新たな船を建造するなど,幾多の困難を乗り越えてきたことで明治150年の節目となる平成30年春,いよいよ本格的な復活を迎えることができました。今後も,京都と大津という異なる魅力のまちを結ぶ新たな広域観光ルートとなるよう,さらには山科,蹴上,岡崎地域の活性化,特に山科観光等の振興にも寄与するように,東山自然緑地の再整備を進めるほか,沿線の近代化産業遺産等を活用した回遊性の向上など,民間事業者との連携をしっかりと図りながら,琵琶湖疏水の魅力を更に高めるとともに,力強く情報発信してまいります。 次に,地球温暖化対策についてでございます。私は,地球温暖化対策に関する人類史上初の国際合意である京都議定書誕生の地の舞台となった京都市こそが,パリ協定の目指す脱炭素社会の構築に向けて,世界をリードしていく役割を担わなければならないと決意いたしております。このため,本市では,京都議定書誕生20周年を記念した地球環境京都会議2017を開催し,18箇国と地域から1,000人もの御参加の下に,世界の炭素排出量の75パーセントを占め,市民生活に直接関わる都市の役割と責務を示した持続可能な都市文明の構築を目指す京都宣言を発表いたしました。今後,自然との共生,生活文化の再構築による価値観やライフスタイルの転換,都市交通システムの高度化による環境負荷の低減と利便性の向上との両立,脱炭素化に貢献する科学技術や都市経営の在り方も含めたイノベーションといった京都宣言の理念を市民,事業者の皆様と共有し,本市施策にも反映させ,脱炭素化に向けた取組を市民ぐるみで推進してまいります。そのうえで,パリ協定の運用ルールが決定されるCOP24や約1,500の自治体が加盟するイクレイの世界大会など,世界が注目する国際会議の場において,京都宣言の理念をしっかりと発信し,都市間連携による地球温暖化対策の促進をけん引してまいります。さらに,鈴木議員御指摘のIPCC総会が本市で開催されるよう,国をはじめ関係機関と連携するとともに,市民の環境意識や京都の環境面における都市格の更なる向上の機会となるよう全力で取り組んでまいります。 私からは以上でございます。以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(寺田一博) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕 ◎副市長(岡田憲和) 再生可能エネルギーについてでございます。本市では,平成24年3月の市会決議を重く受け止め,太陽光発電設備などへの設置助成,政令市初となる市民力をいかした市民協働発電制度の創設,新庁舎整備における太陽光,太陽熱,木質ペレットなどの積極的な導入をはじめとした再エネの普及拡大に努めております。また,鈴木議員御指摘のとおり,市域最大の電力消費事業者である京都市役所自らが率先して再エネを活用することが重要でありますことから,本市の電力調達契約に当たりましては,平成30年度分から,小売電気事業者に対して,電力が何から作られているかを示す,いわゆる電源構成の開示を必須化しますとともに,再エネの導入量を国基準以上に重視することといたしました。 地産地消の再エネ活用の一つとして期待される木質ペレットの普及につきましては,森林の健全な育成に欠かせない間伐から生まれる資源の有効活用として,地球温暖化対策の観点に加え,自然災害の防止や京都らしい景観の形成など,豊かな森づくりにつながる取組であるため,木質ペレットを活用するストーブ,ボイラーのランニングコストや設置スペースなどの課題はございますけれども,民間事業者等に導入が進むよう引き続き工夫をし,粘り強く取り組んでまいります。今後とも,市民や事業者の皆様と一体となり,持続可能なエネルギー社会の構築に全力で取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕 ◎教育長(在田正秀) 京都市会海外行政調査団から御提案のありました科学地球儀の設置に向けた課題と活用についてでございます。京都大学が開発した科学地球儀ダジック・アースは,グローバルな視点で地球環境を学べる豊富な無料の映像資料に加え,独自にコンテンツを制作し,活用することができるなどの優れた点が多く,現在,宇宙に浮かぶ地球をよりイメージしやすいよう全国初となる2方向からの投影システムへの改良や,小さな子供でも扱える操作パネルの開発,効果的な演出ができる設置方法等について検討を進めております。また,小中学校の理科・環境教育研究会や京エコロジーセンター等との連携の下,本市独自の環境学習投影教材の作成も必要であり,取り組んでまいります。今後とも,31年度には開館50周年を迎える青少年科学センターならではの科学地球儀の開発を進め,子供たちの環境学習や市民科学事業の充実につなげてまいります。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 鈴木議員。 〔鈴木マサホ議員登壇〕 ◆(鈴木マサホ議員) 答弁ありがとうございました。それでは,第2質問に移ります。 門川市長が当選されたのは,平成20年,2008年でした。10年一昔。この間,京都が劇的に変わったことを二,三挙げてみますと,新景観政策により屋外広告物が規制され,町並みが美しくなったこと,四条通の歩道拡幅を象徴として歩くまち・京都の推進がされたこと,外国人観光客が圧倒的に増え,民泊問題が浮上したこと,そしてバス事業とばく大な負債を抱えた地下鉄事業の経営が好転したことなどが挙げられると思います。 そこで,地下鉄と市バスのことであります。何と言っても市バスは乗客増で平成15年度から14年連続で黒字決算でした。赤字であえぐ市バス事業のことを知っている者としては隔世の感がいたします。乗客が増えて経営状態が良くなるのはうれしいことですが,一方,キャリーバッグを運び込む観光客の増大で,東山や西大路の観光路線は市民が乗りにくい状態が続いています。市民生活に大きな影響が出ています。昨年秋に観光路線で,前乗り後ろ降りの実証実験が行われ,今年の後半から導入するということであります。地下鉄については,以前は毎日4,000万円でしたか,赤字を出していた時期がありました。京都市財政の圧迫する大きな要因になっていましたけれども,太秦萌ちゃんなどキャラクターを作ってオール市役所で乗客増に努めて,コトチカの収益も合わせると,経常黒字予算になりました。よくぞここまで経営健全化ができたものだと評価するものであります。そして,1日乗車5万人の乗客増を前倒しで達成したことに力を得て,地下鉄・市バス1日80万人に向けた取組を進めるとして,市バスは6,000人増の36万8,000人,地下鉄は1万5,000人増の39万3,000人と予想しています。そのために市バスの一日乗車券を600円にして地下鉄に誘導するべく市バス・地下鉄の一日乗車券を900円にする予定にしています。行楽シーズンではこれら地下鉄利用の案内も大事なことであります。案内人の配置などソフト対策も十分にするとしていますが,人材の養成も必要でしょう。チーム電車・バスに乗るっ!という取組もされるようですが,どのような具体的な取組をするのか,何よりも市民と観光客を安全に快適に乗っていただくということが公共交通の使命であります。経営健全化団体から1年前倒しで脱却を目指すという前向きの予算で,長らく京都市財政の重荷になっていた地下鉄経営に光が差してきたと言えると思います。経営健全化団体から脱却する予算についての市長の思いはいかがかでしょうか。そして市バスと地下鉄1日80万人の乗客増に向けて全力を尽くしていただきたいと思いますが,市長の決意をお聞かせください。 最後に,先に山岸議員も触れていますが,宿泊税と民泊についてであります。過去に,京都市は古都税を導入しましたが,仏教会の大反対に遭い廃止された苦い歴史があります。以降,平成22年に入湯税が導入されて以来,我が議員団は,関係者とも意見交換しながら宿泊税の導入を求めてきた経過があります。宿泊税は昨年9月に市会で可決して,総務省の同意を得て,課税額は1泊の宿泊料金が2万円未満の場合は,1人1泊200円,2万円以上5万円未満で500円,5万円以上で1,000円として,これからこの10月から実施されることになりました。古都税廃止から約30年を経て,観光客を対象とした新税が導入されることになります。9月市会では,付帯決議として,民泊をはじめ違法に営業している宿泊施設への宿泊を確実に捕捉し徴収すること。収入については,住んでよし,訪れてよしのまちづくりに資する事業に活用し,宿泊税の効果を実感できるよう取り組むとともに,決算及び使途が明確になるよう透明性を確保し,議会及び市民への情報公開を行うこと。宿泊事業者の納税事務の簡素化と支援に取り組むこと。宿泊事業者へ負担となることのないよう努めることなど,付帯決議を付けたのは御承知のとおりであります。この宿泊税で,年間の税収は45億6,000万円増える見通しですが,新年度は10月からの19億円が計上されています。そしてこの宿泊税により現下の観光課題を早急に解消し市民生活との調和を図る取組として,混雑対策,民泊対策,宿泊事業者支援対策,受入環境整備,文化振興などに充当するとしています。とりわけ公衆トイレの洋式化は,外国人だけではなく市民にも喜ばれるものだと思います。しかし,まずは関係事業者に周知徹底することが大切だと思いますが,いかかがされますか。そして何よりも民泊事業者からの徴収をきっちりとすることが大事だと思いますが,これもいかがされますか。お答えください。 ところで,この間大議論をしてきた民泊問題であります。京都市独自の民泊条例はこの市会で上程され,2月16日の予算特別委員会で侃々諤々慎重に審議をして,2月21日の予算特別委員会において,第5条の3項に「地域住民との間で住宅宿泊事業の運営に関する協定を締結すること」を付け加える修正案を可決して,今日の本会議において後ほど付帯決議を付けて議決されることになっています。この民泊問題については,我が議員団では東山区で多くの市民相談を受けてきた中野洋一議員が度々委員会や本会議でも取り上げて,議員団としての改善策やルール化を図るように申し入れてまいりました。結果,特に住居専用地域での営業日数の制限や管理者の駆け付け要件,また地元住民への事前説明,マンションなどの共同住宅での開業など,それぞれに条件を付けているのが特徴だと思います。これからは違法民泊の排除が肝要です。また,医療衛生センターのスタッフの充実も課題でありましょう。また宿泊税の捕捉の作業もどうするのか,条例が実質を伴うことをこれから求めておきたいと思います。市民の安全安心をどう守るのか,これが京都市の最優先の役割であります。この条例制定で全てが解決することはなかなかできないかも分かりませんが,この条例とガイドラインをフル活用することで,市民生活をしっかり守り,そのうえで観光客を迎え入れる政策を進める覚悟がいるということを申し上げておきたいと思います。以上でございます。 市長におかれては,副市長さんもそうであります,健康に十分に留意されて市民生活の向上に向けて今後も頑張っていただきたいということを思います。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 鈴木マサホ議員の御質問にお答えいたします。 市バス・地下鉄事業についてでございます。私の市長就任当時1日4,600万円,年間167億円の赤字を生む地下鉄事業の経営改善は,市政の最重要課題の一つでございました。この間,全庁一丸となって取組を進めた結果,絵に描いた餅とまで専門家の厳しいお声も頂いた1日5万人の増客目標は,市民の皆様の御理解,御協力の下,2年前倒しで達成し,平成30年度予算案では,経営健全化団体から1年前倒しでの脱却を前提とした地下鉄開業年度以来となる黒字予算として編成することができました。しかしながら,企業債等の残高が3,500億円を超えるなど,地下鉄事業が全国一厳しい経営状況にあることに変わりはなく,今後10年間で,車両,設備の更新に700億円を超える費用も見込まれる中,引き続き緊張感を持って取り組んでいかなければなりません。私は,本市の地下鉄・市バス事業は,歩くまち・京都公共交通優先のまちをリードする存在であり,また,市民の皆様の生活と,産業をはじめとする都市の活動を支える主要交通インフラとして,人口減少社会に挑戦する本市のまちづくりの核になる存在と考えております。地下鉄・市バスお客様1日80万人は非常に高い目標ではございますが,地下鉄・市バスが,将来にわたって市民の足として,公共交通優先のまちづくりに貢献する存在であり続けるためにも,この目標の達成に向けて市民ぐるみで,また全庁を挙げて全力で取り組んでまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(寺田一博) 植村副市長。 〔植村副市長登壇〕 ◎副市長(植村哲) 宿泊税についてでございます。宿泊税の導入に当たりましては,徴収事務を行っていただく宿泊事業者の皆様にしっかりと周知を行うとともに,民泊事業者を確実に捕捉していくということが重要でございます。ホテル,旅館などの関係団体の皆様とは,既に意見交換を重ねてきておりまして,今後,更に個別の宿泊事業者の皆様への説明会も開催し,宿泊税の意義や徴収方法への十分な理解を広げてまいります。また,民泊事業者の捕捉につきましては,住宅宿泊事業法に基づく届出情報を活用いたしますとともに,民泊仲介業者による代行徴収の具体化に向けまして引き続き協議を行ってまいります。さらに,違法民泊につきましては,保健福祉局や消防局をはじめ庁内関係部局の情報を共有し,根絶,適正化の取組を進めますと同時に,税部局において,地方税法上の質問検査権の行使,あるいは税務署,警察などとの連携により捕捉を強力に進めてまいります。今後とも,関係者の御協力を得ながら宿泊税を確保し,住んでよし,訪れてよしのまちづくりに活用してまいります。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 次に,森川央議員に発言を許します。森川議員。 〔森川央議員登壇(拍手)〕 ◆(森川央議員) こんにちは。西京区選出の森川央でございます。日本維新の会・無所属京都市議団を代表し質問いたします。 昨年末も,我が会派から様々な要望をいたしました。市長や職員の給与削減,ごみ収集業務をはじめとする民間委託化など一層の行財政改革,また,観光客増加による市民負担の軽減に向けた宿泊税導入,さらには世界の玄関口である関空への観光案内所の設置,また伝統産業,農業振興など各分野の選択と集中と大幅な財政削減の両立のための二重行政解消を要望いたしました。合計113項目。市長は,御自身の給与,退職金カットを継続され,ごみ収集業務は当初より更に民間委託化され,また,関空や伊丹へは観光マナーの啓発チラシの配布やキャリーバッグの配送窓口設置など前進されました。二重行政では府と市の公営住宅窓口業務の一体化など,我が会派からの要望を少しは聞いていただけたのかはともかく,しかし私が心配をするのはスピード感です。先月JA京都グループの賀詞交歓会で中川京都会長は,「ここ二,三年のうちに大変なことになる。農協改革という改革圧力はおろかAI,すなわち人工知能が進化し,保険や貯金など当たり前と思っていた仕事がなくなるかもしれない。守るべきと攻めるべきを見極め,我々も大胆に変わらなければならない」と述べられ,それを受け,門川市長は身の引き締まる思いと応じておられました。我々も全く同じ認識です。よって,これから始める質問に少しでも耳を傾けていただくことをお願いし,質問に入ります。 一つ目は,人口減少に対する取組についてです。私は初めての代表質問で人口減少について取り上げ,全国と比較しても京都市は減少の度合いが深刻であり,その認識を伺い,京都の住みにくさの表れではないかと指摘いたしました。京都市の職員が他府県に相当数住んでいる状況もその表れではないかとも申し上げました。職員の皆様から当時,それは選択の問題ですという笑えない話もあり,人口減少の消極的な姿勢と受け止めましたが,それから7年が経過する間,国において人口減少は労働力人口の維持など活力を損なうとの認識の下,地方創生戦略が打ち出され,京都市でも同様の計画を定め,一応の人口減少に対する言及や計画が見られるようになりましたが,まず市長にお伺いしたいのは,人口減少ではなく人口増加に果敢に挑戦していくのか。あるいは私の前任期の質問で当時の局長が答弁されたように歯止めを掛ける,ないしは選択の問題であるという言葉に表れるとおり,消極的な姿勢で今後も望んでいかれるのか,いかがでしょうか。 そのうえで次の質問をいたします。洛西地域の活性化についてです。人口増加に果敢に挑んでいくということであれば,その対象として,是非西京区洛西地域をその挑戦の場としていただきたいと思います。確かに市長が進められる都市格の向上で人口減少に歯止めが掛かったといえる状況ですが,しかし,洛西地域では近年も人口は5年で2,381人減少し,子育て世帯では他の町へ引っ越される,すなわち転出超過が見られ,西京区内全体でもここ5年は転出超過という状況であり,いまだに高齢化も進んでいます。向日市や長岡京市など付近の町への転出はかなりの割合に上るとも考えられます。よって,これらの町に負けないよう具体策として市長に3点提案いたします。 洛西地域の活性化には財源的な裏付けも必要です。そこで民間資金の投入を前提にした洛西の再開発を検討することはできないでしょうか。その手法は市街地再整備事業や民間施行による土地区画整理事業,または市営住宅を含めた公営住宅敷地の大規模な売却です。保留地や公営住宅敷地の売却により,民間資金を得ながら古い公営住宅を新しくする。公営住宅敷地を売却する方法は,八条市営住宅の建替えを今議会で諮られているとおりです。これは向こう10年間の管理コストまで民間が行うもので,公園整備までされ,優れた手法であると思います。宿泊施設が中心部に広がる中,オフィスの空室率が僅か数パーセントと伝えられるほどひっ迫した状況であり,中心部は住宅価格も高騰しています。また空き家住宅の流通だけに頼るのは,住宅新築や引っ越しをお考えの方から選択肢としては不十分と考えます。いかに広い家に平均所得並みの方でも住んでいただけるか。良好な住宅地を中心部から周辺部へ誘導し,確保するかの対策も私は必要であると考えます。 次に,市長の強みの教育です。これは今任期,事あるごとに申し上げさせていただいておりますが,是非洛西地域に中心部には劣らない学校づくりを検討していただきたいと思います。西京区の転出状況とその世代を見ると,やはり子供が生まれた時点と入学卒業時において転出されていることが伺えます。引っ越しには子供の教育が重要なキーワードであることは容易に想像できます。さらに京都の強みである学校統合による新しい学校づくりも視野に入れるべきであり,これは御所南小学校等において,引っ越してでもこの学校に入れようとあふれたように,その効果はその後の幾つかの統合校においても実証済みです。 最後に,できることからという点で,行政区ごとに住宅事業者などと連携し,洛西ニュータウンアクションプログラムの成果や区民が提案し,実施した地域の魅力づくりの成果を共有し,住宅事業者から住宅購入を考えておられる方にアプローチしていただく。例えば西京区では桂中学校が全国陸上競技で4連覇,吹奏楽部も全国レベル,あるいは公園の面積は西京区が京都市で1番であるといったように,魅力的な教育環境であるとの実績を営業マンから伝えていただくことも効果的だと思います。私は,住民の取組をつなぐふらっと西京に参加していますが,まずはこうした住宅事業者に御参加を促すようお願いしたいと思いますがいかがでしょうか。 私が再三,洛西地域に関し申し上げますのは,この間,住民が率先して買物難民や居場所づくりのため,その場を設けられました。また,私もAコープ洛西店が撤退するに当たり,JAへの要望活動を行い,Aコープを引き継がれる買物店を確保することができました。一方で時代が変わり,行政だけ頼る,地下鉄にだけ頼るという認識の方は随分と減ってきました。しかしボランティアや個々の取組には限界があり,地下鉄を約束された方の多くが高齢者であることから,そうした取組に京都市が応えるタイミングがあると思います。熱い住民の思いがアクションプログラムにまとめられた今こそ,それに応える市長のリーダーシップを求めたいと思いますがいかがでしょうか。 次に,教育格差解消と教師の負担軽減の両立についてお伺いします。先日,東京銀座の学校で事実上の制服にアルマーニを導入するとテレビをにぎわせており,私はため息しか出ませんでした。元々制服は高いという方がほとんどで,また価格の高止まりは価格交渉を怠っていると一部公正取引委員会が指摘し,制服を譲り合う取組もあるほどです。この事案を反面教師としたい思いで質問しますが,京都市の中学校給食を愛情弁当かの選択ではなく,財政面でより現実的な民間委託と親子方式実施による方法や周辺部への計画的な統合校新設により,周辺部はじめ一層の中学校給食の展開を行うべきとお願いしていますが,検討状況はいかがでしょうか。アルマーニは服育の点を重視したとのことです。京都市の愛情弁当も食育の観点とはいえ,やはり実態に対し理想が先行していると思います。栄養が確保されるのか疑問の余地があり,アルマーニ問題と同じく保護者の負担や愛情弁当が当たらない子供が出てしまうという問題をはらみます。よって速やかな検討をお願いします。 次に,塾や私立学校をはじめ民間教育機関との連携について提案させていただきます。これは誰もが塾という選択を可能とするためです。現在,京都市では,未来スタディ・サポート教室の全中学校実施や中1振り返り集中学習の実施校・実施回数拡大に併せ,地域や学生ボランティアの方にお願いをされていますが,多くの子供が塾に通う実態や学力向上の機会の保証まで行うには限界があると考えます。絶え間なく授業改善や家庭学習の充実を図っておられますが,多忙な教師と様々な事情を抱える家庭にこれ以上過度な期待を行うことはできません。京都市の学力は全国平均を上回っていますが,これは塾の存在もあると考えます。大阪市では,将来を見据え先を進み,グローバル人材の育成から大阪市の学校教育全体をけん引するため,国際バカロレア認定コースを有す学校を来年開校されます。これは大阪市が学校をつくり,運営を民間が行う公設民営です。また既にトライやイングなど塾への外部委託を約200校で実施しています。御家庭の負担少なく,質も担保された優れた方法ではないでしょうか。 次に,教師の負担の軽減です。例えば英語教育でいうと,平成31年から3年に1回程度,四技能の調査が実施されることになり,学校現場にはテストを通じて授業改善が迫られます。部活動では外部コーチの活用が進められていますが,まずはここから民間連携ということなら理解しますが,部活動より,あらゆる子供たちへの学力向上と共に速やかに長時間勤務是正を行うためにも,民間連携を講じていただきたいと考えます。私としても,公立学校には次に述べる児童虐待の更なる発見から,いじめや自殺予防教育や少年犯罪の防止,自転車ルールの周知徹底,今後も地域の要としても期待され,その役割はとどまることはないと思いますから,子供と教師のため速やかな検討をお願いします。 次に,児童虐待根絶に向けた取組に関し質問します。昨年伊丹市で親に虐待された子供が亡くなる,それはクリスマスの日という痛ましい事件でした。私は決してこれを看過することはできませんが,ところが,京都市でも先日,虐待をした父親が逮捕される事案が発生しました。市長においては,まずこうした隠れた虐待というべき事案がまだまだある,まだまだ捕捉に努めなくてはいけない,そうした認識があるかお聞かせください。私は必ず,家の中など見えない中,こうしているうちに虐待が行われていると推察しています。私は,虐待の根絶には,がんと同じように早期発見とケースに応じた適切な対応の両輪に併せて,行政だけでなく我がこととして取り組む必要があると思います。京都市の虐待認定件数は相談通告件数とも上昇しています。認定に当たっては,その経路は警察が最多ですが,ほかにも様々な経路から連絡があった結果であり,見える化が進んだものと考えられますが,発見されたその後の進路はどうなっているのか。進学率,就職率の一方で,生活保護率はどうなっているのか。これらをどのように評価し,何が足りないとお考えでしょうか。保育所や学校,警察や弁護士との連携の状況や体制も含めてお答えください。 先日,私の知人の民生児童委員さんが,子育て世帯への全戸訪問活動に取り組まれ,京都市から表彰をお受けになられました。私は,こうした訪問活動が見える化から抑止まで必ず役に立つと確信します。なおこの民生委員さんは,御自身の経験を広く紹介したいとのことであり,京都市において民生児童委員さんによる取組の支援,促進をお願いします。また各機関との連携ですが,とりわけ学校と弁護士との連携では,日弁連からは学校弁護士の制度化に向けた意見書が文科省に提出されており,今後の連携が期待されます。また国は,痛ましい子供の自殺を受け,SOSの出し方を授業として少なくとも年に1回行うよう国が求めているとのことです。我がこととして教師に取り組んでいただければ,子供が信頼する先生にSOSを出してくれると考えます。また同時に,親からのSOSを受け付ける手段として電話や面談だけでなく電子メールやLINEを使った相談事業は,これも建設局におけるみっけ隊の取組で効果は実証済みです。これらすぐにでも取り組めると考えられるものについては,速やかな検討をお願いいたします。京都の事件の報道は,児童相談所が警察に通報しなかったとの趣旨で報道され,本来慎重であるべき通報元まで報道されました。これまで関係機関と連携し,この子供を支えてきた京都市にとって極めて残念な報道ですが,これにより見える化されたことも事実です。見える化には困難も伴いますが,隠れた虐待も我がこととして虐待を根絶する一層の取組をお願いいたします。 以上,今回の質問は子供の視点で行いました。子供の笑顔は我々や高齢者,京都の将来まで元気にすると私は確信しております。私は今後もこの視点で,必要な議論を行うことをお誓いし,質問を終えます。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 森川央議員の御質問にお答えいたします。 人口減少社会に対する取組でございます。急激な人口減少は,労働人口の減少,経済規模の縮小,医療・福祉サービスの低下を招くなど,市民生活や都市の存続を危うくする極めて深刻な問題であります。そのため本市では,平成22年度に策定した「京プラン」で人口減少への対応を重視する方針を掲げ,さらには,平成27年度に京都創生・総合戦略を策定し,人口減少に歯止めを掛けるべく保育所の待機児童ゼロの継続等の子育て支援の充実,教育環境の一層の充実,さらに子育て世帯が住み続けられる住宅や質の高い雇用の場の確保,さらに,結婚を望む人を応援する婚活支援事業,移住を希望する人を支援する事業などに,市民の皆様と一丸となって取り組んでまいりました。人口減少は,中長期的には避けられず,厳しい状況の中ではありますが,引き続き,若い世代の方々への就労,結婚,住宅,出産,子育て支援,移住の希望がかなう社会の実現を目指しまして,急激な人口減少に歯止めを掛けるための総合的な対策をしっかりと全力で取り組んでまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(寺田一博) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 児童虐待の防止についてでございます。児童虐待は,心身の健全な成長のみならず,命をも脅かす深刻かつ重大な問題であり,全ての子供を徹底して虐待から守る必要がございます。このため本市では,きめ細やかな訪問活動を通じて未然防止を図るとともに,通告後48時間以内の安否確認を徹底してまいりました。今後とも,保健福祉センターと民生児童委員等の関係機関が連携した訪問活動等を充実し,未然防止,早期発見,早期対応に努めてまいります。なお,電子媒体の活用につきましては,双方向でないため,必要な情報が即時には把握できず,通告後,直ちに対応できないなどの課題があるため,慎重な検討が必要と考えております。また,安否確認後は,家庭での養育支援を基本として,児童相談所と学校等の関係機関,地域が連携して見守り等の支援を行うとともに,何よりも子供の命,安全確保を最優先に,必要に応じて警察や弁護士等とも連携し,速やかな一時保護や関係施設への入所等,子供の状況に応じた適切な対応を行っております。さらに,施設等を退所した子供への支援については,今年度実施した調査結果を踏まえ,来年度から新たにコーディネーターを配置するなど,取組を充実してまいります。引き続き,社会全体で子供の命と健やかな育ちを守る取組を進めてまいります。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 植村副市長。 〔植村副市長登壇〕 ◎副市長(植村哲) 洛西地域の活性化についてでございます。洛西ニュータウンでは,大枝・大原野地域と連携をいたしまして,住民や事業者の方々と共に地域の魅力をいかしたまちづくりを進めているところでございます。若年ファミリー層の呼込み,それから定住促進を実現するためのアクションプログラムを策定のうえ,住環境や子育て,高齢者支援,さらには観光など幅広い分野で具体的な取組を推進しております。例えば,民間活力の導入でございますが,サブセンターの敷地など,資産を有効に活用し,地域活性化に向けた取組を進めているところでございます。教育環境の充実に向けましては,このプログラムにおいても,将来を展望した更なる活性化に向けまして,児童数・生徒数減少への対応と小中一貫教育の推進や先進的な学校づくりを検討するということになっております。また,住宅事業者の方にも,区民の皆様がまちづくりを語り,学び合うふらっと西京などへの参加を呼び掛けまして,地域の魅力について理解を深めていただき,住宅購入を検討されている方々へ伝えていただけるよう取り組んでいくこととしております。今後とも,洛西地域への移住や定住を促進できるよう,これらの取組を積極的に推進してまいります。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕 ◎教育長(在田正秀) 私からは2点お答えいたします。 中学校給食についてでございます。本市では,学識経験者やPTA,学校関係者等が議論を尽くし,家庭からの手作り弁当か,校外調理委託方式による弁当形式の給食かを自由に選べる選択制を平成12年度から導入しております。給食費につきましては,就学援助世帯は無償としており,現在,手作り弁当の教育的効果をいかして取り組む学校がある一方,弁当の持参が困難な家庭が多い学校では,給食の利用を進めるなど,各校の実情に応じた形で利用され定着しております。森川央議員御提案の他都市で実施されております小学校で調理し,中学校へ配送する親子方式等による中学校給食を本市で実施するには,少なくとも180億円もの予算が必要であり,ほかに優先すべき課題も多く実施は困難と考えております。今後とも,学校現場や生徒,保護者の御意見もお聴きしながら,現在の選択制の中学校給食の充実に努めてまいります。 次に,民間教育機関との連携についてでございます。本市では,家庭環境にかかわらず,全ての子供たちが確かな学力を身に着けられるよう,学校での日々の指導や家庭学習の充実に取り組むとともに,退職教員や大学生の参画により,全ての中学校での放課後学習に取り組んでおります。また,学習内容を計画的に総復習し,確認テストを通して小学3年生から中学3年生までの子供たち一人一人が自らの課題解消に向けて取り組む本市独自の小中一貫学習支援プログラムでは,その採点,集計,分析等の業務を民間に委託し,教員の負担を軽減しつつ実施しております。こうした取組により,昨年4月に実施されました全国学力・学習状況調査では,本市立学校は小・中学校共に,引き続き全教科で全国公立学校の平均を上回る良好な結果となっております。今後とも,塾に通わなくても子供たちが学力の定着,向上を図ることができるよう民間とも連携し,取組を進めてまいります。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 次に,菅谷浩平議員に発言を許します。菅谷議員。 〔菅谷浩平議員登壇(拍手)〕 ◆(菅谷浩平議員) (パネルを示す)北区選出の菅谷浩平です。日本維新の会・無所属市会議員団を代表し,御覧の3項目を市長に質問いたします。 まずは,生活保護受給者のギャンブルによる不正受給対策等についてお尋ねいたします。生活保護の受給者の中には現金支給をされている生活扶助費からギャンブルをする方がおられることは,皆さん御存じかと思います。これに関しては,ギャンブルを認めてもいいという方と,認めるべきではないという方の両方がおられるかと思います。現在のところ,厚生労働省は,過度に生活費を使い健康を損なうのは望ましくないとの見解を示してはいるものの,生活保護の受給者がギャンブルをすることについて一律に禁止をしてはおりません。昨年の国会において,日本維新の会の議員がこの生活保護受給者とギャンブルにおける実態調査を求め,1月23日に厚生労働省は,全国で生活保護受給者が生活費を過度に使ったために指導を受けた件数が2016年度で延べ3,100件あったと公表しました。生活保護を受給されている方でギャンブルによって過度に生活費を使い,健康を損なう方が市内にもいるとすれば,きちんとした対策が必要でありますし,京都市会でも,昨年の5月定例会でギャンブル依存症対策などの抜本的強化を求める意見書を可決しており,生活保護受給者にかかわらず,全市的なギャンブル依存症対策が今後更になされる必要があると考えております。そこでお尋ねいたします。まずは,市内における生活保護受給者のうち,今回の実態調査で指導を受けられた方はどれだけいらっしゃったのでしょうか。また,これまでからも京都市はギャンブル依存症対策に取り組んでおられると認識いたしておりますが,市内のギャンブル依存症対策が必要な方の数は,増加傾向にあるのか,減少傾向にあるのか,今後本市が考える効果的な取組と交えてお聞かせください。 もう一つ,今回の実態調査には重要なポイントがありました。それは生活保護のギャンブルによる不正受給であります。冒頭に申し上げたとおり,生活保護の中からギャンブルをすることは一律に禁止をされてはおりません。しかし,ギャンブルで勝ってもうけた場合には,自治体に申告をする義務があります。これは生活保護法の第61条に届出の義務としてしっかりと規定がなされており,ギャンブルのもうけは収入とみなされるからであります。申告をしなかった場合は不正受給と認定をされてしまいます。 今回の実態調査では,2016年度生活保護法に基づき,不正受給とされたのは全国で100件,金額にして3,056万円でありました。この点に関しても,後ほど京都市内における不正受給が幾らであったかの公表を求めたいと思いますが,私は,この数字自体にはそれほど信ぴょう性があるとは思っておりません。なぜなら,生活保護を受けておられる方のうち,ギャンブルでもうかった場合に,果たしてどれくらいの割合の方が市に申告をされておられるのでしょうか。京都市内には約4万人の生活保護受給者がおられるそうですが,現在,本市はこの方々がギャンブルをするかしないかを正確には把握していないと伺っております。国も生活保護の適正支給へ向けた見直しを検討されているようですが,法律で守られた権利を最大限尊重しつつも,法律で決められたルールをしっかりと守っていただくためにも,まずは市内の生活保護受給者のうち,どれだけの方がギャンブルをされているかの実態把握と,それに伴いギャンブルの不正受給が起きないような体制づくりを京都市に求めますが,本市の考えをお聞かせください。 次に,たばこの吸い殻のポイ捨てについてお尋ねします。 (パネルを示す)たばこそのものに関しては,近年,加熱式たばこが発明されるなど,周りに配慮する動きが見られます。受動喫煙対策に関しても,2020年の東京オリンピックを控え,国会においても一定の厳しい基準を設ける勢力と,そうでない勢力とで意見が分かれております。ただし,たばこを吸うか吸わないかに関係なく,大半の人は,たばこの吸い殻などのごみのポイ捨てはやめさせるべきという点では一致するものと考えます。愛煙家の方で,たばこ税を払っていようとも,ポイ捨てが認められないのは言わずもがなであります。 京都市では,これまでに京都市路上喫煙等の禁止等に関する条例を制定し,平成19年6月から市内全域の屋外の公共の場所で,努力義務ではありますが,路上喫煙を原則禁止としており,加えて河原町周辺や京都駅周辺では1,000円の過料を徴収してきております。ピーク時には禁止区域における違反者の数が7,000件にも上っていましたが,条例が浸透してきたおかげで,違反件数は1,600件程度にまで減少しました。ですが,これはあくまで禁止区域における路上喫煙者の数が減少したことを意味しており,禁止区域を除いた市内全域では屋外に多くの吸い殻が見受けられます。そもそも,京都市ではこの路上喫煙防止条例が制定される10年も前に,京都市美化の推進及び飲料容器に係る資源の有効利用の促進に関する条例が改正・施行されています。この条例により,市内全域で改めてたばこや空き缶・ペットボトルのポイ捨てが禁止され,43の強化区域においては3万円以下の罰金が処されることになっています。ですが,この条例が施行されてから約21年間の間に,この3万円以下の罰則を受けた事案は0件であります。路上喫煙防止条例に関する来年度の予算は約5,000万円であり,ごみのポイ捨てを所管するまち美化推進の予算は約3,500万円と差はありません。ですが,この3,500万円の予算に関しては,ボランティアの方々に配る清掃用具の費用や看板,パトロールなどに充てられており,ポイ捨てする行為に対して具体的な対策をするためのものではないため,路上喫煙の違反件数が減ったような効果がそもそも期待できません。それどころか,御存じない方もおられますが,京都市内の主に幹線道路などでは,年間36回を上限に市内各地でロードスイーパーと呼ばれる清掃車が土木事務所の予算で走らされております。このロードスイーパーは,道路に落ちているごみも併せて掃除される効果があり,市が業者に支払う金額は,中央分離帯に捨てられたごみを手作業で拾い集めるなどの作業を含めて約2億4,000万円にも上っているそうです。ポイ捨てされたごみを拾うためにこれだけの税金が掛かっていることを,ポイ捨てされない方,ポイ捨てをしてしまっている方の双方に知っていただきたいと思います。 (パネルを示す)こちらを御覧ください。私は質問に先立ち,今月に入って計6回それぞれ1時間ほど交差点付近のごみ拾い調査を実施しました。今回のごみ拾いにより回収されたたばこの吸い殻は,調査1回目から順に69本,128本,147本,220本,348本という結果となり,6回の合計は912本にも及びました。こんなに小さなごみなので,我々も普段その場を通行していても気にしていないことが多いですが,人通りの多い交差点にはこれだけのごみを捨てる人がいて,そのごみをこれからも拾う人がいることを思うと,世界一美しいまちを目指している京都市においては,やはりこれまでの取組が不十分なことを認識していただきたいと思います。ポイ捨てそのものをゼロに減らすことは間違いなく不可能です。自分で吸ってもいないたばこの吸い殻や,あるいは飲んでもいない容器を拾わなくてもいいような社会やまちを目指し,行政は効果的な取組を考えるべきであります。 先ほど御紹介したポイ捨てを禁止する条例には,第3条で本市の責務として,本市は,飲料容器及び吸い殻等の散乱の防止を図るために必要な施策を実施しなければならないとあり,本市の防止対策を講じる義務をうたっております。少なくとも従来のたばこのポイ捨て禁止の看板や車を走らせるだけのパトロールだけでは十分な対策とはなり得ておりません。質問の冒頭にたばこは加熱式など進化をしていると申しましたが,ごみ対策も実は進化をしております。例えば,ごみのポイ捨てアプリを提供している京大発のベンチャー企業が環境大臣賞を受賞するなどしており,横浜市など,既にこの企業のサービスを活用している自治体が出てきております。京都市でも,これまでにはない新たな観点からポイ捨て対策を検討いただきたいと考えますし,ポイ捨て行為に対しては路上喫煙のように実効性を持たせられる対策を真剣に検討いただきたいと考えますが,本市の御意見をお聞かせください。 以上2点について,ここで一旦答弁を求めます。 ○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 菅谷浩平議員の御質問にお答えします。 生活保護における不正受給対策等についてでございます。生活保護制度は,憲法第25条に規定する生存権を具現化する最後のセーフティネットであり,国民,市民の皆様に制度を信頼していただくことが,制度の今後にとっても極めて重要であります。本市では,受給者が抱える課題をケースワーカーがしっかりと把握し,的確な助言指導等を行うとともに,就労をはじめとするきめ細かな支援を徹底して実施してまいりました。その結果,毎年1,000名を超える方が就労につながるなどにより,この間,生活保護率は,年々減少を続けております。今後とも一層制度の目的である最低生活の保障と自立支援,とりわけ就労支援に向けて,適正な制度運営を行ってまいります。 生活保護受給者のギャンブルにつきましては,生計の状況を適切に把握するとともに支出の節約を図るという生活上の義務が法に定められており,ギャンブルのような生活の圧迫につながる支出は避けるようきめ細かく指導しております。また,収入等に変動があった場合には届け出なければならないことから,金額の多少にかかわらず申告するよう求めております。今回の実態調査の本市における状況につきましては,昨年度,ギャンブルに関する助言指導をした人は41名,延べ52件であり,指導の結果,収入申告も行われております。また,ケースワーカーによる指導を通じまして,ギャンブル依存症が疑われたため,医療機関や自助グループへつないだ事例もございます。ギャンブル依存症については,自ら治療を求める人は少なく,対策が必要な方の数を正確に把握することは困難ではありますが,回復が可能な疾患とされていることから,こころの健康増進センターにおいて,これまでの取組に加えまして,来年度には新たに専門外来を設置し,依存症からの回復や再発防止を図るための予算を提案しているところでございます。 次に,不正受給は,制度に対する市民の信頼を損ねるものであり,き然とした対応を徹底していかなければなりません。このため,ケースワーカーによる日頃の指導援助に加えまして,定期的に資産状況等を把握しており,さらに保健福祉局に専任の体制を設け,市民や関係機関からの情報提供等に基づきまして,徹底した調査を行い,必要な場合は警察との連携も深めております。また,今回の調査では,全国の1割を超える362万円の保護費の返還を求めており,これは全国の保護費に占める本市の割合が1.9パーセントであることからも極めて高い金額でございます。本市における指導の徹底の結果でもあると考えております。今後とも,悪質な事案に対しては告発も辞さない厳正な対処を行い,市民から信頼される生活保護制度となるよう,また一人一人の自立につながるよう取組を進めてまいります。 以下,関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(寺田一博) 山田環境政策局長。 〔山田環境政策局長登壇〕 ◎環境政策局長(山田哲士) たばこの吸い殻のポイ捨てについてでございます。まちの美化を推進するためには,ごみを捨てない意識づくり,捨てにくい環境づくり,捨てさせない仕組みづくりが重要でございます。そのため本市では,平成9年に美化推進条例を施行し,世界一美しいまち・京都の実現を目指して,市民の皆様の自主的な清掃活動への支援や事業者の皆様と連携した啓発活動など,市民,事業者の皆様と一体となったまちの美化の取組を推進してきております。これにより,条例施行前には年間8万6,000人でありましたボランティア清掃の参加者が,現在は約3倍の23万1,000人になるなど,まちの美化の輪が大きく広がってきております。また,たばこ関連の事業者の皆様におかれましても,独自にポイ捨て禁止を呼び掛ける啓発活動や清掃活動などを率先して実践していただいております。その結果,事業者やボランティア団体等との協働で実施しておりますまちの美化市民総行動の清掃活動で回収いたしました吸い殻などの散乱ごみは,10年前と比べまして約5分の1と減少するなど,大きく削減できております。また,京都観光総合調査におきましても,まちの清潔さについて,約9割の外国人観光客が満足され,5年連続で20項目中最も高い評価を頂くなど,大きな成果を挙げてきております。今後とも,路上喫煙対策等と連携を図り,京都が持つ高い市民力,地域力,そして門掃きなどの生活文化に裏打ちされたまちの美化の輪が一層広がるよう取り組みますとともに,より効果的な方策につきましても研究してまいります。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 菅谷議員。 〔菅谷浩平議員登壇〕 ◆(菅谷浩平議員) (パネルを示す)最後に,京都駅八条口の貸切バス臨時降車場の運用の在り方についてお尋ねをいたします。現在,京都駅の八条口は平成26年から約45億6,000万円を掛けて整備をし,平成28年にグランドオーブンいたしました。以前は八条通がタクシーや一般車両で埋め尽くされていましたが,タクシー乗り場にはショットガンシステムが採用され,一般車両も乗降スペースが設けられ利便性は向上し,八条通の交通環境も改善されました。現在八条通の南側,烏丸通を少し西に行った所には,貸切バス臨時降車場が2台分設けられています。大きさにして長さ40メートルもあり,この貸切バス臨時降車場は,修学旅行シーズンのときなど,貸切バス乗降場として用意されている12台分のスペースでは対応し切れなかった場合のためにのみ使われているスペースであります。しかしながら,普段はポールとチェーンで一般車がとめられないように閉鎖されてしまっております。現在この貸切バス臨時降車場のすぐそばには,一般車両が御覧のとおり,人の乗り降りや出迎えのために駐停車をする光景が目立つようになってきました。もともと京都市が整備をした一般車両の乗降スペースは5台分で,障害者用スペース2台分と合わせて7台分しかありません。委員会等でもこの点を御指摘された議員の方もおられ,京都市は現在アバンティの駐車場を30分無料開放するなどの対応を採ってきております。ただし,この駐車場の割引措置を利用するためには,アバンティに車をとめた後で,約100メートル離れた一般乗降場の誘導員から券をもらって初めて30分無料になるというシステムで,短時間で送り迎えを済ませたいという一般の方々のニーズには応えられていません。 ですから,この一般車乗降場を御利用になった方ならお分かりになるでしょうが,7台分のスペースが埋まっていた場合,その場に車をとめられずに一旦通り抜けなければならないことが度々あります。そのため,こちらでの利用を諦めて八条通南側の,それも高速バスや市バスなどの停車場のないスペースであるこの貸切バス臨時降車場の真横にとめて人を待っていると考えられます。この八条通は,竹田街道から油小路までの間は人の乗降のための停車の場合を含めて駐停車禁止とされていますが,1年の間のほとんどが使われない状態でポールが立ったままだけのこのスペースは有効活用し,修学旅行のシーズン以外には,京都駅を御利用される一般の方々に広く利用してもらった方がよいのではないかと考えますが,本市の今後の対応をお聞かせください。 私は,議員にならせていただいて3年余りたちましたが,常に納税者目線,利用者目線を心掛けて,これからも行政に対して色々と提案をしてまいりたい,その気持ちを胸にこれからも活動を続けてまいります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(寺田一博) 鈴木都市計画局長。 〔鈴木都市計画局長登壇〕 ◎都市計画局長(鈴木章一郎) 菅谷浩平議員の質問にお答えします。 京都駅八条口貸切バス臨時降車場の運用についてでございます。整備前の八条通は,タクシーや貸切バスと,駐車場待ちの一般車両が混在して列を成すなど,大変混乱した状況にありました。このため,京都府警察や交通事業者等と協議を重ねた結果,一般車両やタクシー,バス等を混在させず,それぞれ専用のスペースを設けるという考え方の下,限られた空間内で再配置を行い,離れた待機場からタクシーや貸切バスを乗降場に適時に送り出すいわゆるショットガン方式等のソフト面の工夫と併せて運用してまいりました。この考え方にのっとって,一般車につきましては,専用乗降場を設け乗り降りのための停車に限るというルールを徹底する一方で,一定時間とめたい方につきましては,アバンティ地下の駐車場を30分無料で御利用いただいております。この方法は,限られた空間を機能的にすみ分けるといううえでは合理的と考えてございます。 一方で,御指摘の貸切バス臨時降車場につきましては,乗降場の利用状況に応じて,年間を通じて運用することとしております。また,本臨時降車場につきましては,八条通にじかに接している構造でございますことから,仮に一般車両が使用すれば,入場できない車両が八条通に列を成すということが避けられず,そもそもの整備目的でありますところの交通の整序化に支障を来すと懸念をいたしております。今後とも,人と公共交通優先の理念の下,八条通の円滑な交通を確保し,多くの皆様に安全で快適に駅前広場を御利用いただけるよう努めてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) 暫時休憩いたします。 〔午後3時2分休憩〕 〔午後3時26分再開〕 ○議長(寺田一博) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) 休憩前の議事を継続し,質疑を続行いたします。 江村理紗議員に発言を許します。江村議員。 〔江村理紗議員登壇(拍手)〕 ◆(江村理紗議員) 地域政党京都党右京区選出の江村理紗です。会派を代表しまして森かれん議員と共に平成30年度京都市予算に関して質疑を行います。 まず冒頭に,今回東北,北陸地方を中心に豪雪による被害に遭われました皆様に心よりお見舞い申し上げます。 京都党では,未来の京都に負担ではなく希望を託せるように,産業,文化,学術などありとあらゆる地域資源を結集し,豊かな地域社会に向けて京都市として一丸となって,現在山積する行政課題の解決に向けて立ち向かうことが急務だと考えております。人口減少,南海トラフ地震をはじめとする災害など,未曾有の国難が迫っていると叫ばれる中,京都市にその国難に対処し得る備え,具体的には財政準備があるのかということを明らかにし,正しく市民に現状を伝えることが市会議員の責務だと考え,今回は財政を中心に質問させていただきます。 平成30年度の一般会計予算案は7,845億円が計上され,過去最大規模となっております。しかし,財政は綱渡り状況で,予算の段階から大幅に財源が足りず,中期財政収支見通しよりもずっと多い特別の財源対策が127億円にも及ぶことは非常に危惧すべき課題です。投資的経費は,京プランの推計よりも150億円も膨張した870億円で,必要な建設物が中心ですが,議会から少なからず疑問視する声が残る芸大移転などは,急速に進める必要があるのでしょうか。昨年審議しました平成28年度決算では,ついに予算段階の厳しい数字を好転させられなかったことからも,より慎重な財政収支を見込んでいかねばなりません。収入見込みは堅実な数値が算出できているでしょうか。今年も経済成長率を1.5パーセントと仮定し,市税収入を見込んでおりますが,昨年秋に示された平成28年度決算では,法人市民税の収入が,見込みより大幅に少なかったことが原因で更なる財源不足となり,議会からも指摘がありました。しかし,今回も対前年比20.2パーセントの法人市民税収入が見込まれており,神戸市では2.7パーセント,大阪市では12.4パーセントの見込みであることと比べても相当強気な見込みとなっております。この点の予測は非常に手堅くしておくべきで,平成28年度のように大幅な減収が発生すると,予算不足が生じ,結果的に後年度に負担を強いられてしまいます。一昨年度の決算状況を考慮すると,より堅実な仮定をすべきと考えますが,この点において,まず市長の御所見をお聞かせください。 次に,宿泊税について伺います。我が会派は,宿泊税導入を積極的に推奨しており,今回導入に至ったことは高く評価しているところです。今回,京都市では,平成30年度の10月から宿泊税を導入し,6箇月で19億円の税収を見込んでおりますが,一足先に導入した大阪府では,想定の7割しか税収が集まらない事態が発生しています。その原因は,ホテルの宿泊単価予約が状況に応じて頻繁に変動することや,宿泊単価が高騰していた時期を予測の根拠としていたことが指摘されています。 (パネルを示す)この課題は,昨年9月時点では既に指摘をされていたため,行財政局はその点も織り込んだうえでの想定をされ,事業予算を組まれているものと存じます。しかし,宿泊税収入の使途は25項目にわたる事業に割り振られているため,収入見込みよりも減収となると,いずれかの事業に割り振れない,もしくは多岐の事業で充当額を減らすことになります。そして,事業費を絞り切れず一般財源から繰り出すことになれば,この緊迫した財政の中で更なるしわ寄せが生じることにもなります。そういった意味でも,例えば収入できた分だけ二条城の修繕に活用していくなど,使い道を限定的にした方が,税収が入った分だけ特定の対象に充当することができてスムーズであると考えます。また,宿泊税収入が見込みの19億円を下回った場合は,コスト削減しつつも,足りない分は一般財源を充当するとのことでしたが,ただでさえ余裕のない財政にこれ以上負担がかさまないよう,充当の仕方を考え直すべきではないでしょうか。 次に,特別の財源対策について伺います。 (パネルを示す)京都市は,特別の財源対策を平成32年度までの脱却を掲げていますが,平成30年度予算も特別の財源対策は127億円が見込まれております。借金返済のために確保している公債償還基金を現在の市政運営のために流用することは,かねてより脱却を求めておりますが,行政改革推進債の発行も同様です。京都市は行革債の発行が続いており,平成28年度末残高は570億円にも上ります。直近5年を振り返っても残高は増え続けています。行革債は,事業の廃止や職員給与の時限付きカットといったコストカット,すなわち行政改革に努めた分を橋りょう整備などの長いスパン活用する投資的経費に充てられるため,元々は行政改革の促進を期待できるものです。しかし,コストカットした分で,また新たな借金をして別の事業に充てていては,いつまでたっても財政運営は火の車となるため,近年はどの自治体も行政改革に努めながらも,行革債の発行は減少傾向で半数以上の政令市が新たな起債を取りやめています。近隣の大阪市や神戸市でも行革債の起債は行われておらず,それによる借金はありません。全額が未来の京都市民が負担する借金となる行革債にすがり続けていることは,京都市が政令市の中で将来負担比率が最も悪くなっている要因でもあります。 今後の財政負担を考慮すると,新規の行革債の起債は避け,残高の削減に向けかじ取りを切るべきではないでしょうか。このように将来への負担が他自治体と比べても非常に重くのし掛かり,かつ経常収支比率はここ数年,99パーセントから100パーセントと義務的経費を賄うのに精一杯の状況で,そのため特別の財源対策として禁じ手を使い,計画的な財政運営の調整弁である財政調整基金は,平成28年度残高でついにゼロになってしまいました。これは政令市を見渡しても京都市だけで,財政の弾力性がない今,議会からの収入の範囲内の支出に抑えることを求める声を縮み思考とし,予算規模を更に拡大させている場合ではありません。 (パネルを示す)財政調整基金が厳しいのは,この15年以上にわたり多くの政令市も同様でしたが,経常収支比率が厳しい自治体でも,行革債の残高を減少させ,かつ財政調整基金の残高を増やしている自治体もあります。実際に関西で言えば,大阪市では直近5年で財政調整基金を0円から1,600億円に,神戸市でも4億円を128億円に増額させています。むしろ政令市で減少したのは京都市と広島市だけです。こうしてほかの政令市と様々な数値を比較してみると,政令市全体では緊迫財政は底を打ったとも見受けられます。京都市は,現在の手法の延長線上で,財政状況を回復に向かわせ,本当に中期経営プランどおり平成32年度の特別の財源対策からの脱却が果たせるでしょうか。近年,財政調整基金においては,調布市では市税総額の1割程度,40億円のストック目標を掲げたり,草津市でも標準財政規模の12.08パーセント以上の残高とするなど,目標値が明記されています。他都市よりも極めて厳しい財政状況に直面している京都市として,条例ないしはガイドラインに目標数値を組み込むべきです。京都市では,一定額の確保が必要とのお話は伺っておりますが,改めて,具体的な数値目標をお示しください。また,少なくとも一定額が必要なうえで,その分の確保をどのような計画で進めていかれるのか御所見をお聞かせください。あわせて,財政調整基金を使い果たした状況で南海トラフ地震など有事が発生した場合,どのような対処をお考えですか,お聞かせください。固定資産税収入が低いから,学生と高齢者の割合が高いから,また社会福祉費が膨れ上がっているからと構造的な要因ももちろんありますが,それらを財政が緊迫していく言い訳にしていても改善はなされません。構造的に改善させる大きなかじ取りが必要です。 その意味で,今回上下水道局から提案されている財政目標においては高く評価しております。これから排水管更新のために10年間で200億円の資金が必要になることを見越し,将来負担が大きくなり過ぎないよう半分は企業債で賄い,残りの半分は利益をプールして資金を積み立てていく方針を打ち出されました。経営努力が大前提ですが,単年度の黒字だけでなく,世代間の負担の公平性や健全な財政運営の観点から,是非強力に進めていただきたいと存じます。 京都市は,これまで徹底した行財政改革の取組の柱として職員の削減がうたわれております。それは苦渋の選択の改革ですが,一方で,現在進行形で行われている職員の給与アップなどは一貫性を損なうものです。今後は,ますます少ない人員でサービスの維持向上が求められるため,良いことは個人をたたえ,課題は組織で解決する。やりがいの向上に努めながらも,公務員給与においても財政状況への配慮が必要です。また,様々な点で大胆なかじ取りも必要です。例えば地下鉄を民営化すれば一定の返済が前提ですが,株式会社化で出資を募り市場から巨額の資金調達が可能で,それを原資に借金を返済,職員を会社員にし,合理化により,高いサービスと安い地下鉄を実現できます。ほかにも,投資家が民間企業に投資し,行政が担ってきた社会課題を解決するソーシャル・インパクト・ボンド,いわゆるSIBを活用して行政経費を削減する手法なども積極的に活用することも考えられます。 最後に,これらを総括して1点申し上げます。そもそも,京都市はお金がないために苦渋の決断で例外的な借金に踏み切ることへの承認を議会に求め,その代わりに平成32年までには状況を改善させ,10年以上続けている例外的な借金から脱却するとしておりました。しかし,いよいよその期限間近である平成30年度の予算においても,依然として厳しさが増している状況です。確かに事業縮小や経費削減はしているものの,一方で新たな事業も発生しており,予算規模自体は膨れ上がっております。未来の子や孫の世代が財政面でも今の京都市の運営を将来評価してくれることを望み,立て直しを図るべきです。門川市長におかれましては,これらの点を踏まえ,平成32年度予算時には,議会から財政面でも安堵と希望が湧くように軌道に乗せられるよう努めていただくことを求め私の質問とします。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 江村理紗議員の御質問にお答えします。 平成30年度予算編成における収入見込みについてでございます。予算編成に際して,市税収入につきましては,経済成長率によって機械的に見込むのではなく,本市独自に直近の税収の状況や,国,府などと連携した法人企業景気予測調査・地価調査などの各種統計調査の活用,市内主要企業が公表する業績予想など,予算編成時点において把握し得る限りの根拠に基づき見込みを組み立てております。税収の8割を占める個人市民税,固定資産税,都市計画税については,この間,堅実な見込みとなっている一方,法人市民税につきましては,為替相場の変動や社会経済情勢などの変化による企業業績の変動に大きく左右される税目であり,過去10年を見ても,実際の収入は予算時点の見込みから10パーセントを超えて上下することがございました。平成28年度決算につきましては,海外経済の減速や急激な円高といった予算編成時には予期できなかった状況の変化により,減収となったものであります。平成30年度の予算編成に当たりましても,法人市民税については,全体として回復基調にある経済状況に加えまして,税収の動向に影響を及ぼすと考えられる主要企業に対しては業績アンケートを実施し,その結果を詳細に分析するなど,慎重な検討を行った結果,平成29年度当初予算よりも20.2パーセント増収となると見込んだところであり,決して過大な見込みではないと考えております。今後とも,歳入の確保には全力を挙げて取り組むとともに,市民の暮らしを守り,京都の未来を切り開く事業を引き続き展開してまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(寺田一博) 植村副市長。 〔植村副市長登壇〕 ◎副市長(植村哲) 宿泊税についてでございます。来年度予算においては,この宿泊税収入として19億円を見込んでおるわけでございますが,この貴重な財源を活用いたしまして,京都ならではの文化振興,美しい景観の保全など市民生活と観光との調和を図りまして,京都の文化力,都市の品格,魅力を一層向上させるための施策,これを推進してまいりたいと考えております。とりわけ来年度の宿泊税の使途でございますけれども,市民の皆様,入洛客の皆様,観光に携わる事業者の皆様全てに宿泊税の効果を実感いただくべく民泊対策,バスの混雑対策,トイレ整備など,本市の観光と市民生活との調和に関する課題,かなり大きく目立っている課題,こういったものを解消する取組に重点的に予算化しているところでございます。この条例の目的をしっかりと踏まえまして,国際文化観光都市としての魅力を高める施策,観光の振興を図る施策に活用してまいりたいと考えております。 なお,宿泊税の税収でございますが,宿泊客の数によって一定の変動はあり得るというところはございますけれども,本市の制度でございますが,宿泊料金が1万円未満の場合に課税がなされないという大阪府の宿泊税制度と異なりまして,宿泊料金にかかわらず,修学旅行生等を除く全ての宿泊客に課税するという制度になっております。宿泊客の約95パーセントが最低税額である200円の区分に該当するという形で見込んでいるところでございます。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 岩崎財政担当局長。 〔岩崎財政担当局長登壇〕 ◎行財政局財政担当局長(岩崎清) 行政改革推進債についてでございます。本市では,市税や地方交付税等の一般財源収入がピーク時から300億円以上減少する極めて厳しい財政状況が続く中,市民生活の安心安全を守り,都市機能を維持発展させるため,特別の財源対策の一つとして,やむを得ず行政改革推進債を発行しております。行政改革推進債は,人件費の削減や事業の廃止など,行政改革の取組により将来の財政負担が軽減される範囲で発行が認められている特例的な市債でございますが,市税により返済が必要となる借金であることには変わりなく,可能な限り発行することなく財政運営を行うことが望ましいことは言うまでもございません。こうしたことから「京プラン」実施計画第2ステージにおいて,都市の成長戦略と行財政改革を一体的に推進することにより,行政改革推進債の発行の縮減など,特別の財源対策からの早期脱却を目指しているところでございます。 次に,財政調整基金についてでございます。財政調整基金は,年度間の財源調整のために財源に余裕のある年度に積み立て,財源が不足する年度に取崩しを行う基金でございます。本市におきましては,具体的な積立目標を設定しておりませんが,台風や豪雨等といった災害に代表される予算上の緊急の支出などに対応するため,一定の残高が必要と考えております。このため,これまで地方財政法に基づき,毎年度の決算における黒字の2分の1を積み立てるルールとしておりますが,平成28年度決算において生じた黒字は,全額を積み立てたところでございます。引き続き,不測の事態に備える観点から,財政調整基金の確保に努めてまいります。なお,江村議員御指摘の大地震といった大規模な災害が発生した際には,災害救助法に基づいて国や京都府から全額財源措置がなされることになっております。本市におきましては,徹底した行財政改革により捻出した財源を橋りょうをはじめとした公共施設や民間も含めた建築物の耐震化などの防災・減災対策の強化に重点的に配分し,災害に強い安心安全なまちづくりを進めているところでございます。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 次に,森かれん議員に発言を許します。森議員。 〔森かれん議員登壇(拍手)〕 ◆(森かれん議員) 上京区選出の森かれんです。地域政党京都党市会議員団を代表し,江村理紗議員に引き続き質問いたします。 初めに,観光政策についてお尋ねします。観光とは,訪れる人にとっては非日常である一方,そこに実際に住む住民にとっては日常です。都市としては,その調和を取りながら経済的利益を生み出し双方に還元していく必要があります。しかしながら,昨今の京都市内の観光客増は,市民から観光客が多過ぎるないしは私たちの税金が観光ばかりに使われているのではという不満になっているように感じます。京都と同様に国際観光都市として名高いバルセロナにおいては,住民による観光客排斥運動が勃発し,これまで観光に主軸を置いてきた町においても住民の不満が爆発したことを踏まえると,より一層その調和を図る施策を行わなければなりません。 そこで,市民の観光客に対する率直な御意見を伺うため,地域政党京都党は,独自に観光客に対する市民意識調査を実施いたしました。本調査は,1月20日から2月5日までの17日間かけて684人の方に御協力いただきました。観光客増に対する印象や市民目線から見る京都観光の満足に思う点,不満に思う点など複数の項目にわたってお伺いしました。おぼろげに捉えていた民意をより鮮明に捉える機会となりました。改めてこの場をお借りいたしまして,アンケートに御協力いただいた多くの方々に感謝申し上げます。 まず,観光客が増えていることについてはどのように感じているかという点については,全体の62パーセントの方が,とても良い,良いと御回答いただいており,観光によってもたらされる地域のにぎわい創出や経済効果の面において一定の評価を頂いていることが分かりました。一方,今後も観光客は増加させるべきですかという設問については,(パネルを示す)増えるべきと答えた方も33パーセントと一定数おられるものの,注目すべきは,現状維持と答えられた方が44パーセントと一番多く,減らすべきと答えた方が12パーセントだったということです。これらを合わせると半数を超えます。京都市は観光客増を更に目指されようとされていますが,もうこれ以上は増えてほしくないという方が半分を占める事態をきちんと受け止めなければなりません。その理由は,観光客増による不満はありますかという質問に対する答えから見えてまいりました。交通,民泊,マナーなど13項目にわたって選択式で答えていただいています。(パネルを示す)こちらは上位五つです。最も多いのは,観光客のマナー違反で434件,次に道路渋滞が371件となりました。また,宿泊者に関するマナーに関する項目を合わせると759件となり,突出して高いことが分かります。また,バスに関しても,バス車内の混雑が345件,キャリーバッグなどでのバス乗車が325件と合計すると670件となりました。この調査から市民が観光客に対して不満に思うことはほかにもあるものの,マナーに関すること,バス車内混雑,道路渋滞の三つに主たる原因があるのではないかということがアンケートから判明いたしました。 平成30年度の予算において,観光振興対策には,前年度2億1,200万円増の8億8,600万円が計上されています。観光振興対策として行われようとする事業は,確かにどれも必要なことではありますが,限られた予算の中で行う以上は,観光客と市民生活を調和させるための施策を選択と集中で行う必要があると考えます。そこで市長に2点お尋ねいたします。 1点目は,市バス路線の抜本的整備についてであります。市民アンケートからも,バス車内の混雑解消は喫緊の課題であります。現在の市バス路線は一部を除いては生活路線であるにもかかわらず,観光客で市民が乗れないといった事態が発生しています。この際,生活路線と観光路線を完全にすみ分けるべきではないでしょうか。現在も洛バスなど,観光路線は導入されているものの,一部エリア,限定した時間帯でのみの運行であり,生活路線との切り離しができている段階ではありません。路線増設やダイヤ強化はもちろん,車体のカラーリング,路線の抜本的見直しなどによって明確に生活路線と観光路線を分けるべきではないでしょうか。このことによる最大のメリットは,市民の不満が大幅に軽減されるということであります。さらに,バス路線を市民と観光客とで分けることによって,観光客にとっても分かりやすくなります。さらに観光路線では,キャリーバッグ置き場の設置や多言語対応など観光客に特化したサービスも可能となり,あらゆる面で乗りやすいバスにすることができます。とにかく市民の足をこれ以上阻害しないようにするためにも,生活路線と観光路線をすみ分けるべきです。 2点目は,宿泊者のマナー啓発であります。そもそも温かく観光客をお迎えする側である京都市が,郷に入っては郷に従えと言わんばかりにマナー啓発するのは限界があります。けれども宿泊者,とりわけ民泊宿泊者に対しては,室内で大声を出さない,ポイ捨てしないなど,事業者が注意を促すことができるため,未然にトラブルを防ぐこともできます。宿泊者のマナーに関するガイドラインを作成し,事業者が徹底的に宿泊者にマナーを守ってもらうよう指導することによって,日常生活を行う市民の負担軽減をする必要があると考えます。この2点についての市長の見解をお聞かせください。 次に,子ども・若者ケアラーへの支援についてお尋ねします。少子高齢化という人口構造のアンバランスだけではなく,家族の小規模化と多様化,共働き世帯の増加という暮らし方の変化によって,介護の在り方も大きな変貌を遂げようとしています。そして,多くの人が人生のいずれかの段階で介護を含むケアに関わることが避けられない時代に突入しています。その結果,高齢者世帯の増加による老老介護の問題だけでなく,晩産化・少子化の影響によるダブルケアの問題など,新たな社会問題が次々と発生しています。 介護離職の問題については,国の方でも大きな問題として取り上げられるようになり,育児・介護休業法や介護休業給付,紛争解決制度などが設けられました。しかし,高齢の親を40代から50代の働く世帯が介護をするという事例だけではなく,本来であれば親に扶養される立場であるにもかかわらず,成人に満たない子供や若者が様々な事情により,親,兄弟,祖父母の介護を担っている子ども・若者ケアラーという存在を行政はしっかり認識する必要があります。彼ら彼女らは,介護から想像される身体介助や見守りに限らず,親の就労を下支えする家事や障害を持つ兄弟のケアなど,実に幅広い役割を担っています。介護などは,いつ始まるかも,いつ終わるかも分かりません。ライフステージにおいて,介護を含むケアが先に発生し,長期化した場合,学校へ行くこと,卒業すること,就職し社会で自己実現を果たすこと,結婚・育児をすること,この極々一般的な生活すらままならなくなります。多くの人々が今後の暮らしや人生に見通しを持つことができません。さらに,学業や就労の未達状態が続けば,将来的には生涯賃金の低下にもつながり,貧困に陥る可能性は大いに考えられます。 総務省の調査によると,15歳から30歳未満の若年介護者は約17万7,000人に上りますが,ダブルケア問題などに精通する立命館大学教授の斎藤真緒先生は,現実には15歳未満であっても最後の家族資源として,ケア役割を担わされている子供がいること,30代を超えても,自分の仕事や結婚よりも,やむを得ず家族のケアを優先させている若者もいることを勘案すると,子ども・若者ケアラーの実数は大幅に増加すると指摘をしています。そんな中,家族の介護をする子供や若者たちが抱える課題について調査しようと,大阪歯科大学と関西学院大学の教授らによるグループが,2016年1月から12月にかけて大阪府立高校10校,高校生5,200人にアンケートを実施いたしました。その中で,家族のケアをしていると答えたのが272人,5.2パーセントであり,1クラスに一人から二人は子どもケアラーが存在していることが判明しました。さらに,ケアの頻度は,ほぼ毎日と答えたのが45パーセントと半数近くに上り,しかも,期間について具体的に回答した198人の半数が3年を超えると答え,中には6年5箇月と答えた生徒もいたことから,小中学生の頃からケアを担っている生徒がいるということが浮き彫りになってきました。一番身近な学校の先生ですら,なぜ子供が介護や親の代わりに家の手伝いをする必要があるのかという目線で見ている場合が多く,学校では,家のお手伝いもいいけれど学校のこともしっかりやってねと言われるだけにとどまることもあり,子ども・若者ケアラーが抱える困難がほとんど可視化されていないということは最大の問題です。 市長に2点お尋ねします。 1点目は,京都市においても子ども・若者ケアラーの実態調査を実施し,ニーズを顕在化させるべきという点です。子ども・若者ケアラーの抱える課題を放置し続ければ,健全な育成を損なうだけでなく,将来的に世帯所得の低下につながり,今後大きな社会的損失になると考えられます。そのためには実態を行政がしっかり把握し,そのうえで求められる施策を打つべきではないでしょうか。 2点目は,子ども・若者ケアラーと密接する学校現場においてその存在の認知を広めることです。学校では,常日頃の生徒の様子から,虐待やネグレクトなどを察知し,必要であれば関連施設へ結び付ける役割を担っておられます。先のアンケートにおいて,家族の介護を行っていることを打ち明けていますかという問いに対して,半数以上の人が,誰にも相談していないと答え,打ち明けたことがあるという回答の中でも,先生や医療機関や福祉施設の関係者に相談しているケースはほとんどありませんでした。今後は,生徒が子ども・若者ケアラーになっている可能性があり,かつ適切な公的サービスに結び付いていない場合は,包括支援センターや福祉事務所などにつないでいくことが必要であると考えます。これまでは,文化市民局と保健福祉局とにまたがっていた若者の健全育成という分野が,一括して子ども若者はぐくみ局の所管となりました。このことも契機と捉え,今まで顕在化されてこなかった子供,若者の困難についても新たに光を当て,行政がセーフティネットの役割を果たすべきと考えますが,市長の見解をお聞かせください。 以上で質問を終えます。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(寺田一博) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 森かれん議員の御質問にお答えします。 まず,宿泊者へのマナー啓発についてでございます。観光客を温かくお迎えするおもてなしは大切でありますが,郷に入れば郷に従うことも必要であり,マナー啓発などは極めて重要であると認識しています。そのため,生活習慣の違い等による一部の外国人観光客のマナーの問題について,本市では,ホームページ等を活用した情報発信を積極的に行うとともに,地域等と連携し,リーフレットの配布等の啓発に取り組み,その結果,地域の皆様からは,問題の改善にかなりの効果があったとのお声も頂いております。また,とりわけ宿泊施設におけるマナーに関しましては,平成28年12月に本市独自の指導要綱を策定し,全ての旅館業の事業者に対し,騒音など迷惑行為の防止のための取組を求め,その一環として,いわゆるハウスルールを作成し,宿泊者に周知するよう指導しております。 本市会に提案いたしております民泊関連の条例案をはじめ,民泊に係る本市独自のルールでは,この取組を更に進め,夜間に騒がないことやたばこの吸い殻やごみをみだりに捨てないこと,火災の発生時には速やかに119番通報することなど,宿泊に当たっての注意事項を規則等で具体的にお示しするとともに,これを宿泊施設の事業者が宿泊者に対して周知することを新たに実施される住宅宿泊事業を含め,条例で事業者に義務付けることといたしております。今後は,観光客向けホームページ等を活用し,観光客に対する宿泊マナーの啓発の強化を図ってまいります。また,条例で宿泊施設の事業者に義務付けたとおり,事業者から宿泊者への説明が確実になされるよう,民泊に係る本市独自ルールの周知を図るとともに,新たな監視指導の専任体制を設ける医療衛生センターをはじめ,関係機関が連携して指導等を徹底することにより,宿泊者による迷惑行為の防止,ひいては市民の生活環境と宿泊施設との調和を図ってまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(寺田一博) 村上副市長。 〔村上副市長登壇〕 ◎副市長(村上圭子) 若年者による介護についてでございます。まず,高齢の家族や障害のある兄弟等を主に若年者が介護している実態は,平成28年度の在宅介護実態調査や障害者生活状況調査において,対象は限られるものの一定把握をしております。若年介護者の課題解決には,介護を必要とされる方と介護をする方の双方の状況に応じた適切なサービスの利用に結び付けることが何より重要であります。このため,福祉サービスの充実を図るとともに,サービスの利用に係るケアプランの作成等に当たっては,家族の状況や介護負担等が十分考慮されるよう取組を進めております。また,子ども・若者支援の関係機関が参画するネットワークでございます子ども・若者支援地域協議会におきまして,若年者が介護に携わる実態を共有していくとともに,保健福祉センターをはじめとする相談支援機関や,地域の見守り役である民生児童委員,社会福祉協議会等が日々の活動を通じて課題が潜在化しているケースを把握し,適切な支援に結び付けてまいります。とりわけ,複数の課題を抱える困難な事例に対しましては,子ども若者はぐくみ局の創設を契機に設置いたしました統括保健師等が軸となり,子ども若者支援コーディネーターや地域あんしん支援員等が連携し,子供や若者に寄り添う支援を進めてまいります。 次に,学校現場における認知や取組につきましては,教職員が日常的に子供たちの実態把握に努めるとともに,家庭訪問や保護者懇談などを実施する中で,親族等への介護や家庭環境など,子供たちの生活を的確に把握するよう努めております。今後,子供たちの打ち明けにくい悩みにもしっかりと寄り添うことができるよう全市立学校に配置されたスクールカウンセラーを一層活用するとともに,スクールソーシャルワーカーの配置拡充を図ることで,福祉機関等との連携を進め,子供たちが抱える困り等の課題解決に取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(寺田一博) 山本公営企業管理者。 〔山本公営企業管理者登壇〕 ◎公営企業管理者(山本耕治) 市バスの観光路線についてでございます。市バス事業では,近年,系統数を74から84に増やし,バス車両も54両増車することで路線・ダイヤの充実や利便性の向上を図ってきた結果,通勤・通学の御利用に加え,観光客の皆様の増加も相まって一部の路線では車内が混雑しており,混雑緩和は喫緊の課題と認識しています。毎年実施しているダイヤ改正では,市民の皆様をはじめ日常生活で御利用のお客様の利便性向上を図るため,朝夕のラッシュ時間帯における増便や大学への通学系統の運行充実,最終バスの時刻の繰下げ,地域住民の皆様によるバス利用促進の取組と連携した路線・ダイヤの拡充に取り組んでまいりました。森議員御指摘の観光路線の明確化と増強につきましては,清水寺,金閣寺,銀閣寺,二条城などの市内の主要観光地を網羅する洛バス3系統を,外国人観光客の皆様にも分かりやすいよう,系統番号を100番台に設定し,平成16年度から運行を開始いたしました。以降,観光客の皆様の増加に対応し,本年3月の新ダイヤも含め,洛バスを1日42便増便しているほか,伏見稲荷大社方面など五つの路線を新設し,これらの観光系統の増強によって市バスの混雑緩和に努めております。加えて,多くのお客様が御利用になる観光シーズンにおいては,京都駅と清水寺を直通で結ぶ東山シャトルなどの臨時バスも積極的に運行しております。今後とも,こうした取組を実施することにより,市民の皆様にも,京都を訪れる観光客の皆様にも,共に便利で快適に御利用いただける市バスを目指してまいります。以上でございます。 ○議長(寺田一博) これをもって質疑を終結いたします。 田中たかのり議員。 ◆(田中たかのり議員) 議事進行について動議を提出いたします。 ただ今議題となっております議第1号から議第27号,議第30号から議第32号,議第34号から議第41号,議第43号から議第46号,議第48号,議第49号,議第51号から議第54号,議第149号,議第154号から議第160号,議第171号及び議第172号の58件については,現在設置されております予算特別委員会に付託のうえ,慎重審議願いたいと思います。(「賛成」と呼ぶ者あり) ○議長(寺田一博) ただ今,田中たかのり議員から動議が提出され,動議は成立いたしております。 お諮りいたします。ただ今の田中議員の動議のとおり決することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(寺田一博) 御異議なしと認めます。よって田中議員の動議のとおり決します。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) 日程第2ないし日程第19,議第28号京都市地方独立行政法人京都産業技術研究所評価委員会条例の一部を改正する条例の制定について,ほか17件,以上18件を一括議題といたします。 2月16日の議事を継続いたします。 本案は,ただ今お手元に配付してあります議案付託表のとおり,所管の常任委員会に付託いたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) 日程第20,議第141号ないし議第148号,議第164号ないし議第166号,議第169号,議第170号,議第173号及び議第174号平成29年度京都市一般会計補正予算,ほか14件,以上15件を一括議題といたします。 予算特別委員長の報告を求めます。予算特別委員長西村義直議員。 〔西村予算特別委員長登壇(拍手)〕 ◆予算特別委員長(西村義直) 本委員会に付託されました議第141号平成29年度京都市一般会計補正予算ほか14件につきまして,審査の経過と結果を御報告申し上げます。 当委員会といたしましては,2月16日の本会議で付託を受け,同日に,第2分科会で議第169号及び議第170号京都市住宅宿泊事業の適正な運営を確保するための措置に関する条例の制定について,ほか1件及び関連する補正予算のいわゆる民泊関連議案に対する集中審査を,保健福祉局並びに関連局である文化市民局,産業観光局,都市計画局及び消防局に対して行うとともに,19日に,第1分科会では環境政策局,行財政局及び文化市民局に対して,第2分科会では保健福祉局,子ども若者はぐくみ局,都市計画局及び建設局に対して,第3分科会では産業観光局及び上下水道局に対してそれぞれ質疑を行い,20日に各分科会の報告を受けた次第であります。 今回の補正予算は,平成30年6月の住宅宿泊事業法の施行に先立って3月から開始される届出受付を見据えた条例等の周知など,民泊対策の推進をはじめ,国の補正予算を活用した市営住宅耐震改修工事や中央卸売市場再整備事業の実施のほか,国庫支出金返還金や利用者が見込みを上回った障害者自立支援給付費に要する経費など,国・府支出金や地方交付税等を財源として,総額109億7,500万円を補正しようとするものであります。 以下,審査の過程において論議されました主な事項について順次申し上げます。 まず,民泊対策の推進につきましては,営業日数を0日間に規制することが法に抵触する可能性,細街路や住居専用地域における住宅宿泊事業を禁止する必要性,住居専用地域での民泊営業が住民にとって強い抵抗感があることを認識する必要性と条例における家主の定義への疑問,地元自治会との協定書の締結を条例に規定する考え,一定の基準を満たす京町家を営業期間の制限対象から外す理由と外すことに伴う生活環境に与える影響への懸念,適正な運営等を確保する措置として市民に法的義務を課すことに対する疑問,事業者が本来守らなければならない責務を怠った場合の指導状況,営業停止命令等の措置を採る判断基準,悪質な事業者に対する是正指導をガイドラインに明記し実効力あるものとする考え,少なくとも宿泊者が滞在中は管理者の常駐を条例で義務付ける必要性,東山区における民泊火災から得た教訓が条例案にいかされていることへの確認,長屋における民泊に対する騒音対策や火災保険への加入促進に向けた取組,ごみの排出に係るルールの徹底を担保する必要性,無届施設と明確に区別できるよう地域住民や宿泊者が分かりやすい消防検査済証を作成する必要性,夜間や水回りのトラブルにも対応できるよう現地対応管理者に対してガイドライン等で一定の資質を求めていく必要性,民泊を開業する事業者に対し宿泊税の周知を徹底し,公平,公正に徴収する必要性及び違法民泊根絶に向けた決意,民泊の適正な運営等を確保するために事業開始当初から医療衛生センターの体制を強化する必要性,夜間等の通報に対応するために民泊通報・相談窓口を24時間体制にする考え,地元自治会等からの民泊関連相談に対して各局及び各区役所と連携した効果的な支援を行う必要性などについて質疑や御意見がありました。 次に,国の補正予算を活用した事業の推進につきましては,中央卸売市場再整備事業に関して,再整備事業に対する支援を国に対して積極的に要望する考え,再整備事業に対する府補助金の獲得に向けた取組状況と再整備が府にメリットのあることを訴える必要性,取扱数量や取扱金額に影響を及ぼす変動要因が生じた際のリスク管理の必要性,市場の取扱数量の増加に向けた小口取引への支援の内容,京都肉の取扱頭数の増加に向けた府と市が一体となった取組の必要性,市場の輸出指向が市内小売店や市民に与える影響,取扱数量や取扱金額を基準に場内事業者をとう汰することの是非とやる気のある事業者を支援する必要性,市場制度に対する国の見直しが市場機能の役割を後退させるおそれ及び局としての認識などについて質疑や御意見があったほか,中央卸売市場第二市場再整備工事請負契約の変更に関して,当初請負契約締結時に今回の変更要因を見込めなかった理由,今後の再整備工事に当たって事前に地質調査を行う考え,多額の経費を要する契約変更が発生しないように当初契約時に慎重に取り組む必要性などについて質疑や御意見がありました。また,市営住宅耐震改修工事に関して,耐震改修工事に伴い使用不可となる住戸数及び管理戸数減少に伴う代替住戸の考えなどについて質疑や御意見がありました。 そのほか,新庁舎整備事業に係る繰越明許費の補正について,繰越しの経過及び当初から騒音,振動の具体的な影響を想定できなかった理由,市民にとって重要な事業であることを踏まえ,今後工事の遅延や経費の増加がないように取り組む決意,施工計画の変更内容及びこれに伴い増加する経費の内訳,当初から北庁舎の仮使用を想定していた場合における工期及び経費の見込みなどについて質疑や御意見がありました。 以上のほか,南部クリーンセンター第二工場建替え整備の遅延に伴い大規模改修を1年後倒しする東北部クリーンセンターのごみ処理機能や安全性確保の見通し及び大規模改修経費の増加見込み,市民しんぶんの挟み込みだけではなく市民により分かりやすい防災マップの周知方法の検討,退職手当に係る補正予算の財源及び退職手当全体における退職手当債の活用の見込み,平成33年5月のワールドマスターズゲームズ2021関西の開催に間に合うよう西京極総合運動公園陸上競技場兼球技場改修工事を完了する決意,宝が池運動公園体育館の工事の遅延がしゅん工期限に影響しないことの確認,深草墓園における樹木型納骨施設整備事業の繰越しによる事業全体の進捗への影響の有無,就労支援等による生活保護受給者数の減少を正確に見込んだうえで予算を編成する必要性,生活保護受給者にとって過度な就労支援とならないよう受給者に寄り添い自発的な自立を促す必要性,予算の大幅な増額補正とならないよう今後の居宅介護等訪問系サービス利用者数の正確な把握に向けた認識,障害の重度化や介護者の高齢化等給付費増額の原因分析を詳細に行う必要性,後期高齢者医療における被保険者数が当初の見込みよりも上回った理由,保険料の法定軽減対象者数の今後の見込み及び慎重な当初予算編成の必要性,低所得者数が増加した理由の検証及び激変緩和措置終了による保険料への影響の有無,京阪山科駅前バスターミナル上屋整備の完成予定時期及び事業費の総額と,その他の民間バス事業者への支援事業の年度内執行の見込み,山林の管理かしに係る損害賠償事案を教訓にして倒木のおそれがある樹木の伐採時期を検証する必要性,民家に近接している危険な樹木の早期対策の必要性,歴史的風土特別保存地区内における民有地の管理状況の認識及び行政として関与する必要性,伝統産業ふれあい館リニューアル事業の繰越理由である業界関係者等との調整の内容,伝統産業ふれあい館のリニューアルに向けた今後の整備スケジュールと工事期間中の閉館等の有無,労力と時間を要する伝統産業品の魅力を伝える取組に重点を置く必要性,木材乾燥施設整備支援の繰越理由と支援対象となる事業者の有無及び支援を希望する事業者への対応状況,合併後の京北地域への多額の林業振興に係る投資実績の検証を踏まえた取組の必要性,今回の補正予算で財政調整基金を財源としていない理由及び適正な残高確保のため基金の使途基準を定める必要性などについて質疑や御意見がありました。 概略,以上のような審査の後,更に各会派等において御検討いただきましたところ,議第169号については,自民党,共産党の各議員団から,また,日本維新の会議員団と京都党議員団の共同でそれぞれ修正案が提出されたほか,議第170号については,共産党議員団から修正案が提出されました。そこで,これらの修正案を含め,各会派等において御検討いただき,21日に委員会を開会いたしましたところ,共産党議員団から,議第169号及び170号については継続審査すべきとの動議が提出されました。そこで,動議について表決を採りましたところ,少数で否決されました。その後,各会派等で検討された結果を御発表いただきましたところ,次のとおりでありました。すなわち,自民党議員団は議第169号を修正し,議第169号の共産党議員団の修正案及び日本維新の会議員団と京都党議員団の共同の修正案はいずれも反対する。議第170号の共産党議員団の修正案は反対し,原案に賛成する。その他の議案はいずれも原案に賛成する。議第141号及び169号に1個の付帯決議を付す。共産党議員団は,議第169号及び170号を修正し,議第169号の自民党議員団の修正案及び日本維新の会議員団と京都党議員団の共同の修正案はいずれも反対する。議第145号及び148号は反対し,その他の議案はいずれも原案に賛成する。公明党,民進党の各議員団及び無所属3名の委員は,議第169号の自民党議員団の修正案は賛成し,共産党議員団の修正案及び日本維新の会議員団と京都党議員団の共同の修正案はいずれも反対する。議第170号の共産党議員団の修正案は反対し,原案に賛成する。その他の議案はいずれも原案に賛成する。そのうえで,公明党議員団は議第169号及び170号に1個の付帯決議を付す。民進党議員団は議第169号及び170号に7個の付帯決議を付す。日本維新の会,京都党の各議員団は議第169号を共同で修正する。議第169号の自民党議員団の修正案は賛成し,共産党議員団の修正案は反対する。議第170号の共産党議員団の修正案は反対し,原案に賛成する。その他の議案はいずれも原案に賛成するとのことでありました。そこで直ちに表決を採りましたところ,ただ今お手元に配付してあります委員会報告書のとおり,議第169号については多数をもって,自民党修正案のとおり修正可決すべきものと決定し,議第145号,148号及び170号については多数をもって,残余の議案11件については全会一致をもって,いずれも原案のとおり可決すべきものと決定した次第であります。 次に,議第169号の委員会修正内容について申し上げます。住宅宿泊事業いわゆる民泊については,京都に住む人の生活文化が体感でき,多様な観光ニーズに応える,これまでとは異なる形態の新たな宿泊事業であります。そして,京都の奥深い魅力を伝える民泊の運営については,地域住民の理解や地域の生活環境との調和,そして宿泊者と地域住民の交流がなければ成り立たないものであります。しかしながら,既に違法民泊により地域住民の生活が脅かされる事案が発生しており,そのような中で始まる民泊が,地域住民に安心感を持って迎えられ,望ましいものとなるよう,第5条第3項に「地域住民との間で住宅宿泊事業の運営に関する協定を締結すること」を加えるものであります。 引き続きまして,付帯決議の調整を行いました結果,議第141号,169号及び170号に1個の付帯決議を付すことに決定した次第であります。 以下,付帯決議について申し上げます。   議第141号,議第169号及び議第170号に対する付帯決議 住宅宿泊事業法の施行により,これまでとは異なる形態で宿泊事業が運営され,市民の生活に影響を及ぼすことが予想されている。 ついては,民泊関連条例の施行に当たっては,事業者が法令等や届出等の内容に照らし適正に管理運営しているかの監視指導を強化するとともに,防火対策の徹底はもちろんのこと,防音対策も積極的に指導し,法令等を守らず市民生活を脅かす事業者に対しては断固とした措置を採るなど,下記の事項を含め,市民生活への影響を最小限にするよう努めること。1 条例運用に当たっては,全庁横断的な協力体制を構築し,円滑な運用に努めること。2 京都市住宅宿泊事業の適正な運営を確保するための措置に関する条例第12条第7項における,いわゆる駆け付け要件の市長特例については慎重に運用すること。3 条例の施行後の状況を的確に把握し,必要な見直しを行う等,実情に即した運用に努めること。4 近隣住民の通報等で駆け付ける現地対応管理者の実効性を担保するために必要な要件や遵守事項についてガイドラインに明記すること。5 ごみ処理方法については,適切な処理に加え,周辺住民の生活環境にも配慮を求めること。6 住居専用地域の京町家において特例措置が図られたが,それ以外の地域でも「京町家の保全及び継承に関する条例」の趣旨に鑑み,住宅宿泊事業も活用して京町家保全が進む施策を検討すること。 以上であります。これをもちまして委員長報告を終わります。(拍手) ○議長(寺田一博) 山本陽子議員。 〔山本陽子議員登壇(拍手)〕 ◆(山本陽子議員) 日本共産党京都市会議員団は,議第169号京都市住宅宿泊事業の適正な運営を確保するための措置に関する条例の制定について及び議第170号京都市旅館業法に基づく衛生に必要な措置及び構造設備の基準等に関する条例の一部を改正する条例の制定についての継続審査を求める動議を提出いたします。以下,その理由を述べます。 今回の議案は,届出のみで住宅での宿泊営業が可能となる住宅宿泊事業法の施行に対し,京都市として地域の実情を反映させ,住民の生活環境との調和を図るための条例議案,条例改正議案であります。しかしながら,委員会の審議で明らかになったことは,管理者不在型では,火災の際,事業者は迅速な対応ができないということ,その結果,一般の近隣住民が命を守る責任を負うということ,木造住宅密集地,細街路での騒音や防災への対策が不十分であるということ,違法民泊の実態さえ把握できていない中,規制緩和を行うことは,結果的に住民の生活環境の調和どころか,一層住民の不安を増大させるということであります。このことは,4会派から修正案が提出され,また,付帯決議が付されるなど,議会としても市民生活への悪影響の懸念を払拭し得ないことを表しており,審議が尽くされたとは言えません。 以上の理由から,引き続き審査を継続し,慎重審議することを求め,動議を提出いたします。(「賛成」と呼ぶ者あり) ○議長(寺田一博) ただ今,山本陽子議員から動議が提出され,動議は成立いたしております。 お諮りいたします。ただ今の山本議員の動議のとおり決することに賛成の方の起立を求めます。 〔賛成者起立〕 ○議長(寺田一博) 少数であります。よって,山本議員の動議は否決されました。 この場合,井上けんじ議員ほか17名から議第169号及び議第170号に対し修正案が,また宇佐美けんいち議員ほか7名から議第169号に対し修正案が提出されておりますので,併せて議題といたします。 まず,議第169号及び議第170号の修正案の説明を求めます。井上けんじ議員。 〔井上けんじ議員登壇(拍手)〕 ◆(井上けんじ議員) 市長から提案されておられる議第169号と議第170号について,日本共産党市会議員団は,これらに対する修正案を提案しておりますので,私は,議員団を代表し,主な項目に絞ってその趣旨について説明させていただきます。 まず,議第169号住宅宿泊事業の適正な運営確保等に関する条例についてであります。大きな論点の一つは,制限できる区域と期間についてどのように設定するかという問題であります。市長提案条例案では,僅かに住専地域だけですし,しかも2箇月間の営業を認めています。我が党修正案は,住専と特に防災上の観点から細街路沿いは通年制限とし,旅館業法で掲げられている学校・福祉施設等周辺も曜日を定めて制限する,及び近隣住民の承諾を証する文書の提出を求めるとの提案であります。市長提案が住専地域に限った理由として,住居専用地域以外では,旅館業法に基づき宿泊施設の営業を通年で認めているためと言っておられますが,これは理由になっていません。別の法律である住宅宿泊事業法自体が,生活環境悪化防止のため,条例で区域を定めて期間を制限できると言っておるわけですから,住専地域に限定せず,合理的な根拠をもって区域と期間を決めればいいわけであります。届出だけで開業ができ,また市の旅館業法条例にはうたわれておるところの帳場の設置義務も書かれていない,より緩い新法施設だからこそ,防災上,あるいはまた教育や福祉の観点から制限区域を設けて規制するのは何ら問題はなく,むしろ法律の趣旨にかなっています。区域について,国のガイドラインでさえ文教施設等が勘案事項だと例示されています。2箇月営業可能としたのは,年中制限は適切でないとの国の見解を踏まえと市長は説明されましたが,「国の法律の解釈権は自治体にある」,「国会が決めた法律以外,国の官僚の見解に従う義務はない」と著名な学者も言っておられるとおり,国の見解は踏まえなければならないものではありません。市長案は,全体として法律を狭く解釈していると言わざるを得ません。 二つ目の論点は,面接の例外規定を設けて駆け付けるのか,それとも常駐を義務化するかどうかであります。先日の東山区の火災の最大の教訓は,事業者または管理者の常駐が必要だということであります。そもそも住宅なら家人がいて当然ですし,不在のときに委託するなら管理業者がいるのが当然です。市は,常駐しなくてもよい根拠として,法第11条では,事業者不在の場合管理業者に委託と,不在も念頭に置いた規定であると答弁されています。しかしこれは,不在の場合に管理業者に委託と言っているだけで,管理業者については不在とも存在とも触れておりません。むしろ不在はよくないから委託せよと言っているとも読めないでしょうか。不在を念頭に置いているとしても,存在は否定していませんし,まして自治体において常駐義務をうたってはいけないとは,どこにも書かれておりません。許可を得なければならない旅館業ですら,帳場の設置イコール少なくとも客の入るとき,出るときの営業者の配置が求められておるのに,届出だけで開業できる施設に誰もいないというのは,現行民泊周辺の地域住民の皆さんの不安に,まさに輪を掛けるものであります。そもそも誰もいないのに,どうしておもてなしができるんでありましょうか。 第三に,マンションについては,規約または区分所有者で構成する団体の決議によって積極的に事業を認めるとの意思を示した書類の提出を要件としました。法律とその施行規則で,届出書に添付すべき書類として,禁止する意思がないことを確認したことを証する書類と書かれていますが,これでは,仮に管理組合の総会が成立せず禁止するとの決議が上がらなかった場合,事業が可能だとの解釈の余地が生まれます。我が党の修正案では,認めるとの積極的な意思表示がない限り事業はできないと,この点を明確にいたしました。その他,市民の責務の削除や,宿泊者と市民の安全という場合の順序を入れ替えるべきことなどを提案しておりますが,詳細は資料を御覧いただきたいと存じます。 次に,議第170号旅館業法に基づく条例の一部改正案についてであります。何点か,基本的には議第169号と同じ立場からの修正案と共に,特に補強的な修正提案として,宿泊者の滞在中の営業者の常駐をうたっています。市長案では,本人確認,人数確認がうたわれ,玄関帳場等での面接が明記されたことは一歩前進ですが,これではチェックインのときだけで,あとは不在でも構わないと解釈できてしまいます。現状から言って不十分だと思います。近隣周辺住民の安心のために,24時間とまでは言わないにしても客滞在中の常駐が必要だと考えます。 さて,今回の条例制定に至る経過について簡単に振り返って締めくくりたいと思います。現状は,1,そもそもの無許可営業,2,許可を得ながら,実際の営業場面では許可要件を欠落させたままの状態で営業されておられる,3,合法であっても,周辺住民への悪影響が及んでいる事例等々が大きな社会問題になっています。本来なら,これらの現状改善に向け,国や市が規制強化や運用是正等,そのための体制補強も含めて対処しなければならないにもかかわらず,現状追認,事実上の現状放任で,むしろ逆にこの状態を合法化するために規制が緩和され,昨年,住宅宿泊事業法として具体化されました。そして本市では,法律の限界に挑戦などと言いながら,法制度の整備が図られたとの評価の下に,基本的には,政府の流れに合流されておられます。もっと限界に挑戦しておる他自治体の例を挙げても,制限区域や期間が広く長ければいいという考えはないと理事者が答弁されています。限界に挑戦ではなくて,最初から自粛しておられるだけではありませんか。 地方分権の議論以来,地方自治法でも自治体の自主性,自立性,法律解釈権の拡大がうたわれています。法律の本文でさえ自主的な解釈をすべきであって,まして,いわゆる通達類には従う義務はありません。住宅宿泊事業法は自治事務ではありませんか。要するに,最大の争点は,法の限界という壁の高さにあるのではなくて,宿泊施設誘致拡充方針と市民の願いとの調和であり,両方が大事だとの言い方で,実際は市民の願いを後回しにしていいのかどうかということであります。市長自らは提案を撤回したり修正したりされませんから,かくなる上は,議会自身が,団体意思を決定する機関として市民の信託にどう応えるのか,その姿勢が問われています。修正案はあくまでも提案であります。全面的に御賛同を頂きたいのは当然ですが,私としては歩み寄りもあり得ると考えています。対市長だけでなく,議員間での討議が活発になるように願って提案とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○議長(寺田一博) 次に,議第169号の修正案の説明を求めます。宇佐美けんいち議員。 〔宇佐美けんいち議員登壇(拍手)〕 ◆(宇佐美けんいち議員) 日本維新の会市議団及び京都党市議団は,議第169号いわゆる民泊条例について修正案を共同提案しておりますので,両会派を代表し,その趣意について説明を行います。 今回の条例案は,住居専用地域での家主不在型については閑散期の60日以下と制限されていますが,同地域における,いわゆる家主居住型及び認定京町家型については,法律どおり,事業者の好きな日に年間180日以下の営業が可能なものとなっています。 まず,家主居住型ですが,用語として家主と使われてはいるものの,実態は,物件の所有者から賃借を受けた者が3箇月居住実態があれば外国籍の者も含め営業できること,また5室以内の部屋数で営業でき,一人当たりの面積は3.3平方メートルと決まってはいるものの,人数や部屋の大きさの制限もないこと,さらに5部屋の届出が別々の場合には,部屋ごとに180日のカウントができ,実質的に1年中その物件に客が訪れることもあり得ると審議の中で判明しました。しかしながら,今の段階で,住居専用地域にお住まいの皆さんへのそういった内容の周知や御理解が十分とは言えず,また,生活へどのような影響を及ぼすのか検証されているとは言い難いと考えます。 住居専用地域は,静かな生活環境を求めて一戸建て住宅などを購入しお住まいいただいている地域であり,今まで小さな店舗等がかろうじて認められてきた地域です。もとより宿泊施設は認められてきませんでした。そこにどんなスタイルの民泊が開業されるのか分かりません。さらに,幾ら事業者と協議を行ったとしても,観光客がその住居専用地域に出入りすることに間違いはなく,ただでさえ観光に対する苦情が多い中,このままでは住民のストレスが許容される確信が持てません。住居専用地域でも事業者が常駐していれば大丈夫,こういう考え方は,そこで民泊自体をやめてほしい,不安だという住民の思いに寄り添うものではなく,もうける側の立場からのものではないですか。 京町家の特例については,家主不在型も180日以下の営業が可能となります。人数の制限や対面での説明強化など一定の配慮がされておりますが,住宅専用地域での生活環境の悪化の懸念がぬぐえません。この場合,町家の保存,継承と生活環境の悪化防止のどちらに重きを置くのかが問われますが,市民理解はどこまで進んでいるのでしょうか。また,京町家の保全及び継承に関する条例における重要京町家やその他の京町家と今回の条例における認定京町家は定義が異なり,本市が保存,継承したい京町家は一体どのような町家なのかが見えてきません。もう少し議論が必要ではないでしょうか。 現在,京都市内には多数のホテル新設計画が持ち上がっており,当初掲げた誘致方針を上回るペースとの業界情報もある中で,今,拙速に住居専用地域における民泊の一部を180日まで認めることはやめ,今までにはない形態のニュービジネスだという観点で,更に住民への影響を検証すべきだと考えます。ついては,住居専用地域での全ての民泊営業は一旦閑散期の60日以内とする修正案を提案いたします。一度認めてしまえば元に戻すことは難しく,本修正案への皆様の御賛同を求め提案説明を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(寺田一博) 間もなく午後5時になりますが,あらかじめ会議時間を延長いたします。 これより討論を行います。 発言の通告がありますので,これを許します。加藤昌洋議員。 〔加藤昌洋議員登壇(拍手)〕 ◆(加藤昌洋議員) 自由民主党京都市会議員団は,議第169号京都市住宅宿泊事業の適正な運営を確保するための措置に関する条例の制定についての委員会修正案及び議第170号京都市旅館業法に基づく衛生に必要な措置及び構造設備の基準等に関する条例の一部を改正する条例の制定について賛成の立場を表明しております。私は,議員団を代表してその理由を述べ討論を行います。 近年,京都市では観光に関する政策を様々な方面で展開し,民間事業者の努力と相まって,国内外を問わず多くの皆さんに京都市に訪れていただける状況になっております。また,来年以降はラグビーワールドカップ2019,東京オリンピック・パラリンピック,ワールドマスターズゲームズ2021関西の開催が予定されており,入洛客の一層の増加が見込まれます。このような状況の中,近年は宿泊需要の急激な増加やインターネット上での宿泊仲介事業の普及によって多くの違法民泊が出現し,市民生活に大きな影響をもたらす事態となっております。我々自民党京都市会議員団では,市民の皆様からの声を受け,民泊通報・相談窓口の設置をはじめ,無許可の違法民泊に対して厳正な対応を行うため,住環境を守るために議論を積み重ねてまいりました。その中で,京都市としても知恵を絞り,あらゆる対策を進めてこられました。 昨年には,国会において住宅宿泊事業法いわゆる民泊新法が制定され,本年6月15日から施行されることにより,法に定められた要件を満たせば,届出のみで民泊営業が可能となることとなりました。京都市では,市民の住環境と宿泊客の安心安全を大前提に,検討会議での議論やパブリックコメント,法律の専門家との協議などを重ね,条例,規則及びガイドラインを一体のものとして運用する独自のルールを発表されました。条例に委ねられた規制の範囲が狭く,訴訟リスクがある中で,住居専用地域での営業を原則60日としたことや駆け付け要件を設定されるなど,工夫をされている点について評価をいたします。 我が会派としても,今回提案された条例案について,市民生活の安心安全を守ることを第一に議論を重ね,地域住民と住宅宿泊事業者が運営に関する協定を締結することを努力義務とする内容を条例に明記する修正案を提案し,公明党,民進党,日本維新の会,京都党と無所属の3名の賛同を得たところです。また,今回は旅館業法の一部改正に併せて,住宅宿泊事業と同様に,旅館業法施設にも適切な運営を求めるとともに,マンションなど共同住宅での営業にも規制を設けるなどの措置を講じられております。このほか,無許可営業施設への立入検査や情報を求める標識の掲示を定めるなど,違法民泊の取締まりも更に徹底されるとのことであり,取組を一層加速させることを求めます。条例が制定されれば,そこからがスタートです。実効性を担保しないと絵に描いた餅となってしまいます。我が会派も付帯決議で全庁横断的な体制整備や,駆け付け要件の市長特例の慎重な運用,実情に即した適切な運営などを求めており,議会での議論を踏まえて,徹底的な指導監督を進めていただくことを重ねて求めます。 最後に,我々自民党京都市会議員団も,今回の条例の制定をきっかけに京都市と共に取組を更に進め,市民の皆様の声に耳を傾け,適正な運営の下で地域との調和の取れた宿泊事業が営まれるよう最大限努力する決意を申し上げ,賛成討論といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(寺田一博) 次に,やまね智史議員に発言を許します。やまね議員。 〔やまね智史議員登壇(拍手)〕 ◆(やまね智史議員) 日本共産党議員団は,議第169号京都市住宅宿泊事業の適正な運営を確保するための措置に関する条例の委員会修正案及び議第170号京都市旅館業法に基づく衛生に必要な措置及び構造設備の基準等に関する条例の改正案,また,議第169号に対する日本維新の会議員団と京都党議員団による修正案に,いずれも反対し,我が党が提案する議第169号と議第170号の修正案について賛成の態度を表明していますので,以下その理由を述べます。 今回の条例制定,条例改正に当たって重要なのは,既に京都市では,現行の旅館業法下でも民泊を巡って市民生活に重大な影響が出ていることではないでしょうか。そのことは,京都市自身が昨年夏の国への要望で,市民の悲鳴のような苦情が押し寄せと訴えていること,この間,様々な市民や町内会から提出されている市会への陳情によっても明らかです。また,12月から1月にかけて行われたパブリックコメントには,民泊施設の近隣住民の皆さんから多数の意見が寄せられ,その内容も数も,生活環境悪化への不安が圧倒的であり,その多くが規制強化を求めるものでした。ならば,市民の生活環境,生存権を守ることを市条例の根本に据えるべきであります。我が党の対案,条例修正案については,井上けんじ議員から提案説明があったとおりです。私からは,今回の議第169号,議第170号について,どこに問題があるか三つの角度から指摘したいと思います。 第一に,京都市の提案では,市民と旅行者の命,安全を守るという点で大変不十分だと言わなければなりません。1月20日,東山区で発生した管理者不在型の簡易宿所での火災は,周辺の生活環境悪化というだけでなく,近隣住民の命に直結する問題です。近隣住民の皆さんは,火災の恐怖がトラウマになっていると,今も精神的苦痛を語られています。事業者に提出された要求書には,ゲストハウス開始以降,今までの平穏な生活は消え,さらにこの度のことで安全も失われたとあります。人を泊めてもうけを上げている事業者が火災発生時に何も対応せず,生活環境を破壊された近隣住民が緊急対応までさせられる。これでは周辺の生活環境との調和どころか市民や旅行者の安全を守ることもできません。東山区の事例が示す最大の教訓は,たとえ京都市の許可施設であっても,ハウスルールがあっても,営業する施設に管理者がいなければ,緊急時には近隣住民が対応せざるを得ないということです。対面での面接が行われていない,定員オーバーなど条例違反の実態,また,火災や病気など緊急時の対応,近隣住民からの苦情対応,犯罪の防止など,これらの課題に対応するためにも,住宅宿泊事業も旅館業も例外規定を設けず,少なくとも宿泊客の滞在中は管理者常駐を義務付けることが,適正な運営の何よりの担保となるのではないでしょうか。今でも違法民泊の実態,条例違反や要綱違反を繰り返す簡易宿所の実態を京都市がつかめていない下で,管理者を常駐させずに届出制で住宅宿泊事業が実施されれば,市民の不安と不信は更に増大し,日常生活への混乱を生むことは明らかです。 第二に,住宅宿泊事業について,京都市の提案する規制内容は,他都市の条例や政府のガイドラインと比べても大変弱いということです。東京の目黒区,荒川区,中央区,台東区は,区内全域で平日の営業を制限しています。目黒区の条例骨子案の資料では,商業地域及び近隣商業地域においても,住宅が混在している,準工業地域についても住宅地としての土地利用が進んでおり,これらの地域特性を踏まえた対応が必要と説明されています。神戸市や兵庫県は,住居専用地域,学校や児童福祉施設の周辺100メートル以内の区域を全ての期間実施できないこととするとしており,その合理的理由として,住居専用地域の良好な住居の環境を維持保全,子供の静穏な教育環境,登下校時の安全確保と説明しています。学校や保育所周辺の規制については,ほかにも京都府,奈良県をはじめ,東京の千代田区や港区,札幌市や北海道,長野県など,多数の自治体で採用されており,政府のガイドラインにも例示されています。子育て先進都市を掲げる京都市がなぜこのような方向を打ち出さないのでしょうか。また,神戸市は北区有馬町,兵庫県は城崎,竹野浜,神鍋,湯村という地域を設定し,規制しています。和歌山県の条例案では,届出時に近隣住宅に居住する世帯の世帯主又は世帯の代表者に反対する意思がないことを確認しなければならないとするなど,地域の実情に応じた規制や近隣住民の意思を反映するための工夫が見られます。京都市の都市特性を見れば,細街路や住宅密集地における騒音被害,火災の危険,地域コミュニティ破壊など,住環境への重大な影響が考えられるにもかかわらず,住居専用地域以外の営業制限は考えられず,細街路での規制も十分でなく,協定書締結も義務付けられず,近隣住民の意思,意見を反映する保障がないことは重大です。既に生活環境の悪化が重要な市政課題となり,住宅宿泊事業法の施行によって更なる影響が予想されるときに,それを防止する努力を行わないとすれば,市の責任は免れないのではないでしょうか。 第三に,京都市の姿勢は,法の限界に挑戦するどころか完全な自粛路線にとどまり,地方自治体の役割を果たしているとは言えません。地方自治法は,地方公共団体の役割について,住民の福祉の増進を図ることと規定しています。また,国については住民に身近な行政はできる限り地方公共団体にゆだねる,地方公共団体に関する制度の策定及び施策の実施に当たって,地方公共団体の自主性及び自立性が十分に発揮されるようにしなければならないとしています。そして法令の規定は,地方自治法の本旨に基づいて解釈し運用するようにしなければならない。自治事務の場合,国は,地方公共団体が地域の特性に応じて当該事務を処理できるように特に配慮しなければならないともうたわれています。これに照らせば,国が京都市の条例制定を制限したり,京都市の問題を京都市に決めさせないようにするならば,国のやり方こそ地方自治法に反する,住宅宿泊事業法こそ不適切だと言わなければなりません。京都市は,地方自治法で規定された地方公共団体の役割,住民の福祉の増進にこそ力を尽くすべきです。憲法で示されている生存権を守るために働くべきです。それではなぜ,市民の暮らしを守る立場に立ち切れないのでしょうか。その根底には,宿泊施設を誘致,拡充し,呼込み型観光政策有りきの姿勢があるのではありませんか。我が党議員団は,改めて京都市が,市民と旅行者の命,安全,住環境を守る立場に立ち,学校や保育所周辺,細街路や木造住宅密集地,マンションなど集合住宅での規制を行うこと,旅行者の滞在中は管理者常駐を義務付けること,法令違反や指導要綱違反を行う施設の根絶へ向けた取組と体制強化を強く求めます。 最後に,今回,他の会派の皆さんからも条例修正案や付帯決議等が出されている背景には,このままでは不十分だということを多くの皆さんが感じているからではないでしょうか。改めて現状を肌身で感じている市民の声に沿った条例制定,条例改正をすべきであることを呼び掛けまして私の討論といたします。ありがとうございました。(拍手) ○議長(寺田一博) 次に,吉田孝雄議員に発言を許します。吉田議員。 〔吉田孝雄議員登壇(拍手)〕 ◆(吉田孝雄議員) 公明党京都市会議員団は,議第169号の委員会修正案及び議第170号について賛成するとの態度を表明しておりますので,私は議員団を代表し討論を行います。 民泊は,訪日外国人客いわゆるインバウンドの積極的受入れや宿泊型観光の振興という時代の要請に応えるとの大きな意義があることは理解しています。リーズナブルな旅を求める観光客のニーズに合うとも言われています。しかしながら,それと同時に,地元住民の皆さんが不安を抱き懸念を示されている事実を重視するべきであることは論をまちません。現実に多くの地域で問題が顕在化しており,一部から,行政が後手に回っているという批判も出ています。私は,京都市がこうした声を真摯に受け止め,局を超えた体制を整備して積極的に取り組んできたことを高く評価するものであります。民泊全てが悪であると言い切るものではありません。地域と共存共栄を重視して調和を図ろうとする事業者の方が多いと思います。民泊の進出に不安を覚えている地域住民との共生を推進するためにも,地域に受け入れられない悪質な違法民泊と良心的な民泊とを明確に立て分けるためのルールづくりが必須であります。 今回の条例案は,民泊を通して京都活性化に資するという大局的な共通理解を基調にして,行政と業者及び市民が各々の責務を担うという趣旨を大前提にしています。我が会派は,その基本認識に立脚して民泊問題を議論してまいりました。市長は,違法民泊を許さない,根絶すると,様々な場で表明しておられます。全く同感です。悪質な業者に法の網や条例の抜け穴をくぐり抜けさせてはなりません。本条例案においても,地元自治会や町内会に緊急連絡先を周知することや,家主不在型の事業者において原則10分以内に来られる場所に現地対応管理者を常駐させる駆け付け要件などを規定していますが,緊急時の対応や苦情への迅速な解決が間違いなく図られるのか,住民の不安は正にその点にあります。苦情に適切に対処せず,騒音や廃棄物などのトラブルを未然に防止する努力をないがしろにする事業者に対しては,断固とした措置が行われるべきであります。条例第22条で5万円の過料を課すと規定していますが,それだけでなく,いわゆる民泊新法で苦情等に適切かつ迅速に対応しない事業者に対して,保健所を設置する自治体が業務改善命令や停止命令などの措置を講ずると規定されています。保健福祉局にこれらの措置について見解をただしたところ,今後のガイドラインで詳細を定めるとの説明がありました。法や条例を実効力あるものとしていくため,現地対応管理者の要件や現場における遵守事項をガイドラインに規定していくべきであると強く要望するものであります。 市で規定するガイドラインについては,それ以外にも何点か重要な点を指摘したいと存じます。一つは,苦情対応については,地域住民からの声に加えて宿泊者から寄せられた御意見や御要望にも真摯に対応するべきであるという点。しっかり把握し,対応を指導する方針を明確にしていただきたい。二つは,細街路や袋路での防火防災対策を真剣に取り組み,住民の不安に寄り添うべきであるという点です。そして3点目。マンション等の共同住宅においては,入居者と宿泊者が同じ出入口やエレベーターを使用するためトラブルが発生しやすいと懸念されています。きめ細かなルールを徹底するとともに,状況に応じた柔軟な改善を積み重ねる必要があると申し上げるものです。さて,地域と民泊の調和,融合を推進するためには,橋渡しの役割を担う行政の責任が重大であります。地区計画や建築協定など既存の仕組みを有効活用して,地域の個別事情を踏まえたまちづくりの方針を住民が主体的にルール化し,民泊事業者との協定に反映することができるよう,専門家を派遣することも決定しています。是非,周知徹底に努めるとともに,各地域の住民に寄り添って誠実に支援していただけるようお願いいたします。 最後に,民泊通報・相談窓口の増員と広報周知の拡充については,ポータルサイトなど最新のICT技術を駆使して,具体的なソフト面の充実を図っていただきたい。同時に,民泊仲介サイトが違法民泊の温床とならないように監視機能を充実強化していくことを強く申し入れるものです。 以上,何点か指摘いたしました。条例施行後が大事です。市民のみならず多くの方々が注目しておられます。市長を先頭に全庁体制で進めていただきたい。そして,地域との調和を大前提にして施策を展開し,課題が発生した場合には速やかに対応するとともに,国に対しても現場の声を届けるなど,連携を強化する必要があると考えます。条例が市民生活の安心安全と京都活性化に寄与することを心から願い,討論といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(寺田一博) 次に,中野洋一議員に発言を許します。中野議員。 〔中野洋一議員登壇(拍手)〕 ◆(中野洋一議員) 私たち民進党京都市会議員団は,議第169号及び170号に対して賛成の態度を表明しておりますので,その理由を述べて討論いたします。 日本国政府の第一の任務は,国民の生命と財産を守ることであるのに対して,地方自治体である京都市の第一の任務は,市民の安心安全な暮らしを守ることです。この安心安全であるべき市民生活が脅かされる状況がここ数年に及び発生しています。それが不誠実な経営者による常駐者不在の民泊の運営でございます。地域で生活される皆さんから,私が頂く悲鳴とも言える御相談は,例えば,「夜うるさくて眠れない,せめて静かに寝させてほしい」,「真夜中に呼び鈴を押される」,「路地奥で数人の外国人がたばこを吸い,周りにポイ捨てをしていて火事にならないか心配で怖い」,「多くの泊り客が隣の家に出入りしているが,どこの誰が経営しているのかさっぱり分からないので,不安であり,苦情の言いようがない」,「色々な問題が発生し,先方に何度も電話しているが,何ら改善しようとしない。また,その連絡のための電話代もとてもかさみ,これ以上の電話代の負担はいやだ」などなど,普段の生活を普通に送れないほど暮らしが脅かされている状況が多く発生しています。こういった民泊の運営によって長い間苦しんでこられた多くの市民の皆さんにとって,ようやくではありますが,この条例が成立することで普段の生活を取り戻すことができると考えております。(発言する者あり)まだまだ続きますよ。 この条例の要点は二つ。一つ目は,面接の徹底です。施設に宿泊するチェックインのとき,周辺住民に迷惑を及ぼさない決まりごとを宿泊者に対して,事業者がしっかりと伝えてきちんと守らせることでございます。二つ目は,現地対応管理者の設置です。問題が発生したときにおおむね10分以内で駆け付けることができる所に,トラブルを解決できる管理者を置かなければならないということでございます。しかし,この条例の二つの要点は,いずれも事業者の取組に懸かっていて,これらがしっかり行われなければこの条例の根幹は崩れてしまいます。事業者の取組をどのようにして担保していくのか。市民が今まで苦しんできたことを解決できないといったケースを条例後どう回避できるのか,私たち民進党京都市会議員団では,今まで以上に時間を掛けて様々議論し,市民の安心安全な暮らしを守っていくために今回の条例案に対して七つの付帯決議を提案し,盛り込みました。 その内容は次に申し上げるとおりでございます。まず,施設の運営によって発生する騒音。特に夜間における騒音でございますが,これらや施設の周辺での喫煙など,近隣住民が生活を送るうえで苦しんでいる諸問題をなくすため,近隣住民の負担を極力減らすよう事業者に心配りさせること。その中で特に連棟,長屋でございますが,長屋などでの民泊運営については,これまで居住している住民の生活を脅かすことのないよう防音対策を積極的に指導していくこと。また,民泊運営には失火,失う火と書きますが,失火のおそれもあり,住民の安心安全の生活を守るためにも,徹底した防火対策の指導をしていくこと。そして,先ほど紹介した要点の一つである近隣住民の通報などで駆け付ける現地対応管理者は,様々なトラブルに対応する能力と知識が必要になります。ついては,能力のあるものを確実に配置させるべく管理者要件をガイドラインに規定していくこと。そしてもう一つの要点である面接によるハウスルールを宿泊者にしっかり伝える取組を事業者に確実に実行させること。これをしっかり行っているか,その状況を確実に把握して,違反している事業者に対しては業務改善命令,業務停止命令も含めて厳しく指導をしていくこと。 また,今回宿泊施設の運営が一定条件の下許されることになった住居専用地域は,良好な生活環境を保護するために定められた地域であり,この環境を維持できるよう事業者への指導を徹底すること。当然それ以外の地域の生活環境も市民の大切な暮らしの現場です。この環境を守ることこそ京都市の第一の責務でございます。同時に,課題となるのはごみ処理方法について。事業系ごみとして扱われることによるごみ収集車の走行を増やさないなど,周辺住民の負担が少ない方法を検討することも必要と考えます。これらの盛り込んだ具体的な取組み要請も含めて,この条例をしっかり運用することを強く求めます。私たちは,この条例ができることで,この現状を何とか改善できると思っております。(発言する者あり)まだまだこれから。しかしながら,この条例があるからといって全てが解決するわけではありません。今後も様々な形で市民の生活が脅かされる危険性があります。そのために必要なのは,現状を的確に把握し,あるときは大胆に見直すなどして臨機応変にこの条例を運用していくこと,そしてどんなことがあっても安心安全な市民生活を守っていくという覚悟だと思っています。このことは,決して京都市だけの責任ではなく,この条例を議論し,賛成する私たち議会の責任でもあると考えています。その構成員の一人として,この条例等を活用して市民生活を確実に守り抜いていくという強い覚悟を改めて持ちつつ賛成討論といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(寺田一博) これをもって討論を終結いたします。 これより,表決を採ります。まず,議第169号を表決に付します。 初めに,井上けんじ議員ほか17名から提出の修正案について表決を採ります。本修正案のとおり修正することに賛成の方の起立を求めます。 〔賛成者起立〕 ○議長(寺田一博) 少数であります。よって本修正案は,否決されました。 次に,宇佐美けんいち議員ほか7名から提出の修正案について表決を採ります。本修正案のとおり修正することに賛成の方の起立を求めます。 〔賛成者起立〕 ○議長(寺田一博) 少数であります。よって本修正案は,否決されました。 次に,本案は,委員会の修正案のとおり修正することに賛成の方の起立を求めます。 〔賛成者起立〕 ○議長(寺田一博) 多数であります。よって本修正案は,可決されました。 次に,ただ今議決いたしました修正部分を除く残余の部分は,原案のとおり可決することに賛成の方の起立を求めます。 〔賛成者起立〕 ○議長(寺田一博) 多数であります。よって,本案の修正部分を除く残余の部分は,原案のとおり可決されました。 次に,議第170号を表決に付します。 初めに,井上けんじ議員ほか17名から提出の修正案について表決を採ります。本修正案のとおり修正することに賛成の方の起立を求めます。 〔賛成者起立〕 ○議長(寺田一博) 少数であります。よって本修正案は,否決されました。 次に,議第170号の原案を表決に付します。本案は,委員長報告のとおり原案のとおり可決することに賛成の方の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
    ○議長(寺田一博) 多数であります。よって本案は,原案のとおり可決されました。 次に,議第145号及び議第148号を一括表決に付します。本案は,委員長報告のとおり,原案のとおり可決することに賛成の方の起立を求めます。 〔賛成者起立〕 ○議長(寺田一博) 多数であります。よって本案は,原案のとおり可決されました。 次に,残余の議案11件を一括表決に付します。本案は,委員長報告のとおり,原案のとおり可決することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(寺田一博) 御異議なしと認めます。よって本案は,原案のとおり可決されました。 次に,ただ今議決いたしました議案に対する付帯決議についてお諮りいたします。本件は,委員長報告のとおり,議第141号,議第169号及び議第170号に1個の付帯決議を付すことに賛成の方の起立を求めます。 〔賛成者起立〕 ○議長(寺田一博) 多数であります。よって,委員長報告のとおり決します。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(寺田一博) 本日は,これをもって散会いたします。 〔午後5時26分散会〕~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~          議長    寺田一博          副議長   久保勝信          署名議員  平山たかお          同     山田こうじ △(イメージ)請願文書表「受理番号50」「学費・奨学金等の負担軽減と若者の雇用改善」・請願文書表「受理番号51」「保育・学童保育制度の充実」 △(イメージ)請願文書表「受理番号52」「教育条件の改善」・請願文書表「受理番号53」「全員制の中学校給食の実施」 △(イメージ)請願文書表「受理番号54」「眺望景観創生条例改正案の見直し」・請願文書表「受理番号55」「眺望景観創生条例改正案の見直し」 △(イメージ)陳情文書表「受理番号115」「美術館借館料の値下げ」・陳情文書表「受理番号116」「美術館借館料の値上げ反対」 △(イメージ)陳情文書表「受理番号117」「美術館利用料の値上げ反対」・陳情文書表「受理番号118」「美術館使用料の値上げ反対等」 △(イメージ)陳情文書表「受理番号119」「美術館使用料値上げ案の撤廃等」・陳情文書表「受理番号120」「美術館借館料の水準維持」 △(イメージ)陳情文書表「受理番号121」「眺望景観創生条例改正案等の見直し」・陳情文書表「受理番号122」「バス待ち環境の改善(西京区大枝南福西町)」 △(イメージ)議案付託表・予算特別委員会報告書 △(イメージ)予算特別委員会報告書 △(イメージ)予算特別委員会報告書・修正案(議第169号及び議第170号 井上けんじ議員ほか17名) △(イメージ)修正案(議第169号及び議第170号 井上けんじ議員ほか17名) △(イメージ)修正案(議第169号及び議第170号 井上けんじ議員ほか17名) △(イメージ)修正案(議第169号及び議第170号 井上けんじ議員ほか17名) △(イメージ)修正案(議第169号 宇佐美けんいち議員ほか7名)...